CHAdeMO協議会志賀会長、「決してコンボを否定しようとしているのではない」
CHAdeMO協議会第2回総会より

チャデモ協議会初の総会を都内で開催した

2012年5月22日開催



 CHAdeMO(チャデモ)協議会は5月22日、都内で「チャデモ協議会第2回総会」を開催した。第2回とあるが、第1回を開催する予定だった昨年は東日本大震災の影響により中止しており、今回が設立後初の総会となる。

 CHAdeMO協議会はトヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車工業、富士重工業、東京電力を筆頭に、電気自動車(EV)に使用する急速充電器の設置個所拡大と、充電方式の標準化を目的に2010年3月に設立された。CHAdeMO は同協議会が標準規格として提案する急速充電器の商標名で、「動く、進むためのチャージ」「de(電気)」のほか、「クルマの充電中にお茶でもいかがですか」の3つの意味を含む。同協議会の立ち上がりは国内外含め158社・団体で構成されていたが、現在の会員はグローバルで約430社まで広がり、そのうち1/4を海外会員が占めると言う。

CHAdeMO協議会会長の志賀俊之氏

 総会で登壇した会長の志賀俊之氏(日産自動車 最高執行責任者)は、「急速充電器の設置台数はグローバルで約1400台、国内だけでも1000台を超え、急速充電器メーカーはグローバルで32社に拡大するところまできており、急速に発展してきている」とし、今後は各自動車会社からEVの投入が計画されており、関係する企業・行政と連携して急速充電器の普及をさらに目指すと述べた。

 その一方で、CHAdeMO協議会の組織運営体制を整備するスピード以上にEVや急速充電器が発展したことから、「現状では急速充電器検定制度の整備遅れ、東日本大震災以降に期待が高まるV2H(Vehicle to Home:クルマから家庭電力への給電)の機能拡張対応の遅れという課題が残っている」と、これまでの運営を振り返り、すべてが順調ではなかったと語る。

 さらに「『協議会運営がよく見えない』『閉鎖的運営をしている』といった、運営面に関するご指摘も頂いている」ことから、2012年度は協議会運営体制の見直しを図り、ガバナンスを改善・強化することで改善を行っていくとした。しかし、現状の体制では限界があることから「法人化もその方策の1つとして検討している」(志賀会長)と、同協議会を法人化することも視野に入れていることを明らかにした。

 他方、急速充電器の国際基準は現在、IEC(国際電気標準会議)で検討が進められているが、「この国際規格は日本仕様『CHAdeMO』、欧米仕様『コンボ』、そして中国仕様と、すべて認められる併記の形になっている。これに対し、米国欧州では欧米仕様『コンボ』を地域標準にし、CHAdeMOを排除する強力な動きがあり、それが最近の報道ではCHAdeMO対コンボとして盛んに取り上げられている。これはすでに量産化され、普及段階にあるCHAdeMOと、まだ開発段階のコンボのどちらがよいかを充電システム全体ではなく、コネクターに特化して議論されている。私たちは、決してコンボを否定しようとしているのではない」とし、EVの普及がグローバルでの喫緊の課題であるなか、こうした急速充電器の標準化が障害となってEVの普及が遅れるというようなことはあってはならないと強く叫ぶ。

 また、志賀会長は「すでに世界中で始まっているEVを普及させる動き、EV社会実現に向けての流れを遅らせてはならないこと」、「すでにEVにお乗り頂いているお客様にご迷惑をかけたり、これから乗ろうと考えているお客様を不安にさせてはいけないこと」がポイントであるとし、「すでに普及段階にあるCHAdeMOの存在が認められた上で、将来、業界内で1つの規格に収束していくための関係者間の協議が必要」と、早期に急速充電器の規格問題を解決するべきとの意向を述べたほか、「コネクターは重要な部品だが、コストで見ると充電システムおよび設置の5%程度のものであり、残りの95%の部分の互換性の検討は十分可能である」「すでに設置され、設置されているものが将来無駄にならないようにすることが重要で、新たなコネクターとの互換性を確保する議論が重要である」とし、細部の意見の相違に時間を費やすのではなく、実行可能な解決策に向けた取り組みをしていきたいとの要望を語った。

経済産業省 製造産業局 自動車課 電池・次世代技術室長の井上悟志氏は「電動車両の普及を加速し、新しい市場の健全な発展を促す。その上で利益を確実に確保していくという目標に向け、引き続き会員の皆様が一致団結してご尽力して頂きたい。私ども政府としてもこういった活動についてはできる限りの支援をしていきたい」と来賓の挨拶を行った欧州CHAdeMOワーキンググループリーダーであるオランダ・アムステルダム市のロナルド・ハーズ氏は、欧州CHAdeMOの活動や今後の展望などについて語るとともに、「欧州ではCHAdeMOに対し閉鎖的な組織であるとの印象を持っている方もいる。そうなると明確なコミュニケーションが欠落するので、今後PR活動を積極的に行っていく必要がある」など、今後の課題についても触れたCHAdeMO協議会事務局の丸田理氏は2012年の計画について紹介し、今年は「さらなるオープン化で世界に飛躍を!」をキーワードに「標準化活動の推進」「コミュニケーションと透明性の向上」「広報活動の強化」を行っていくと述べた

(編集部:小林 隆)
2012年 5月 23日