タイヤを変えて地球にも財布にもやさしく! 「低燃費タイヤカタログ2011」


 円高のおかげで日本では比較的抑えられてはいるが、実は今、原油価格は高騰していて、世界的にはガソリン価格はスゴイことになっている。日本でも2月中旬から価格は上がり続けていて、3月に入りいよいよレギュラーガソリンが140円台に突入した。最近のクルマは燃費がよくなっているとは言え、さすがに給油するのが不安になる状況だ。

 クルマの燃費を少しでもよくするためには、運転の仕方に気を付けたり、アイドリングストップをしたり、余計な荷物を降ろしたりなど色々あるが、タイヤというのも燃費を大きく左右する要因になる。タイヤの転がり抵抗が高ければ燃費はわるくなるし、逆に低ければ、燃費のよい“エコタイヤ”ということになる。

 では、転がり抵抗が低いタイヤとはどういったタイヤだろうか。基本的にタイヤは走ると発熱するが、これは運動エネルギーが熱エネルギーに変換されてしまった証。つまり発熱しにくいタイヤは転がり抵抗が低いタイヤということになる。しかしF1の解説などでもわかるとおり、タイヤは熱を持たないとグリップが低くなる。転がり抵抗とグリップは相反する要素というわけだ。

ラベリング制度対応タイヤに貼られるラベル。転がり抵抗性能とウェットグリップ性能のグレードが表示されるほか、転がり抵抗がA以上で、かつウェットグリップがd以上のタイヤに「低燃費タイヤ」マークが入る

 そして、昨年1月にJATMA(日本自動車タイヤ協会)が始めたのが、業界自主基準となるラベリング制度(低燃費タイヤ等普及促進に関する表示ガイドライン)だ。同一条件でテストした結果により、タイヤの転がり抵抗とウェットグリップをランク付け。これによりラベリング制度に対応したタイヤなら、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を、メーカーを問わずに一律で比較できるようになった。

 評価の具体的な数値は以下の表を参考にしてもらいたいが、なかでも転がり抵抗の評価がA以上で、かつウェットグリップ評価がd以上のタイヤは「低燃費タイヤ」のマークを付けることができる。いくら低燃費でも曲がらない止まらないでは怖くて使えないが、ちゃんとグリップもする低燃費タイヤがひと目で分かるわけだ。

転がり抵抗係数(RRC)等級
RRC≦6.5AAA
6.6≦RRC≦7.7AA
7.8≦RRC≦9.0A
9.1≦RRC≦10.5B
10.6≦RRC≦12.0C
ウェットグリップ性能(G)等級
155≦Ga
140≦G≦154b
125≦G≦139c
110≦G≦124d

そこで、ここではそんな低燃費タイヤを一挙に紹介していきたい。


ブリヂストン
http://www.bridgestone.co.jp/

REGNO GR-XT

●REGNO GR-XT(レグノ ジーアール・エックスティー)

転がり抵抗性能:A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:175/65 R14 82H~245/50 R18 100Wの全30サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/personal/tire/regno/gr_xt/
製品説明会:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20101224_414651.html
製品レビュー:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20101227_417053.html

 ブリヂストンのコンフォートプレミアムタイヤ「REGNO」ブランドで初めて低燃費タイヤに適合したのが、GR-XT。ナノプロ・テックを採用したコンパウンドにより、カーボン同士の摩擦による発熱を抑制。転がり抵抗性能でA、ウェットグリップ性能でbの性能を確保している。

 さらにREGNOの名に恥じない高い静粛性も確保。東京大学 生産技術研究所 応用音響工学研究室との共同研究により、特に音が気になる路面状況が変わった際の音圧の変化を抑制している。新技術として4本のストレートグルーブそれぞれに消音効果を持たせた3Dヘルツホルツ型消音器を搭載。また、タイヤが接地した際に発生する振動を車内に伝わりにくくする3DノイズカットデザインをIN側ショルダー部に搭載する。

従来モデルのGR-9000と比べ転がり抵抗を20%低減一般ドライバーによる走行時のタイヤ音に関する官能評価荒れた舗装路と高機能舗装路によるノイズの差を抑えて、ノイズを気になりにくくしている

SNEAKER SNK2 ECOPIA

●SNEAKER SNK2 ECOPIA(スニーカー エスエヌケーツー エコピア)

