日産、3m超の荷室長を備えた新型「NV350 キャラバン」
ガソリン車のほか、2.5リッタークリーンディーゼル「YD25DDTi」を新搭載

新型「NV350 キャラバン」

2012年6月15日発売
189万4200円~351万1200円



 日産自動車は6月15日、4ナンバー小型商用車「NV350 キャラバン」を発売した。価格は189万4200円~351万1200円。

価格一例

用途駆動車幅ボディータイプルーフフロア定員グレードドアエンジンミッション価格
バン2WD(FR)標準ロング標準ルーフ低床5プレミアムGX5QR20DE5速AT2,620,800円
9DX42,140,950円
平床652,130,450円
低床3DX(ルートバン)41,978,200円
スーパーロングハイルーフ6DX5YD25DTTi2,809,800円
4WDロング標準ルーフ5プレミアムGX53,511,200円
ワゴン2WD(FR)標準ルーフ10DX4QR25DE2,436,000円
スーパーロングハイルーフ10GX43,205,650円

 5代目となる新型キャラバンには、新たに日産バン/車格(車両総重量)3.5tをあらわす「NV350」の名称が与えられた。グレードは大きく分けて上級グレードのプレミアム GX/GX、標準グレードのDXの2グレード構成で、バンは「DX(3人乗/6人乗/9人乗)」「プレミアムGX(5人乗)」、ワゴンは「DX(10人乗)」「GX(10人乗)」をラインアップ。

 バンは2WD(FR)/4WD車が用意され、2WD車のDXはロングボディー+標準ルーフ、4WD車はロングボディー+標準ルーフに加えスーパーロングボディー+ハイルーフをラインアップする。プレミアムGXは2WD/4WD車ともにロングボディー+標準ルーフのみ。

 ワゴンはDX、GXともに駆動方式は2WDで、DXはロングボディー+標準ルーフ、GXはスーパーロングボディー+ハイルーフの組み合わせとなる。

NV350キャラバン バン プレミアムGX(2WD・ガソリン)。ボディーカラーは特別塗装色のタイガーアイブラウン。オプションのバイキセノンヘッドランプとLEDポジションランプなどを装備する
NV350キャラバン バン DX(2WD・ガソリン)NV350キャラバン バン プレミアムGX(2WD・ガソリン)

新開発のクリーンディーゼルエンジンを搭載
 小型キャブオーバーバンのマーケットは、これまでハイエースとキャラバンの寡占状態にあったが、近年はキャラバンのシェアが漸減していると言う。その理由として「スタイリング、エクステリアデザイン」「荷室の長さ」「燃費」「バリエーションの少なさ(ワイドボディー車のバリエーションがない)」を挙げており、そのため新型キャラバンでは「クラストップの低燃費」「堂々として存在感のあるデザイン」「広くて使い勝手のよ荷室空間」「従来の商用車にはない先進装備」に焦点をあてて開発された。

 まず燃費について。ガソリン車は直列4気筒DOHC 2リッター「QR20DE」と直列4気筒DOHC 2.5リッター「QR25DE」の搭載は従来どおりだが、ディーゼルエンジンはこれまでの直列4気筒DOHC 3リッター「ZD30DDTi」から、直列4気筒DOHC 2.5リッターの新開発クリーンディーゼルエンジン「YD25DDTi」を採用。トランスミッションは全車5速ATを組み合わせるほか、QR20DE/YD25DDTi搭載車は5速MTもラインアップする。

 YD25DDTiは、従来のZD30DDTiからダウンサイジングしつつ、最高出力は同等を維持、最大トルクに関しては91Nm(9.3kgm)もの向上に成功した。

 具体的にはNOx、煤(PM)の発生やディーゼルノック音を抑制する「コモンレール式燃料噴射システム(噴射圧力200bar)」、煤の発生を抑制するとともに最大トルク・最大出力の両立を図るための「電子制御可変ノズルターボチャージャー」、排気ガスを冷却し、大量のEGR(排出ガス再循環)を燃焼室に入れて燃焼温度を下げ、NOxの発生を抑制する「バイパス機構付きEGRクーラー」、貴金属量の低減と安定した排出ガス浄化を可能にした、エクストレイルで初採用の「リーンNOxトラップ(LNT)触媒」、燃焼により発生した煤を吸着・貯蔵し、本体の温度を高温化して99%以上の煤を処理する「ディーゼルパーティキュレートフィルター(DPF)」などの技術が盛り込まれ、平成27年度燃費基準を達成するとともに、平成21年(ポスト新長期)規制に適合している。

 これらにより、JC08モード燃費はYD25DDTiを搭載する2WD車(5速AT)では、先代キャラバン(2WD/4速AT)と比べ39%向上して12.2km/Lを達成。ガソリン車のQR20DE(2WD/5速AT)も先代キャラバン(2WD/5速AT)から9%向上の9.9km/Lとしている。

