日産、3m超の荷室長を備えた新型「NV350 キャラバン」 ガソリン車のほか、2.5リッタークリーンディーゼル「YD25DDTi」を新搭載 |
日産自動車は6月15日、4ナンバー小型商用車「NV350 キャラバン」を発売した。価格は189万4200円~351万1200円。
●価格一例
用途 | 駆動 | 車幅 | ボディータイプ | ルーフ | フロア | 定員 | グレード | ドア | エンジン | ミッション | 価格 |
バン | 2WD(FR) | 標準 | ロング | 標準ルーフ | 低床 | 5 | プレミアムGX | 5 | QR20DE | 5速AT | 2,620,800円 |
9 | DX | 4 | 2,140,950円 | ||||||||
平床 | 6 | 5 | 2,130,450円 | ||||||||
低床 | 3 | DX(ルートバン) | 4 | 1,978,200円 | |||||||
スーパーロング | ハイルーフ | 6 | DX | 5 | YD25DTTi | 2,809,800円 | |||||
4WD | ロング | 標準ルーフ | 5 | プレミアムGX | 5 | 3,511,200円 | |||||
ワゴン | 2WD(FR) | 標準ルーフ | 10 | DX | 4 | QR25DE | 2,436,000円 | ||||
スーパーロング | ハイルーフ | 10 | GX | 4 | 3,205,650円 |
5代目となる新型キャラバンには、新たに日産バン/車格(車両総重量)3.5tをあらわす「NV350」の名称が与えられた。グレードは大きく分けて上級グレードのプレミアム GX/GX、標準グレードのDXの2グレード構成で、バンは「DX(3人乗/6人乗/9人乗)」「プレミアムGX(5人乗)」、ワゴンは「DX(10人乗)」「GX(10人乗)」をラインアップ。
バンは2WD(FR)/4WD車が用意され、2WD車のDXはロングボディー+標準ルーフ、4WD車はロングボディー+標準ルーフに加えスーパーロングボディー+ハイルーフをラインアップする。プレミアムGXは2WD/4WD車ともにロングボディー+標準ルーフのみ。
ワゴンはDX、GXともに駆動方式は2WDで、DXはロングボディー+標準ルーフ、GXはスーパーロングボディー+ハイルーフの組み合わせとなる。
NV350キャラバン バン プレミアムGX(2WD・ガソリン)。ボディーカラーは特別塗装色のタイガーアイブラウン。オプションのバイキセノンヘッドランプとLEDポジションランプなどを装備する |
NV350キャラバン バン DX(2WD・ガソリン) | NV350キャラバン バン プレミアムGX(2WD・ガソリン) |
■新開発のクリーンディーゼルエンジンを搭載
小型キャブオーバーバンのマーケットは、これまでハイエースとキャラバンの寡占状態にあったが、近年はキャラバンのシェアが漸減していると言う。その理由として「スタイリング、エクステリアデザイン」「荷室の長さ」「燃費」「バリエーションの少なさ(ワイドボディー車のバリエーションがない)」を挙げており、そのため新型キャラバンでは「クラストップの低燃費」「堂々として存在感のあるデザイン」「広くて使い勝手のよ荷室空間」「従来の商用車にはない先進装備」に焦点をあてて開発された。
まず燃費について。ガソリン車は直列4気筒DOHC 2リッター「QR20DE」と直列4気筒DOHC 2.5リッター「QR25DE」の搭載は従来どおりだが、ディーゼルエンジンはこれまでの直列4気筒DOHC 3リッター「ZD30DDTi」から、直列4気筒DOHC 2.5リッターの新開発クリーンディーゼルエンジン「YD25DDTi」を採用。トランスミッションは全車5速ATを組み合わせるほか、QR20DE/YD25DDTi搭載車は5速MTもラインアップする。
YD25DDTiは、従来のZD30DDTiからダウンサイジングしつつ、最高出力は同等を維持、最大トルクに関しては91Nm(9.3kgm)もの向上に成功した。
具体的にはNOx、煤(PM)の発生やディーゼルノック音を抑制する「コモンレール式燃料噴射システム(噴射圧力200bar)」、煤の発生を抑制するとともに最大トルク・最大出力の両立を図るための「電子制御可変ノズルターボチャージャー」、排気ガスを冷却し、大量のEGR(排出ガス再循環)を燃焼室に入れて燃焼温度を下げ、NOxの発生を抑制する「バイパス機構付きEGRクーラー」、貴金属量の低減と安定した排出ガス浄化を可能にした、エクストレイルで初採用の「リーンNOxトラップ(LNT)触媒」、燃焼により発生した煤を吸着・貯蔵し、本体の温度を高温化して99%以上の煤を処理する「ディーゼルパーティキュレートフィルター(DPF)」などの技術が盛り込まれ、平成27年度燃費基準を達成するとともに、平成21年(ポスト新長期)規制に適合している。
これらにより、JC08モード燃費はYD25DDTiを搭載する2WD車(5速AT)では、先代キャラバン(2WD/4速AT)と比べ39%向上して12.2km/Lを達成。ガソリン車のQR20DE(2WD/5速AT)も先代キャラバン(2WD/5速AT)から9%向上の9.9km/Lとしている。
直列4気筒DOHC 2リッター「QR20DE」 | 新開発のクリーンディーゼルエンジン「YD25DDTi」 |
■新型キャラバンエンジン諸元
エンジン形式 | 直列4気筒DOHC 2.5リッター「YD25DDTi」 | 直列4気筒DOHC 2.5リッター「QR25DE」 | 直列4気筒DOHC 2.0リッター「QR20DE」 |
シリンダー(ボア×ストローク) | 89.0mm×100.0mm | 89.0mm×100.0mm | 89.0mm×80.3mm |
排気量 | 2488cc | 2488cc | 1998cc |
圧縮比 | 15 | 9.5 | 9.7 |
