フォルクスワーゲン、「ゴルフTSIトレンドライン」にアイドリングストップを搭載 2012年には「up!」を投入、販売台数約18%増を狙う |
フォルクスワーゲン グループ ジャパンは16日、アイドリングストップとブレーキエネルギー回生システムを搭載した「ゴルフ TSI トレンドライン ブルーモーション テクノロジー」を発売した。
同日、都内で記者会見を開催し、ゴルフ TSI トレンドライン ブルーモーション テクノロジーの概要と、2012年の同社の戦略を解説した。
■ゴルフにアイドリングストップを搭載
ゴルフ TSI トレンドライン ブルーモーション テクノロジーは、1.2リッターターボエンジンを搭載するエントリーモデル「TSI トレンドライン プレミアムエディション」に、アイドリングストップとブレーキエネルギー回生システムを搭載したモデル。同社はアイドリングストップとブレーキエネルギー回生システムを「ブルーモーション テクノロジー」と総称している。
ブルーモーション テクノロジーを搭載し、装備もほぼ同じ(フロントフォグランプが省かれたのみ)にも関わらず、価格はプレミアムエディションから1万円高の2,640,000円に設定された。
パワートレーンは直列4気筒SOHC 2バルブ1.2リッターターボエンジン+7速デュアルクラッチAT「DSG」。77kW(105PS)/5,000rpmの最高出力と175Nm(17.8kgm)/1,500-4,100rpmの最大トルクもプレミアムエディションと同じ。4,210×1,790×1,485mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2,575mmというディメンションも、1,270kgの重量もまったく同じだ。
しかしブルーモーション テクノロジーにより、10・15モード燃費は17.4km/Lから18.4km/Lに改善されている。75%のエコカー減税対象となるほか、100,000円のエコカー補助金の対象にもなる。
同社ラインアップでは「シャラン」「パサート」「パサート ヴァリアント」に続く4車種目のブルーモーション テクノロジー搭載車となるが、ゴルフ ヴァリアントのほか、順次、全車種にブルーモーション テクノロジーを展開する予定だ。
TSIトレンドライン ブルーモーションテクノロジーの概要 | 今後、ヴァリアントはじめ、様々な車種にブルーモーション テクノロジーを展開する |
ドリザス社長 |
■2012年の自動車市場は好調、フォルクスワーゲンは18%増目標
発表会で同社のゲラシモス・ドリザス社長は、2011年の世界のフォルクスワーゲン グループの販売台数が過去最高の816万台(前年比14.3%増)となったこと、フォルクスワーゲンブランドの乗用車も13.1%増の509万台になったこと、世界の全地域で前年比増となったことを紹介。
日本では「前半は在庫不足に悩まされたものの、夏以降は新型車の導入や数々の販売施策などを通して挽回し、最終的に前年比で+8.4%となり、2007年以来となる5万台の大台を回復し、12年連続で輸入車販売No.1を達成した」とアピール。純輸入車の販売が20万台を回復するなかで、25%のシェアを維持し、全乗用車におけるシェアも約1.5%に伸ばした。
この好調の要因は「7車種の新型車の導入」「ポロ、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアントがエコカーとして認知が進み、販売台数の85%がエコカー減税対象車」「輸入車への不安を払拭するパッケージやキャンペーン」を挙げた。
全世界の売上が初めて800万台を突破 | 全地域で前年増 | 国内は8.4%増で5万台を回復。輸入車No.1は12年連続 |
2012年は「欧州の財政危機、円高による輸出の低迷、生産の海外シフトによる国内設備投資の停滞など、不透明な環境が予想される」が、その一方で「復興需要の本格化が景気押上げに作用」し、「エコカー減税延長」「エコカー補助金導入」「大震災やタイ洪水からの回復による車両の安定供給」「ダウンサイジングエンジンや“第3のエコカー”などの既存技術を改善した環境車の浸透」により、「全乗用車市場は430万台程度に回復、輸入車マーケットも引き続き好調に推移し、昨年の約10%増である約22万台規模に2ケタ成長することが予想されている」と、自動車市場の明るい見通しを述べた。
こうした中、ディーラーの再編、フォルクスワーゲン オーナーとディーラーを結ぶツールである「フォルクスワーゲン オーナーズパス」の全国展開、世界統一の新認定中古車制度「Das Welt Auto(ダス ヴェルト アウト)」の開始といった新施策を導入。新型車の導入や、ブランド強化と認知向上、販売支援キャンペーンも継続し、2012年は6万台(2011年比約18%増)を狙う。
2012年の施策 | ディーラーを「ハブ店」「ブランチ店」「サテライトサービス」に分けて再編し、全国をカバーする | |
オーナーズパスは2011年秋にトライアル導入されているが、2012年は全国展開する | 新認定中古車制度「Das Welt Auto」はアフターセールスや新車販売との連携を強める |
2012年の新車導入スケジュール |
■「up!」を日本に導入
気になる2012年の新型車だが、すでに日本でお披露目された「ザ・ビートル」は、夏頃に発売される予定。
またザ・ビートルと同時に東京モーターショーで披露された「パサート オールトラック」は第2四半期から第3四半期にかけて、「CC」は第3四半期後半に発売される。
パサート オールトラックはパサート ヴァリアントをベースとしたクロスオーバーモデルで、フェンダートリムなどクロスオーバー風アイテムを与えられた外観や、4WDシステムと高められた車高、オフロード向けのドライブプログラムを備える。
CCは「パサートCC」の後継となる4ドアクーペ。メカニカルコンポーネントはパサートCCのものを継承するが、外観や内装は大幅に手が入る。
さらに、ポロよりも小さなサブコンパクト「up!」の日本導入が正式に発表された。仕様や価格などは明らかにされていないが、2012年第4四半期頃に導入される予定。安価で良質な国産競合車が居並ぶセグメントだが「環境にいいだけでなく、品質、ボディー剛性、運転する楽しさなど、フォルクスワーゲンらしさ」(正本嘉宏マーケティング本部長)、「このサイズのクルマとは思えないクオリティ」(ドリザス社長)を訴求する。
ザ・ビートルは夏ごろ | CCとパサート オールトラックは第2四半期から第3四半期にかけて導入 | up!の導入も正式発表 |
(編集部:田中真一郎)
2012年 1月 16日