転がり抵抗性能:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:195/65 R14 89S~205/65 R16 95Sの全9サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/personal/tire/sneaker/snk2_ecopia/

 ブリヂストンの中でもベーシックグレードとなるスニーカーシリーズで、唯一低燃費タイヤに適合したのが、SNEAKER SNK2 ECOPIAだ。

 トレッドゴムには、ECOPIAシリーズでも使われるナノプロ・テックを用い、専用にチューニングしたSNEAKER2 ecopiaコンパウンドを採用。シリカを分散させることで、振動によるトレッドゴムの発熱を抑え、エネルギーロスを低減している。これにより従来のSNEAKER SNK2と比べ、転がり抵抗を18%低減。転がり抵抗性能でA、ウェットグリップ性能でcの評価を獲得している。

 また、タイヤの基本性能にもこだわっており、ウェット性能やドライ性能、また、乗り心地のよさも追求。さらに偏摩耗も抑制することで、タイヤのロングライフ化も実現している。

ナノプロ・テックにより、シリカを分散して配置したSNEAKER2 ecopiaコンパウンド従来モデルと比べ、転がり抵抗を18%低減した

ECOPIA EP100S

●ECOPIA EP100S(エコピア イーピーヒャクエス)

転がり抵抗性能:AAA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:185/65 R15 88H、195/65 R15 91Hの全2サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/personal/tire/ecopia/ep_100s/

 エコピアシリーズの中でも、最も低燃費性能に優れるのがEP100S。転がり抵抗性能で最高評価となるAAAを獲得している。EP100と同様にトレッド部のゴムは、ナノプロ・テックにより微細構造をコントロール。ゴムの中に含まれるカーボンを分散して配置することにより、カーボン同士が擦れ合って発熱するのを防いでいる。さらにEP100S専用にタイヤサイド部の形状を最適化。また、部材ごとの重量バランスを最適化することで、EP100よりもさらに転がり抵抗を低減。

 ウェット性能に関してはEP100と同等の性能を確保。さらに低燃費性能とは直接関係はないが、タイヤのトレッドブロックを路面に水平に接地する形状とすることで偏摩耗を防いでいる。

末端変性ポリマーによりカーボンの配置を分散したナノプロ・テックのほか、タイヤの形状や重量バランスの最適化により転がり抵抗を低減ドラム試験器によるテストでは、同社のB'STYLE EXと比べ、転がり抵抗を39%低減ウェットグリップ性能はB'STYLE EXと同等の性能を確保

ECOPIA EP100

●ECOPIA EP100(エコピア イーピーヒャク)

転がり抵抗性能:AA~A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:155/65 R13 73H~225/45 R18 91Wの全23サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/personal/tire/ecopia/ep_100/index.html

 転がり抵抗性能でAA(一部サイズでA)、ウェットグリップ性能でc評価の低燃費タイヤ。トレッドゴムはナノプロ・テックによってカーボンを分散し、カーボン同士が擦れ合って発生する熱を抑え、エネルギーロスを低減する。さらに転動によるエネルギーロスを減らすサイドゴムを採用。同社の他銘柄のタイヤ(B'STYLE EX)との比較では、転がり抵抗で30%、燃費で4.2%の向上をしたと言う。

 また、トレッドパターンは静粛性、ブロック剛性を確保しつつ、ハイアングルラグと呼ばれる斜めの横溝をトレッドセンター部に配置。ブレーキング時に接地面にかかる力を分散し、接地面積を確保することでB'STYLE EXと同等のウェットグリップ性能を確保している。

カーボン同士の摩擦による発熱を抑え転がり抵抗を低減。B'STYLE EXと比べ、転がり抵抗を30%低減、燃費を4.2%向上した坂道からニュートラルで転がした時の完全停止までの距離ではB'STYLE EXと比べ43%向上ウェット路面で80km/hからのフル制動での完全停止までの距離。B'STYLE EXとほぼ同じ距離で停止した

ECOPIA EX10

●ECOPIA EX10(エコピア イーエックステン)

転がり抵抗:AA~A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:155/65 R13 73S~245/45 R19 98Wの全50サイズ
製品情報:http://www.bridgestone.co.jp/personal/tire/ecopia/ex_10/
製品発表会:http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20100114_342155.html

