J.D.パワー、自動車初期品質調査はトヨタが3セグメントでトップ
2011年日本自動車初期品質調査(IQS)より

セグメント別ランキングトップ3モデル(出展:J.D. パワーアジア・パシフィック2011年日本自動車初期品質調査[IQS])

2011年8月31日発表



 J.D.パワー アジア・パシフィックは8月31日、「2011年日本自動車初期品質調査(IQS)」の結果を発表した。同社では、2001年より日本の軽自動車の初期品質調査を実施し結果を発表してきたが、今年は調査規模を登録車にも拡大し、初めて包括的な日本自動車初期品質調査を行った。

 この調査は、2010年8月~2011年3月の間に自動車を新車で購入したユーザーを対象に、購入後2~9カ月における車両の初期品質を調査したもの。2011年5月に郵送調査を実施し、8780人から回答を得ている。

 ランキングは、「製造不具合」(「壊れる」や「動かない」など、主に製造に起因するもの)、「設計不具合」(ユーザーの期待を設計仕様が満たさないため、「使い勝手が悪い」等、主に設計に起因するもの)の2つのカテゴリーにおいて、ユーザーが実際に経験したものを指摘してもらい、100台あたりの不具合指摘件数をIQSスコアとして算出。単位はPP100(Problems per 100 Vehicles)で、数値が小さいほど不具合指摘が少なく、品質がよいことを示す。調査対象の車両は全14ブランド、90 モデル。有効サンプル数が100サンプル以上のモデルをランキング対象としている。

トヨタがすべての登録車カテゴリーでトップ
 軽自動車、登録車の主要モデルを初めて包括的にカバーした新車の初期品質調査で、総合IQSスコアの業界平均は109PP100。これは6月に発表された米国の新車の初期品質調査の業界平均107PP100と同水準。

 ランキング対象の41モデルのトップに立ったのは昨年12月に発売された3世代目のトヨタ「ヴィッツ」で、総合IQSスコアは73PP100と不具合指摘件数は業界平均よりも30 ポイント以上少ない。

 今回ランキングが発表された4つの車両セグメントの内、登録車セグメントである「コンパクト」「ミッドサイズ」「ミニバン」において、ヴィッツ、カローラアクシオ/フィールダー、エスティマと、トヨタが首位を独占した。マーケットの1/4を占めるコンパクトセグメントでは、1位ヴィッツ、2位ラクティス、3位パッソと、トヨタが独占している。

 軽自動車セグメントでは、スズキ「アルト」、ホンダ「ライフ」、スズキ「ラパン」という結果になっている。

ハイブリッド車の課題は、装備品などの使い勝手
 調査対象となった新車購入者のうち13%、特にミッドサイズセグメントでは半数がハイブリッド車を購入しており、エコカーの代表としてハイブリッド車の人気が高いことが分かるとしている。登録車のハイブリッド購入者は、38%が「車を選ぶ上で最も重視するのは燃費である」に「かなりそう思う」と回答。この割合はノンハイブリッド購入者の2倍以上となり、ハイブリッド車に対する燃費への期待の高さをがうかがえるとしている。

 不具合指摘件数では、ハイブリッド車は「燃費が悪過ぎる」を含むエンジン・トランスミッション分野での指摘件数が、ノンハイブリッド車に比べ5.1PP100少なく、この分野は事前の顧客の期待にも合ったハイブリッド車の強みとなっている。一方で、ハイブリッド車は、オーディオ/エンターテイメント/ナビゲーション分野、装備品/コントロール/ディスプレイ分野での不具合指摘が、ノンハイブリッド車に比べ多くなっている。不具合の多くは使いにくさ、分かりにくさといった操作や表示などの設計不具合の指摘。

 ハイブリッド購入者はノンハイブリッドに比べ中高年齢層が多いという特徴もあることから、今後はドライブモニター、オーディオやナビ、装備品のスイッチ類やディスプレイなどの多種多機能の操作が、幅広い年齢層のドライバーに負担無く操作出来るように設計段階から改善する余地があるとしている。

燃費の不具合は品質満足度を大きく低下
 減税率に違いはあるものの、今回調査対象となったモデルのほとんどがエコカー減税の対象となっており一定の燃費基準をクリアーしている。業界全体で見ると、「燃費が悪過ぎる」という不具合指摘件数は2.7PP100で227項目のうち6番目に多い。

 一方、燃費の不具合を指摘した場合、車の品質に対する満足度評価が、燃費の不具合がなかった場合と比べて20%程度低下し、不具合経験による満足度の低下率は、227項目中最も高くなっている。このことから、燃費に対する評価が、車両品質全体を大きく左右する。

 エコカー、低燃費車は、これまでコンパクトカーや軽自動車を中心に供給、需要の両方から成長して来た。しかし、より大きなサイズの車両においても購入者側からも燃費への対応が求められており、本調査の結果ではミニバンセグメントにおいて依然燃費の不具合指摘が多い事が分かった(4.0PP100)。エコ、燃費といった付加価値を提供しながら、収納スペース等同セグメント購入者が重視しているニーズを満たすことができれば、エコカーのさらなる成長のチャンスがあると結論づけている。

(編集部:谷川 潔)
2011年 8月 31日