最高出力 | 95kW(129PS)/3200rpm | 108kW(147PS)/5600rpm | 96kW(130PS)/5600rpm |
最大トルク | 356Nm(36.3kgm)/1400-2000rpm | 213Nm(21.7kgm)/4400rpm | 178Nm(18.1kgm)/4400rpm |
燃料供給方式 | 電子式(コモンレール、200bar) | ニッサンEGI(ECCS) | ニッサンEGI(ECCS) |
使用燃料 | 軽油 | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛レギュラーガソリン |
■先代からホイールベースを延長
エクステリアでは、先代からフロントオーバーハングを140mm短縮し、その短縮分をホイールベース延長に充てた。ボディーサイズはバン/ワゴンのロングボディー+標準ルーフ仕様で4695×1695×1990mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2555mm。バン/ワゴンのスーパーロングボディー+ハイルーフ仕様は5080×1695×2285mm(同)、ホイールベース2940mm。
デザイン面では存在感のあるフロントマスクを目指し、立体的なクロームのアングルドストラップグリル、シャープなヘッドランプを採用したほか、ルーフサイドのドリップチャンネル(雨どい)の廃止、Cピラーをガラスで隠したことで、すっきりとしたデザインに仕上げている。
また、ボディーカラーはホワイト、シルバー、グレー、ブラックのほか、特別塗装色(GX/DX向けオプション)としてホワイトパール、オーロラモーブ(パープル)、さらに昨年の東京モーターショーで展示された「フィッシングカヌーバージョン」に採用し、新型キャラバン向けとして新規開発したタイガーアイ ブラウンをラインアップする。
そのほか、夜間走行時の運転ストレスを軽減するため、バイキセノンヘッドランプとLEDポジションランプを全車にオプション設定した。
■主要サイズ
車種 | バン ロングボディー+標準ルーフ 2WD/4WD | バン スーパーロングボディー+ハイルーフ 2WD/4WD | ワゴン ロングボディー+標準ルーフ(2WD) | ワゴン スーパーロングボディー+ハイルーフ(2WD) |
ナンバープレート番号 | 4 | 1 | 3 | 3 |
全長×全幅×全高 | 4695×1695×1990mm | 5080×1695×2285mm | 4695×1695×1990mm | 5080×1695×2285mm |
ホイールベース | 2555mm | 2940mm | 2555mm | 2940mm |
トレッド前/後 | 2WD:1475mm、4WD:1470/1450mm | 2WD:1475mm、4WD:1470/1450mm | 1475mm | 1475mm |
最低地上高 | 170mm | 170mm | 170mm | 170mm |
床面地上高 | 625mm(770mm) | 625mm(770mm) | 625mm | 625mm |
最小回転半径 | 2WD:5.2m、4WD:5.7m | 2WD:5.9m、4WD:6.4m | 5.2m | 5.9m |
■ラゲッジルーム長はクラストップレベルの3050mmに
インテリアでは、黒とグレーの2トーンコーディネーションカラーとなる水平基調のインストルメントパネルを採用。ステアリングフィニッシャー、インストルメントパネルに収まるシフトノブ、空調ダイヤル、ドアハンドル、メーターリング、ベントグリルにメッキおよびシルバー色の加飾を与え、上級感を高めた。
また、ラゲッジルームは先代比で250mm伸び、クラストップレベルの3050mm(バン プレミアムGX/5人乗)を確保した。開発に携わったLCV事業本部 商品戦略・企画グループ チーフ・プロダクト・スペシャリストの八木則彦氏によれば、「先々代から先代モデルに移行した際、200mm荷室長を縮め2800mmとした。大半の人が2800mmで満足できるものだったが、ハイエースが3000mmを確保していたこともあり、3000mmを切ることに不安を感じた人がいたのも確か」と述べており、その反省から新型キャラバンではハイエースの3000mmを超える3050mmの荷室長を確保した。
装備面についても、従来の商用車にはないインテリジェントキー&プッシュエンジンスターター(バン プレミアムGX/ワゴンGXに標準装備)や、足踏みパーキングブレーキ(AT車)、A4のノートPCを収納できる大容量のセンターコンソールボックス(アームレスト機能付き)、後席5:5分割可倒式ベンチシートを備えた。
また、メーターパネル中央に瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、走行距離・時間、ドア開き警告を表示できる車両情報カラーディスプレイをビルトイン。同ディスプレイは、ラゲッジルームに荷物を満載した際に、便利なバックビューモニターとしても利用できる。
さらに、ラゲッジルームでは収納棚や工具などを簡単に固定できるよう、「ラゲッジサイドユーティリティナット」をバンに標準装備している。
インテリアでは従来の商用車にはないインテリジェントキー&プッシュエンジンスターター、足踏みパーキングブレーキ(AT車)、アームレスト機能付きのセンターコンソールボックス、後席5:5分割可倒式ベンチシートなどを装備する |
収納棚や工具などを簡単に固定できるよう、「ラゲッジサイドユーティリティナット」をバンに標準装備。同ナットは、ロングで合計24個、スーパーロングで合計30個用意される。また、ラゲッジルームは先代比で250mm伸び、クラストップレベルの3050mmを確保した |
車両情報カラーディスプレイでは瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、走行距離・時間、ドア開き警告を確認できる |
(編集部:小林 隆)
2012年 6月 15日