 エコピアシリーズの中でもスタンダードモデルとしてEP100に続き登場したEX10。転がり抵抗性能でA(一部でAA)、ウェットグリップ性能でbを獲得。シリカを分散して配置し、シリカ同士の摩擦による発熱を防ぎ、省エネに貢献するナノプロ・テックを採用。さらにタイヤサイド部の形状を丸くすることでタイヤが接地するときのゆがみを抑制、また、部材ごとの重量バランスを適正にすることでも転がり抵抗の低減を図っている。同社の他銘柄のタイヤ(B'STYLE EX)との比較では、転がり抵抗で25%低減したと言う。

 シリカの配置を最適化したゴムはウェット性能にも貢献。さらにトレッドパターンの工夫によりブレーキング時のブロック剛性や排水性を確保しつつ、接地圧の分散、接地性を向上。ウェット路面でのブレーキ制動距離では、B'STYLE EXとの比較で14%の短縮をしていると言う。また、水平設置形状や軽・コンパクトカー専用パターンの採用により、偏摩耗を防いでいる。

ナノプロ・テックによりシリカを最適に配置。また、タイヤの形状や重量バランスの最適化により転がり抵抗を低減したトレッドパターンにもウェットグリップ性能を確保するための技術が織り込まれる接地面を水平にすることで、タイヤが接地したときの無駄な変形を防ぎ、偏摩耗を抑制

ダンロップ(住友ゴム工業)
http://tyre.dunlop.co.jp/

LE MANS 4

●LE MANS 4(ル・マン フォー)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b(軽カー向け7サイズのみc)
サイズラインアップ:155/55 R14 69V~275/30 R20 97W XLの全86サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/lm704/

 低燃費タイヤとして世界で初めて特殊吸音スポンジを採用。さらにロードノイズを抑制する新コンビバンド、パターンノイズを低減するストレートブロックにより、従来モデルと比べ車内騒音エネルギーを13%低減したのがLE MANS 4だ。

 新・変性ポリマーを配合した低発熱密着ゴムは、走行中の無駄な発熱を抑えエネルギーロスを軽減。従来モデルと比べ、転がり抵抗で28%、燃費で3.8%向上している。さらに低発熱密着ゴムは、路面の細かな凹凸にも密着。接触面積の向上によりウェットブレーキ性能で9%の向上をしている。

 さらにトレッドパターンには、接地圧が均等に分散するよう適正化したパターンを採用。ショルダー部分の摩耗エネルギーが低減するとともに偏摩耗を抑制し、17%のロングライフ化を実現している。

特殊吸音スポンジや新コンビバンド、新パターンにより静粛性を向上末端部分がシリカと結合する新・変性ポリマーにより、不要な発熱を抑えエネルギーロスを低減
シリカと新・変性ポリマーの柔軟な結合により、路面の小さな凹凸に密着し、ウェットグリップを向上タイヤ接地面の圧力を分散することで、偏摩耗を防ぎ、タイヤの摩耗寿命を延ばす

ENASAVE 97

●ENASAVE 97(エナセーブ キュウジュウナナ)

転がり抵抗:AA
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:185/65 R15 88H~195/55 R16 86Vの全4サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/enasave97/
開発者インタビュー:http://ad.impress.co.jp/special/dunlop1007/
製品レビュー:http://ad.impress.co.jp/special/dunlop1007_2/

 多くの低燃費タイヤが転がり抵抗の低減を主題として開発されているのに対し、製造段階からのCO2の削減に取り組んだのがENASAVE 97だ。

 名前の97は原材料の97%に天然資源を使用しているという意味。天然資源を多用することで製造過程でのCO2発生を減らすだけでなく、原材料の資源となる植物を育てる段階でCO2を吸収するため、相対的にCO2削減へと繋がる。

 天然ゴムは石油由来の合成ゴムに比べ発熱がしにくく転がり抵抗は少ないが、その分ウェットグリップが低くなる。そこで天然ゴムを改質することで、ブレーキやコーナリングなど負荷が掛かった際には発熱しやすくし、転がり抵抗性能をAAにしながら、ウェットグリップ性能でもbと高い次元で性能をバランスさせている。

