アストンマーティン、フラッグシップモデル・新型「ヴァンキッシュ」
シャシー、ボディーカウル、エアロにカーボンファイバーを多用

新型「ヴァンキッシュ」

2012年6月20日(現地時間)公開
3149万4750円~



 英アストンマーティンは6月20日(現地時間)、2ドアラグジュアリークーペの新型「ヴァンキッシュ」を公開した。販売価格は3149万4750円~。納車時期は英国および欧州で今年度後半に開始する。

 生産台数が制限される「One-77」「V12 Zagato(ザガート)」をのぞき、同社ラインアップのフラッグシップに位置づけられるモデル。標準仕様は2シーターとなるが、オプションで2by2を選択できる。

 エクステリアはOne-77の流れを汲むウエストラインやサイドストレーキ、LEDライトによるリアライト・ブレードクラスターなどを採用しつつ、「DB9」「ラピード」のエレガントなフォルムを融合したデザインとした。

 ボディーパネルは、同社のモデルで初採用となるカーボンファイバー製としたほか、シャシーで採用されるVH(バーティカル・ホリゾンタル)構造もアップデートされ、従来の軽量アルミニウム・コンポーネントにカーボンファイバー・コンポーネントを追加し、軽量化と剛性の向上、前後重量バランスを最適化している。ねじれ剛性では「DBS」比で25%向上した。リリースでは、スケッチの段階で描かれたデザインをそのまま実車に投影するためには、カーボンファイバー以外の選択肢はなかったとも述べられている。

 フロントのシャシー構造には、ソリッド鋳造アルミニウムに代わって中空鋳造アルミニウムを採用し、DBS比で13%の軽量化を達成。さらにエンジン搭載位置を下げる試みも行われ、搭載するV12エンジンはボディーに対して19mmも低い位置に搭載されると言う。

 また、ボディー下部にもカーボンファイバーの素地を活かしたスプリッター、サイドスカート、リアディフューザーを装着し、スポーティさを強調するとともにしっかりと路面を捉えるスタンスを表現している。

 パワートレーンは、V型12気筒 6.0リッターエンジンと6速AT(タッチトロニック2)の組み合わせで、最高出力573PS/6750rpm、最大トルク620Nm/5500rpmを発生。0-100km/h加速は4.1秒、最高速は295km/h。エンジンから出力されるパワー・トルクを路面に伝達させるため、スロットル、ギアボックスなどを協調制御して静止状態からの発進をサポートする「ローンチコントロールシステム」を、同社の市販車として初採用している。

 装備面では、専用開発のピレリ製「P-Zero」と20インチアルミホイールや、ブレンボ・カーボンセラミック・マトリックス(CCM)ブレーキシステムを装備。CCMブレーキはフロントがφ398×36mmサイズのディスクに6ピストンキャリパー、リアがφ398×36mmサイズのディスクに4ピストンキャリパーの組み合わせとなっている。

 ヴァンキッシュ専任の職人が70時間以上をかけて製作すると言うインテリアでは、One-77のデザインを踏襲するセンターコンソールが採用される。このセンターコンソールにレイアウトされるスイッチ類は、イルミネーションのほかスマートフォンなどに多用される触覚的なフィートバックが得られる「ハプティックフィードバック」機能が備わる。

 キャビン内の乗員スペースはDBSと比較した場合、レッグルームで37mm、ショルダールームで25mm、エルボールームで87mm広がるとともに、ニールームも50mm延長。収納スペースはDBS比で140%増となったほか、キャビンとトランクの基本デザインを一新したことで、DBSを60%以上も上回る368Lのトランク容量を確保するなど、実用性も高められている。

 なお、新型ヴァンキッシュについて、最高経営責任者のウルリッヒ・ベッツ博士は、「ヴァンキッシュはアストンマーティンのデザイン哲学、革新的なエンジニアリング、テクノロジーを具現化しています。このニューモデルはラグジュアリー、純粋なドライビングプレジャーのほか、長距離の移動を可能にする実用性のすべてを提供します」「新型ヴァンキッシュとは、究極のスーパー・グランドツアラーであり、その全身から自信をみなぎらせ、アストンマーティンのスローガンである“パワー、ビューティ、ソウル”を明確に表現するモデルです」と述べている。

(編集部:小林 隆)
2012年 6月 22日