日野、小型トラック「デュトロ」12年ぶりにモデルチェンジ
新世代ハイブリッドシステム搭載車も追加

日野「デュトロ」のハイブリッド車と、日野自動車 代表取締役社長 白井芳夫氏

2011年6月15日発表
2011年7月2日発売



 日野自動車は6月15日、小型トラック「デュトロ」を12年ぶりにモデルチェンジし、発表した。発売は7月2日からとなり、価格はハイブリッド、標準キャブ、標準長全低床などの仕様の「SJG-XKC605M-TQUMC」で、465万4650円。

新型デュトロ ハイブリッド車
フロントグリルの一部に、ブルーのハイブリッドカラーが入る
左側面に搭載されるPCU(パワーコントロールユニット)PCUの内部展示。コントロールユニットのほか、ニッケル水素バッテリーが搭載される

 従来のデュトロは、トヨタ自動車との共同開発モデルで、日野の羽村工場で生産し、トヨタブランドからは「ダイナ」「トヨエース」として発売されていた。新型デュトロは、トヨタグループの商用車専門メーカーである日野が主体となって開発し、世界へ販売するグローバルモデルとなっており、同時にモデルチェンジを行った新型ダイナ、トヨエースは日野からのOEMとなった。

 デュトロに搭載されるエンジン(システム)は、ディーゼルハイブリッド、ディーゼル、ガソリン、LPGの4種。なかでも、新開発のハイブリッドシステムを搭載するモデルは、世界初のアトキンソンサイクル 直列4気筒 4リッターディーゼルエンジンを搭載し、最高出力110kW(150PS)/2500rpm、最大トルク420Nm(42.0kgm)を発生。エンジンとモーターの間にクラッチを設けることで、効率のよりエネルギー回生を実現。さらに、新開発の5速AMT(機械式自動変速機)と協調制御することで、AT限定免許での運転が可能なほか、ドライバーによる燃費のばらつきを抑制する。1.5t超2.0t以下の重量車モード燃費は12.20km/Lとなる。

デュトロのインテリアハイブリッド車のトランスミッションは5速AMT2本スポークのステアリングホイール
商業車らしく、シンプルなメーターパネルセンターコンソール

日野自動車 代表取締役社長 白井芳夫氏

 発表会において、日野自動車 代表取締役社長 白井芳夫氏は、このデュトロが企画段階から海外展開を考慮に入れたグローバルモデルであることを強調。「日野は日本の日野から世界の日野になる」上での大きな武器になると言い、ハイブリッド車においては従来のディーゼル車に比べ、50%の燃費向上を目指して開発してきたと語った。

 デュトロの詳細については、国内企画部 第2商品グループ グループ長 梅村幸生氏、製品開発部 小型トラック担当 チーフエンジニア 熊坂正弘氏、デザイン部 第一デザイングループ グループ長 関口裕治氏、製品開発部 ハイブリッド担当 チーフエンジニア 山口公一氏から説明が行われた。


国内企画部 第2商品グループ グループ長 梅村幸生氏製品開発部 小型トラック担当 チーフエンジニア 熊坂正弘氏
デザイン部 第一デザイングループ グループ長 関口裕治氏製品開発部 ハイブリッド担当 チーフエンジニア 山口公一氏

 新型デュトロのデザインは、前面を若干絞り込んだものとなっており、燃費向上を狙ってCd値は30%向上。ハイブリッド車・ディーゼルエンジン車においては、尿素システムなしで平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制に適合したものとなっている。

 また、ハイブリッド車においては、西濃運輸や伊藤園、綜合警備保障などのユーザーに対してモニター運行を実施。同クラスの従来車に対して、燃費が38%~46%向上する結果を得たと言う。

フロント部を絞り込んで、空気抵抗を低減Cd値の向上は30%
大型トラックに採用されている、低燃費走行支援システム搭載尿素水を使わずにポスト新長期規制をクリアした
プリクラッシュセーフティシステム搭載車も用意Aピラーは死角が小さくなるようデザインサイドミラーは、2段式とすることで後方視界を拡大
青色の部分が拡大エリアVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)装着車も用意ハイブリッド車の開発目標。燃費値で50%の改善を目指した
事前に行ったモニターテストの値。燃費が38%~46%向上する結果を得た
5年間で5300Lの節約になると言う125円/Lとすると、66万2000円のコスト改善に

 発表会では、新型デュトロのテレビCMも公開された。CMは柳沢慎吾さん、新山千春さん、佐々木蔵之介さんがそれぞれ親子で登場する3本が制作され、7月1日から放映が開始される。3人は、それぞれ実家が自営業を営んでおり、柳沢さんは「実家におすすめ 柳澤商店」編、新山さんは「実家におすすめ 新山りんご園」編、佐々木さんは「実家におすすめ 佐々木酒造」編に登場し、実家に日野デュトロの使用を勧めるというストーリー。発表会場には、柳沢さんと新山さんが登壇し、CM制作の苦労話などを披露した。

実家が八百屋の柳沢慎吾さん実家がリンゴ農家という新山千春さん撮影の苦労話が披露された

 日野は、このハイブリッド車を中心に新型デュトロの拡販を図り、国内の年間販売目標1万2000台の達成を目指す。なお、その際のハイブリッド車の販売台数は、およそ4000台になるとのこと。2015年の世界販売台数は、従来の4倍となる14万台を目指している。


(編集部:谷川 潔)
2011年 6月 15日