石油外の天然資源比率97%を実現したENASAVE 97合成ゴムの代わりに改質天然ゴムを使うことで耐久性も確保転がり抵抗を低減するため方向性パターンを採用

ENASAVE RV503

●ENASAVE RV503(エナセーブ アールブイ ゴーマルサン)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:155/65 R13 73H~245/40 R19 98Wの全40サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/rv503/

 重心の高いミニバン専用に開発された低燃費タイヤ。トレッドパターンを非対称とし、インサイド・アウトサイド指定とすることで、ミニバンならではのふらつきや偏摩耗を防ぐ。

 トレッド面のゴムには、分子レベルでの無駄な振動を抑え不要な発熱を防ぐ合成ゴム「末端変性SBR」と、ブレーキやコーナリングなどで負荷が掛かると素早く発熱する「改質天然ゴム」を合わせた「RV503用コロエネゴム」を採用。通常走行時は発熱を抑えて転がり抵抗を抑えながら、ブレーキングなどでタイヤに負荷が掛かったときには素早く発熱し、ウェット路面でもグリップ力を確保している。転がり抵抗性能でA、ウェットグリップ性能でcを獲得している。

合成ゴムのポリマーの末端を補強剤とつなげることで無駄な振動を抑え発熱を抑制天然ゴムを改質することでグリップ力を向上インサイドとアウトサイドを非対称のパターンとすることで、ふらつきや偏摩耗を抑制

ENASAVE EC202

●ENASAVE EC202(エナセーブ イーシーニーマルニ)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:145/65 R13 69S~215/55 R17 94Vの全67サイズ
製品情報:http://tyre.dunlop.co.jp/tyre/lineup/passenger/ec202/

 ENASAVE RV503で使われたコロエネゴムをさらに進化させたのがENASAVE EC202だ。合成ゴムには従来よりさらに無駄な振動・発熱を抑制する「マルチ変性SBR」を採用。さらにENASAVE RV503やENASAVE 97でも使われている「改質天然ゴム」を組み合わせた「EC202用コロエネゴム」をトレッド表面に採用。また、その下側のベース部分には発熱の少ない天然ゴムを採用している。

 これらにより通常走行時は発熱を抑えて転がり抵抗を抑え、ブレーキやコーナリングなどの負荷が掛かった際には素早く発熱してグリップを確保する。同社の従来モデルであるEC201との比較では、転がり抵抗で約20%低減、燃費で3.6%向上したとしている。また、ウェット路面でのブレーキ制動距離では、EC201と同等の性能を維持している。

無駄な振動を抑え発熱を抑制するコロエネゴムと、ベース部には天然ゴムを使うことで転がり抵抗を低減トレッドパターンはシミュレーションにより排水性や接地圧の最適化などを行っているトレッド幅が175以下のサイズでは4リブのトレッドパターンとすることでブロック剛性を確保

グッドイヤー
http://www.goodyear.co.jp/

GT-Eco Stage

●GT-Eco Stage(ジーティーエコステージ)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:145/80 R13 75S~215/55 R17 94Vの全41サイズ(※一部サイズは5月発売予定)
製品情報:http://www.goodyear.co.jp/products/tires/gtecostage/gtecostage.html

 GT-Eco Stageは、低燃費性能を向上し、転がり抵抗でA評価、ウェットグリップ性能でc評価を実現したスタンダードタイヤ。

 新開発のe-Hybridコンパウンド type-ESには、低発熱ソリューションポリマーを採用。ポリマーの末端が補強剤と結合しているため、余分な動きがなく、エネルギーロスを防ぐ。さらに、屈曲性や結合力にも強いため、はがれにくく、耐摩耗性も向上している。

 直接路面とは接しない下層のゴムには、発熱しにくい天然ゴムを使った低発熱ベースゴムを採用。またサイド部には硬軟2種類のゴムを組み合わせることで、発熱を抑えながら操縦性と乗り心地を両立。さらにトレッドパターンは、サイズに合わせて4リブと5リブタイプを用意。操縦安定性やウェット性能を確保するとともにe-Streamパターンにより偏摩耗も抑制する。

従来モデルと比べロングライフ性能で10%、転がり抵抗性能で17%向上低発熱ソリューションポリマーの末端が補強剤と結合し、無駄な発熱を防ぐ断裂が起きにくく耐久性にも優れるe-Hybridコンパウンド

