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チャデモ協議会、2017年度中に150kWの高出力充電器の設置を目指す

2017年会員大会より

2017年5月31日 開催

一般社団法人 チャデモ協議会 会長 志賀俊之氏

 CHAdeMO(チャデモ)協議会は5月31日、東京都渋谷区のセルリアンタワー東急で「チャデモ会員大会2017」を開催。2016年までは総会として開催されていたが、一般社団法人化した今年から名称を会員大会に変更。2017年に150kWの高出力充電器の設置を目指していることなどが報告された。

一般社団法人 チャデモ協議会 事務局長 吉田誠氏

 2016年度の事業報告として、チャデモ協議会 事務局長の吉田誠氏は「チャデモの充電器数は2017年5月末の時点で世界に1万5496基となった。韓国でチャデモが普及してきたことも大きな要因となり、2016年度に比べるとアジアの充電器数が1901基と急激に増え、電動化の波が及んでいる」と話した。

 また、電池容量の増大に伴って、2017年3月に瞬間で150kW、定常で100kWという高出力充電の規格を発表して高出力充電テストを行ない、正常に充電が行なえることを確認したと報告。さらに、検定の強化として行なった小型検定器の開発について「今後は高出力やV2H機能も検定できるようにしていきたいと考えている」と述べた。

 2017年度の活動方針として吉田氏は「コア技術の見極め、機能拡張、いっそうの地理的拡大の3つを軸にする。コア技術の見極めとして、安全性や互換性というコアの部分を守り、2輪や超小型モビリティ、バスや大型車、非接触の通信などで充電ができないかと考えている」と話した。また、技術拡張として「今年は150kWの高出力充電器の実機を設置したいと考えている」と述べ、地理的拡大については「現地化に向けて国際的なサポート体制を整えるにあたり、現地事務所を作らなければいけないとも考えていて、グローバルヘルプデスクなども整えていく」との考えを示した。

 なお、会員大会の冒頭で登壇したチャデモ協議会 会長の志賀俊之氏は、チャデモ協議会が目指す未来社会について「今後訪れる第4次産業革命として資源エネルギー、環境、格差といった問題が是正されるべき産業革命になるという期待を込めて考えている」と話し、EV(電気自動車)を再生可能エネルギーの蓄電池として活用することについて「EVがネットワークとつながり、太陽光で発電された電気を溜めることができるような仕組みになれば、再生可能エネルギーの多い国を作ることにつながるのではないか」と考えを述べた。

 続けて、鹿児島県甑島の太陽光発電所で発電した電気のうち、捨てられていた電気をEV36台分のバッテリーパックへ蓄電する検証実験や、150kWの大型の急速充電器を使用してバッテリー容量120kWhの路線バス1回の航続距離をカバーする、EVバス普及拡大の取り組みなどを紹介。

鹿児島県甑島で行なわれている、バッテリー2次利用による大型蓄電システムに関するスライド
EVバス普及拡大の取り組みに関するスライド

 最後に志賀氏は「現在EVに搭載されているバッテリーは30kWhが中心だが、これからは40kWh、60kWh、さらにその先と、どんどん容量も変わっていく。60kWhのような大容量のバッテリーも20分ほどで80%の充電を行なえる、150kWなどの高出力な急速充電システムの普及が大きく期待できる」と話し、「チャデモ協議会はクルマと社会をつなぐインターフェースの担い手として、今後も重要な役割を果たしていきたい」と述べた。