10月4日～8日まで幕張メッセ（千葉県千葉市美浜区）で開催される、IT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN 2011」。本記事では、電機メーカーや通信事業者のクルマ関連展示を取り上げる。

■AR（拡張現実）技術を組み合わせたHUD
　昨年、HUD（ヘッドアップディスプレイ）を展示したパイオニアは、そのHUDにAR（拡張現実）技術を組み合わせたAR HUDを展示。光源にRGBレーザーを採用したこの車載ディスプレイは、フロントガラス前方の空間に映像を浮かせて表示することができ、さらに拡張現実を組み合わせたナビゲーション情報表示が行える。

　映像が投影されるディスプレイはフロントガラスよりも手前に位置し、人間の目からは前方の景色に情報を重ねあわせて表示される。実用化の時期などは未定だが、現時点では、運転者から見て障害物にあたる可能性があり、法規的にも課題があると言う。

　パイオニアはこのほか、スマートフォンと組みわせた「ドコモ ドライブネット」、Andoroid OSを搭載したサイクルコンピューターなどの展示を行っている。

パイオニアのAR HUD展示。その表示を実際に体験できる	写真では分かりにくいが、前方の景色に見立てたディスプレイの手前にヘッドアップディスプレイがあり、情報がカラーで表示されている
会場のデモスクリーン画面。ARによる情報表示は、新型サイバーナビに搭載されたARスカウターモードがベースになっていることが見て取れる。解像度も向上している

カーナビのラインアップ展示も行われる	スマートフォンを使った「ドコモ ドライブネット」。操作感などを試すことができる

■EV用ヒートポンプエアコンを展示したパナソニック
　パナソニックは家電で培った省エネ技術を、電気自動車（EV）などの車載システムへと展開する展示を実施。「熱システム」「電池システム」「電源システム」の展示を行った。

　展示されたモックアップにはヒートポンプ式のエアコンが装着され、空調の省電力化をアピール。エンジンの余熱で暖房する通常のクルマに対して、EVは熱源がないため暖房のために走行用バッテリーを消費して熱を作り、それが燃費に大きく影響する。

　パナソニックによれば、今回展示されたようなヒートポンプ式にすることで、暖房時の消費電力を従来の伝熱線を使った暖房に比べて30％減らすことができるという。

　また、電子レンジやIHクッキングヒーターの技術を応用した車載充電器、ノートPCの充電池を応用したリチウムイオン電池モジュールなどを搭載、ホームエレクトロニクスの技術を応用できることを強調していた。

パナソニックは家電で培った省エネ技術をクルマに応用する展示を実施	EV用のヒートポンプエアコン
フロント部分にはエアコンの室外機に相当する熱交換器を設置する	ノートPCの技術を応用した電池システム	IHクッキングヒーターを応用した非接触充電システムを搭載する

■スマートフォンと組み合わせた充電システム
　KDDIは、トヨタメディアサービスのEV/プラグインハイブリッド（PHV）向け充電スタンド「G-Station」をPHV仕様のプリウスとともに展示した。

　「G-Station」はトヨタメディアサービスが販売する充電器だが、スマートフォンのおサイフケータイ機能で利用できる認証・課金システムを持っている。充電をする際、充電器にスマートフォンをかざすことで、ロックされた充電ソケットを使うことができ、充電完了後には充電にかかる費用の精算も行える。

　さらに、スマートフォンの画面から「G-Station」を設置した場所を検索でき、充電の予約もできるシステムにするという。

　充電はガソリンの給油と違って時間がかかるため、待ち時間を少なくするために予約機能の提供を予定している。ただし、時間内に充電が終わらなかったり、交通渋滞などで予約時間に到着できなかったりした場合の対応など、運用面で課題が多いために当初は提供されない予定だと言う。

KDDIはトヨタメディアサービスの「G-Station」を展示	「G-Station」の充電器	スマートフォンをかざす部分。認証が取れると充電ソケットのロックが解除される

　そのほか、NECはブースにリーフを展示。同社の「C&Cクラウド」と連携し、電子マネー基盤の活用で課金サービスを提供するなどの展示を行った。リーフに搭載するリチウムイオンバッテリーは、日産とNECグループの合弁会社が開発したバッテリーが搭載されていることもアピールしていた。

NECは「C&Cクラウド」と連携した電気自動車の充電課金システムを展示	リーフには日産とNECグループの合弁会社が開発したバッテリーが搭載される