EfficientGrip

●EfficientGrip(エフィシエントグリップ)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:185/65 R15 88H~205/60 R16 92Hの全5サイズ
製品情報:http://www.goodyear.co.jp/products/tires/efficientgrip/efficientgrip.html

 転がり抵抗を低減しながらも、ドライ・ウェットともに高いグリップを確保したというEfficientGrip。トレッド部には、専用開発されたトレッドコンパウンドを採用し、転がり抵抗を低減するとともに、ウェット路でのブレーキングやコーナリング時に、安定したグリップを発揮。さらにベースコンパウンドには、発熱や振動を効果的に吸収・緩衝する「クールクッションレイヤー」を、タイヤの骨格周辺には、転がり抵抗低減に効果のある「低発熱コンパウンド」を採用している。

 トレッドパターンはインサイド・アウトサイド指定の非対称パターンを採用。排水性能とグリップ、直進安定性を高次元でバランスさせている。

トレッド部にはシリカと専用ポリマーを使ったコンパウンドを採用。転がり抵抗を低減しつつウェットでのグリップを確保しているベースコンパウンドには発熱や振動を吸収・緩衝する「クールクッションレイヤー」を採用タイヤの骨格周辺には、転がり抵抗を低減する「低発熱コンパウンド」を採用

横浜ゴム
http://www.yokohamatire.jp/

BluEarth-1

●BluEarth-1(ブルーアース・ワン)

転がり抵抗:AAA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:195/65 R15 91H、215/45 R17 91Wの全2サイズ
製品情報:http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/bluearth/bluearth1.html

 転がり抵抗性能で最高評価となるAAAを獲得した低燃費シリーズのフラッグシップタイヤがBluEarth-1だ。

 トレッドゴムには、複数のポリマーやシリカ、オレンジオイルなどを最適に配合するとともに、化学反応も制御したナノブレンドゴムを採用。通常走行時は発熱を抑えつつ、コーナリングやブレーキング時には発熱、さらに耐久性も高めている。また、タイヤパーツと構造を見直すことで、約17%の軽量化を実現。サイド部にはディンプルサイドを採用することで、走行時の空気抵抗を低減している。

 空気圧の低下も転がり抵抗に影響を与えるため、インナーライナーに空気漏れの少ないエアテックス アドバンスドライナーを採用。そのほか、静粛性を高めるサイレントリングにより静粛性と快適性も確保している。

 

複数のポリマーとシリカ、オレンジオイルを最適にブレンドし、低燃費、ウェットグリップ、耐摩耗をバランスさせたナノブレンドゴムタイヤサイド部にゴルフボールのようなディンプルを設けることで空気抵抗を低減インナーライナーには、ゴムと樹脂の特性を併せ持つエアテックス アドバンスドライナーを採用

BluEarth RV-01

●BluEarth RV-01(ブルーアース・アールブイゼロワン)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:195/65 R15 91H~245/35 R20 95Wの全24サイズ
製品情報:http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/bluearth/bluearth_rv01.html

 横浜ゴムの低燃費タイヤ「BluEarth」シリーズにミニバン専用のプレミアムタイヤとしてラインアップされたのが、BluEarth RV-01だ。

 新開発のナノブレンドゴムには、複数のポリマーをそれぞれの特性を最大限に引き出す比率で配合。さらにオレンジオイルやシリカの結合力をあげるため、化学反応も制御。低燃費とウェットグリップ、耐久性を高次元でバランスさせた。

 構造やプロファイルも一新し、剛性を確保。ミニバン特有のふらつきを抑え、安定感のある走りを実現している。トレッドパターンには伝統のGRAND mapのトレッドパターンを採用し後部座席での静粛性を向上。さらに偏平率50以下のサイズには、インナーライナーにエアテックス アドバンスドライナーを採用し、空気圧の低下を抑制する。

最適な配分で配合し、化学変化も制御して作ったナノブレンドゴムが、燃費性能、ウェットグリップ性能、耐摩耗性能を高次元でバランスオレンジオイルがゴムをしなやかにし、路面への追従性を向上。ウェットグリップを向上している伝統のトレッドパターンを継承しつつ、プロファイルの見直しにより剛性をアップ。ミニバンでのふらつきを抑える

