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ブリヂストン、新たな天然ゴム資源「ロシアタンポポ」の研究を加速
2020年以降の製品化を目指す

新たな天然ゴム資源「ロシアタンポポ」の根部

2012年5月17日発表



 ブリヂストンは5月17日、新たな天然ゴム資源「ロシアタンポポ」が従来の天然ゴムと同等の性質が確認されたことから、実用化に向けた研究活動を今後さらに加速させていくと発表。このロシアタンポポについての技術説明会を同日開催した。同社はロシアタンポポ由来の天然ゴムを使った製品を、2020年以降に発売することを目指している。

 説明会では、同社のタイヤ材料開発第1本部 フェロー 小澤洋一氏がロシアタンポポについての説明を行った。

ロシアタンポポ タイヤ材料開発第1本部 フェロー 小澤洋一氏

 同社は世界の自動車保有台数の増加に伴い、タイヤの需要がさらに拡大することを見込んでおり、そのことから従来のパラゴムノキ由来の天然ゴムに代わる、新たな天然ゴム資源を探っていた。今回発表されたロシアタンポポはそのうちの1つで、同社の米国法人「Bridgestone Americas Tire Operations(BATO)」が米国オハイオ州の産学連携コンソーシアム「The Program of Excellence in Natural Rubber Alternatives(PENRA)」に参加して、2010年から進めていたロシアタンポポの研究開発で、パラゴムノキ由来の天然ゴムと同等の性質が確認されたことから発表にこぎつけた。

 小澤氏ははじめに天然ゴムについて触れ、「天然ゴムは耐久力が高く、発熱性が低いので低燃費。さらにこれらと相まって耐摩耗性もある」と述べるとともに、「タイヤに使われるゴムのうち、57.2%が天然ゴム。いかにタイヤにとって欠かせないかということが分かる」とその重要性を説く。とくにタイヤ内部のベルトコーティングゴム、チェーファー、ビードフィラーといった内部部材に、天然ゴムは必要不可欠だと言う。

 現在使われている天然ゴムはパラゴムノキ由来のもので、一部ブラジルなどでも収穫されるものの、約9割は東南アジア原産となる。また、同社は新たな天然ゴム資源として、米国南西部からメキシコ北部が原産の低木「グアユール」の研究開発活動も行っている。そしてロシアタンポポは、パラゴムノキの生える熱帯や、グアユールの生える乾燥地帯とは異なる、ウズベキスタン・カザフスタン原産の温帯に生育する多年草で、1931〜1932年に発見されたものと言う。このように、まったく異なる気候条件の土地で栽培される植物の実用化が実現されれば、原材料供給源の多様化につながり、現在の天然ゴム産出地域への一極集中の緩和になる。

 このロシアタンポポの利点は、広大な温帯地域で生育可能であることのほか、「パラゴムノキが20〜25年と長い栽培サイクルなのに対し、1〜2年程度で収穫できるため、アクションを起こしてからゴムの収穫までが短いというよさがある」(小澤氏)。

 また、ロシアタンポポの根を砕いてゴムを取り出すが、そのまま物性を評価したところ、一部の物性が従来の天然ゴムに至らなかった。そのため、グアユールの抽出技術を応用して精製したところ、従来の天然ゴムとほぼ同等の物性を得られたと言う。

 一方課題もあり、1つは農業としての生産性が低いこと。そしてもう1つがゴム物性についてで、「(ロシアタンポポが発見された)戦時中のデータでは(ロシアタンポポの物性は)有望とされていたが、現在のタイヤに使って耐えられるかどうか、さらに確認する必要がある」(小澤氏)。この2つの課題については、PENRAに参画するオハイオ州立大学は農業生産性の改善などを、BATOはタイヤ材料としての活用技術の研究・開発を進め、改善を図っていく。

 現時点では上記のほか、そもそも種として栽培していけるのか、またどの程度の量を収穫できるかといった課題があるものの、引き続きPENRAとの共同研究を行い、2014年の収穫拡大、そして2020年以降にロシアタンポポを使った製品の発売を目指すとしている。

ブリヂストングループの環境長期目標について 従来の天然ゴムに使われるパラゴムノキの栽培と収穫例 天然ゴムとタイヤの関係。タイヤに使われるゴムのうち、57.2%に天然ゴムが使われ、残りの42.8%に合成ゴムが使われる
天然ゴム生産地域を多様化することで、現在の天然ゴム産出地域への一極集中の緩和になる ロシアタンポポについて ロシアタンポポの利点と課題
ロシアタンポポの研究開発は、BATOやオハイオ州立大学などが参画するPENRAで行われている ロシアタンポポからのゴム精製技術 まとめ

(編集部:小林 隆)
2012年 5月 18日