直列4気筒DOHC 2リッター「QR20DE」新開発のクリーンディーゼルエンジン「YD25DDTi」

新型キャラバンエンジン諸元

エンジン形式直列4気筒DOHC 2.5リッター「YD25DDTi」直列4気筒DOHC 2.5リッター「QR25DE」直列4気筒DOHC 2.0リッター「QR20DE」
シリンダー(ボア×ストローク)89.0mm×100.0mm89.0mm×100.0mm89.0mm×80.3mm
排気量2488cc2488cc1998cc
圧縮比159.59.7
最高出力95kW(129PS)/3200rpm108kW(147PS)/5600rpm96kW(130PS)/5600rpm
最大トルク356Nm(36.3kgm)/1400-2000rpm213Nm(21.7kgm)/4400rpm178Nm(18.1kgm)/4400rpm
燃料供給方式電子式(コモンレール、200bar)ニッサンEGI(ECCS)ニッサンEGI(ECCS)
使用燃料軽油無鉛レギュラーガソリン無鉛レギュラーガソリン

先代からホイールベースを延長
 エクステリアでは、先代からフロントオーバーハングを140mm短縮し、その短縮分をホイールベース延長に充てた。ボディーサイズはバン/ワゴンのロングボディー+標準ルーフ仕様で4695×1695×1990mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2555mm。バン/ワゴンのスーパーロングボディー+ハイルーフ仕様は5080×1695×2285mm(同)、ホイールベース2940mm。

 デザイン面では存在感のあるフロントマスクを目指し、立体的なクロームのアングルドストラップグリル、シャープなヘッドランプを採用したほか、ルーフサイドのドリップチャンネル(雨どい)の廃止、Cピラーをガラスで隠したことで、すっきりとしたデザインに仕上げている。

 また、ボディーカラーはホワイト、シルバー、グレー、ブラックのほか、特別塗装色(GX/DX向けオプション)としてホワイトパール、オーロラモーブ(パープル)、さらに昨年の東京モーターショーで展示された「フィッシングカヌーバージョン」に採用し、新型キャラバン向けとして新規開発したタイガーアイ ブラウンをラインアップする。

 そのほか、夜間走行時の運転ストレスを軽減するため、バイキセノンヘッドランプとLEDポジションランプを全車にオプション設定した。


主要サイズ

車種バン ロングボディー+標準ルーフ 2WD/4WDバン スーパーロングボディー+ハイルーフ 2WD/4WDワゴン ロングボディー+標準ルーフ(2WD)ワゴン スーパーロングボディー+ハイルーフ(2WD)
ナンバープレート番号4133
全長×全幅×全高4695×1695×1990mm5080×1695×2285mm4695×1695×1990mm5080×1695×2285mm
ホイールベース2555mm2940mm2555mm2940mm
トレッド前/後2WD:1475mm、4WD:1470/1450mm2WD:1475mm、4WD:1470/1450mm1475mm1475mm
最低地上高170mm170mm170mm170mm
床面地上高625mm(770mm)625mm(770mm)625mm625mm
最小回転半径2WD:5.2m、4WD:5.7m2WD:5.9m、4WD:6.4m5.2m5.9m

ラゲッジルーム長はクラストップレベルの3050mmに
 インテリアでは、黒とグレーの2トーンコーディネーションカラーとなる水平基調のインストルメントパネルを採用。ステアリングフィニッシャー、インストルメントパネルに収まるシフトノブ、空調ダイヤル、ドアハンドル、メーターリング、ベントグリルにメッキおよびシルバー色の加飾を与え、上級感を高めた。

 また、ラゲッジルームは先代比で250mm伸び、クラストップレベルの3050mm(バン プレミアムGX/5人乗)を確保した。開発に携わったLCV事業本部 商品戦略・企画グループ チーフ・プロダクト・スペシャリストの八木則彦氏によれば、「先々代から先代モデルに移行した際、200mm荷室長を縮め2800mmとした。大半の人が2800mmで満足できるものだったが、ハイエースが3000mmを確保していたこともあり、3000mmを切ることに不安を感じた人がいたのも確か」と述べており、その反省から新型キャラバンではハイエースの3000mmを超える3050mmの荷室長を確保した。

 装備面についても、従来の商用車にはないインテリジェントキー&プッシュエンジンスターター(バン プレミアムGX/ワゴンGXに標準装備)や、足踏みパーキングブレーキ(AT車)、A4のノートPCを収納できる大容量のセンターコンソールボックス(アームレスト機能付き)、後席5:5分割可倒式ベンチシートを備えた。

 また、メーターパネル中央に瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、走行距離・時間、ドア開き警告を表示できる車両情報カラーディスプレイをビルトイン。同ディスプレイは、ラゲッジルームに荷物を満載した際に、便利なバックビューモニターとしても利用できる。

 さらに、ラゲッジルームでは収納棚や工具などを簡単に固定できるよう、「ラゲッジサイドユーティリティナット」をバンに標準装備している。

インテリアでは従来の商用車にはないインテリジェントキー&プッシュエンジンスターター、足踏みパーキングブレーキ(AT車)、アームレスト機能付きのセンターコンソールボックス、後席5:5分割可倒式ベンチシートなどを装備する
収納棚や工具などを簡単に固定できるよう、「ラゲッジサイドユーティリティナット」をバンに標準装備。同ナットは、ロングで合計24個、スーパーロングで合計30個用意される。また、ラゲッジルームは先代比で250mm伸び、クラストップレベルの3050mmを確保した
車両情報カラーディスプレイでは瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、走行距離・時間、ドア開き警告を確認できる

(編集部:小林 隆)
2012年 6月 15日