BluEarth AE-01

●BluEarth AE-01(ブルーアース・エーイーゼロワン)

転がり抵抗:AA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:145/80 R13 75S~215/60 R16 95Hの全32サイズ
製品情報:http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/bluearth/bluearth_ae01.html

 転がり抵抗を低減するため、新素材の「低発熱ポリマー」を採用。これは通常のポリマーに比べ分子鎖を長くしたもの。結果的に振動して発熱する末端部分の数を減らすことができ、さらに末端部分も発熱しにくい形状としたことで余分な発熱を抑え、低燃費性能を実現している。さらにオレンジオイルを配合。オレンジオイルはタイヤ表面のゴムをしなやかにし、路面への密着度を上げグリップを向上。また、オレンジオイルはブレーキやコーナリングで負荷が掛かった際にゴムが発熱するのを促進する。

 BluEarth AE-01では、ゴムだけでなく、低燃費シミュレーションにより、トレッドパターンやプロファイルにおいても、エネルギーロスを細かく検証し、転がり抵抗を低減。またタイヤ自体の軽量化も行っている。結果的に、同社別銘柄のタイヤ(ES300)との比較で、転がり抵抗が24%低減、燃費では3.2%向上している。

低発熱ポリマーの分子構造のイメージ。一般的なポリマー(左図)と比べ、低発熱ポリマー(右図)は分子鎖が長く末端部分が振動しにくい形状にグリップ性能のイメージ。通常巡航時は発熱を抑えて燃費をよくし、ブレーキなどのアクションが起こると発熱して従来品と同等のグリップを発生する「低燃費シミュレーション」により、トレッドパターンやプロファイルによるエネルギーロスも追求。赤い部分がエネルギーロスを表す

DNA Earth-1

●DNA Earth-1(ディーエヌエー アースワン)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b~c
サイズラインアップ:155/65 R13 73H~275/30 R20 95Wの全79サイズ
製品情報:http://www.yokohamatire.jp/yrc/japan/tire/brand/dna/dna_earth1.html

 シリカを配合した「ナノパワーゴム」に、天然ゴムとオレンジオイルを使った「スーパーナノパワーゴム」の技術を採用。オレンジオイルがゴム分子をしなやかにすることで接地面では路面にミクロレベルでしなやかに密着。グリップ力をアップする。さらにオレンジオイルはブレーキやコーナリングなどでタイヤのゴム分子が激しく動く際には発熱を促進する。これにより低燃費性能とグリップ性能を両立したと言う。

 トレッドパターンは、排水性を考慮した4本のワイドストレートグルーブや、インチアップした際にも偏摩耗を抑制するウェアコントロールショルダーなどを採用。サイズラインアップが多いのも特徴で、特にインチアップ向けのローハイトサイズでは新設計のフィラーを採用。ラウンドしたショルダー部を持つプロファイルも併せて、突き上げ感を抑えた乗り心地を実現している。

オレンジオイルが、絡み合ったゴム分子のすき間に入り込み、ゴムをしなやかにする通常走行時は従来の低燃費ゴムと同レベルの発熱でありながら、ブレーキなどのアクションがあるとオレンジオイルが発熱を促進し高いグリップ性能を生む静粛性や偏摩耗を抑制することも踏まえて作られたトレッドパターン。ワイドな4本のグルーブで排水性も確保する

日本ミシュランタイヤ
http://www.michelin.co.jp/

Primacy LC

●Primacy LC(プライマシー エルシー)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:195/60 R15 88V~245/45 R19 98Yの全28サイズ
製品情報:http://www.michelin.co.jp/tyre/patterndetail/PassengerCar/PrimacyLC

 低燃費タイヤでありながら静粛性にもこだわったプレミアムタイヤがPrimacy LCだ。ゴムには分子間の摩擦抵抗が少ないという「フルシリカコンパウンド」を採用。さらにコンパウンドの柔軟性を高めることで、路面の細かな凹凸にもフィットし、ドライ、ウェットを問わず高いグリップ力を発生する。

 プレミアムタイヤとしての静粛性を確保するために、トレッドには「サイレント・リブテクノロジー」を採用。リブを横方向に切り取ったときに、どの部分でも溝とブロックの幅の比率が一定となるように設計することで、パターンノイズの原因であるトレッドブロックの振動を抑えている。さらにショルダーブロックは4つのピッチバリエーションを持たせることで音の周波数帯を分散、またトレッドコンパウンドには振動を抑制するものとして、ロードノイズを低減している。これらの技術により、特に人の耳に聞こえやすい音域のパターンノイズを低減したと言う。

横断面を見たときに常にブロックと溝の割合が同じになるように設計したサイレント・リブテクノロジー特に人間の耳に聞こえやすい音域のパターンノイズを低減することで静粛性をアップ

ENERGY SAVER

●ENERGY SAVER(エナジー セイバー)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:185/55 R14 80H~215/60 R16 99H XLの全25サイズ
製品情報:http://www.michelin.co.jp/tyre/patterndetail/PassengerCar/EnergySaver

 従来モデル(ENERGY3)と比較し、転がり抵抗を約7%低減しながら、ウェット制動距離では約6%向上したという低燃費タイヤ。コンパウンドには転がり抵抗を低減しつつウェット制動性を向上するという「フルシリカコンパウンド」を採用。コンパウンドのミキシング工程では、フルシリカの性能を引き出すように最適化している。加えて、「デュラブルセキュリティ・コンパウンドテクノロジー」により、摩耗が進んだ際にもコンパウンドの剛性や特性が変化するのを抑え、グリップ力の低下を防いでいると言う。

 トレッドパターンはインサイド・アウトサイド指定の非対称パターン。センターに配置したストレートグルーブと独自のサイピングにより、排水性とグリップ性能を向上している。また車重を考慮して2タイプのトレッドパターンを用意している。これにより、コンパクトカーからミディアムカーまでさまざまな車種で安定した走りを実現する。

 ロングライフ設計としたのもENERGY SAVERの特徴で、トレッドの接地面を均一化することでグリップ性能を最大限に確保するとともに、偏摩耗を防ぐなど、耐摩耗性も考慮。ランニングコストにも貢献している。

ENERGY3との比較では、転がり抵抗で約7%低減、ウェット制動距離で約6%低減しているトレッドパターンはインサイド・アウトサイド指定の非対称パターン。さらに14インチタイヤではトレッドパターンを変更している

トーヨータイヤ(東洋ゴム工業)
http://toyotires.jp/

TRANPATH mpF

●TRANPATH mpF(トランパス・エムピーエフ)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b~c
サイズラインアップ:155/65 R13 73S~235/50 R18 101Vの全48サイズ
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/tampf.html

 1995年にいち早くミニバン専用タイヤとしてリリースされた「TRANPATH mp」シリーズ。その最新モデルが、ラベリング制度で転がり抵抗性能A、ウェットグリップ性能b(一部サイズはc)を確保し、低燃費タイヤとして登場した。

 背の高いミニバンでも優れた操縦安定性を実現するため、非対称パターンを採用。従来より評価の高かったトリプルトレッド構造をさらに進化。さらに、コンパクトクラスからLLクラスまでどのミニバンでも高い操縦安定性と乗り心地を両立するため、サイズ別に構造を最適化している。

 また、転がり抵抗低減とウェットグリップ向上のため、トレッドゴムにはシリカとアクティブポリマーを最適に配合。さらに制動時に接地面積が増えるイン側にはグリップポリマーを採用することで、従来モデルと比べ転がり抵抗で24%、ウェット制動性能で10%向上している。

イン側とアウト側でトレッドパターンを非対称とすることで、ウェット性能と操縦安定性を向上トレッドゴムにはシリカとアクティブポリマーを最適に配分。イン側のトレッドにはさらにウェット性能重視グリップポリマーを配合するベースコンパウンドには低発熱カーボンブラックとハイテクポリマーを配合。剛性を維持しつつ発熱を抑え、転がり抵抗を低減

TRANPATH Ne

●TRANPATH Ne(トランパス・エヌイー)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:b
サイズラインアップ:205/65 R16 95H、215/60 R17 96Hの全5サイズ
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/tane.html

 車両タイプに合わせた専用タイヤをラインアップするトランパスシリーズ。その中でもハイブリッドミニバンに特化したのがTRANPATH Neだ。

 高トルクなハイブリッドミニバンでもしっかりと走り、さらに快適な乗り心地も確保するため、Ne専用のトリプルトレッド構造を採用。さらにブリッジINサイプやノイズプロテクションシートにより静粛性を向上している。

 さらに燃費を向上するため、トレッドゴムは、イン側に低燃費マルチコンパウンド、アウト側にNewマルチハードコンパウンドを採用したほか、構造やトレッドパターンにおいても低燃費設計とし、転がり抵抗を13%低減している。アウト側のマルチハードコンパウンドは偏摩耗も抑制し、ロングライフも実現。また、エアキープライナーにより、空気圧の低下も低減する。

トレッドゴムのイン側アウト側で異なるコンパウンドを用い、ベースゴムも発熱しにくいコンパウンドを使ったNe専用トリプルトレッド構造TRANPATH MP3と比べ転がり抵抗を13%低減タイヤの内側のインナーライナーに、空気が抜けにくくなるエアキープライナーを採用。空気圧の低下による燃費の悪化を防ぐ

SUPER ECO WALKER

●SUPER ECO WALKER(スーパーエコウォーカー)

転がり抵抗:AAA
ウェットグリップ性能:c
サイズラインアップ:195/65 R15 91Hの1サイズ
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/sew.html

 日本で最初に転がり抵抗性能でAAAを獲得したのがこのSUPER ECO WALKER。トレッド面のゴムには、「スーパーアクティブポリマー」を採用。このポリマーは末端がシリカと繋がるため、無駄な振動を抑え、さらに高反応ポリマーのため、シリカが分散し、シリカ同士の摩擦を低減。さらにグリーンパウダーを採用することでエネルギーロスを低減している。

 ベース部のゴムには低発熱カーボンを採用。アクティブポリマーを結合させ、さらにシリカを配合することでエネルギーロスを減らしている。また、サイドウォールも同様にアクティブポリマーと低発熱カーボンを結合させ、さらにハイテクポリマーを加えることで剛性を確保している。

 タイヤプロファイルも接地した際の歪みを低減しエネルギーロスを減らす歪低減プロファイルを採用。トレッドパターンも最適化することで、接地圧分布を均一にし、転がり抵抗を低減しつつウェット制動性能、耐摩耗性を向上している。

高反応ポリマーによりシリカを分散し、さらにポリマーの末端をシリカに結合させることで無駄な発熱を抑えるトレッド部に使われているコンパウンドのイメージ。シリカが分散し、スーパーアクティブポリマーがシリカに結合しているプロファイルを見直すことで接地した際の歪みを低減。赤い部分が減っているのが分かる

ECO WALKER

●ECO WALKER(エコウォーカー)

転がり抵抗:A
ウェットグリップ性能:c~d
サイズラインアップ:155/65 R13 73S~215/55 R17 94Vの46サイズ
製品情報:http://toyotires.jp/catalog/ew.html

 トレッド部には「低燃費トレッドキャップコンパウンド バージョン ECO WALKER」を採用。これはシリカとそれに結合するアクティブポリマー、グリーンパウダーなどを採用した高反発なゴムで、高反発なほどエネルギーロスが少なく転がり抵抗も小さいのだと言う。さらに耐摩耗カーボンを最適に配合することで耐久性も向上している。

 また、タイヤ全体を見直すことで、従来品と比べ約10%の軽量化をしている。トレッド幅を最適化し、スリムにして転がり抵抗も減らす「軽量低燃費最適プロファイル」とし、軽量化による剛性の低下を防ぐため、「超高硬度ビードフィラー」や「高硬度プライトッピング」を採用している。軽量化は燃費向上へ貢献するほか、路面追従性がよくなり、乗り心地も向上する。

 さらに接地形状と接地圧を最適化することで耐摩耗性にも配慮。トレッドパターンには、3Dマルチサイプを用いて偏摩耗を抑制するとともにウェット性能も向上。またサイレントウォールやノイズプロテクションシートなど、静粛性にも配慮されている。

低燃費トレッドキャップコンパウンド バージョン ECO WALKERのイメージ。アクティブポリマーが末端でシリカに結合している燃費向上のため、タイヤ全体での軽量化も行っており、その分剛性を確保するための工夫がなされるECO WALKERに採用される様々な技術

(瀬戸 学)
2011年 3月 23日