日産、免税(100%減税)のハイブリッド車「セレナ S-HYBRID」発表会 JC08モード燃費は15.2km/L |
日産自動車は8月1日、新ハイブリッドシステム「S-HYBRID」を搭載した車種をミニバン「セレナ」に追加し発売した。また、セレナ S-HYBRID発売にあわせ、セレナ全車の装備を見直している。価格は、216万3000円~288万150円。
S-HYBRIDシステム搭載車はエコカー減税により自動車取得税、重量税が免税(100%減税)となる。また、4WDのアイドリングストップシステム搭載車は、燃費を改善したことで、自動車取得税と自動車重量税が75%減税に、またアイドリングストップシステムを持たない20S(2WD/4WD)は50%減税となる。
新ハイブリッドシステム「S-HYBRID」を搭載したセレナ。外観上の違いは、S-HYBRID専用エンブレムや高輝度LEDリアコンビネーションランプが目立つ程度 |
グレード | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 | 減税率 |
20S | 直列4気筒 DOHC 2.0リッター直噴 | CVT | 2WD(FF) | 2,163,000円 | 50% |
20X S-HYBRID | 直列4気筒 DOHC 2.0リッター直噴 +モーター(SM23) | 2,384,550円 | 免税(100%) | ||
20G S-HYBRID | 2,635,500円 | ||||
ハイウェイスター S-HYBRID | 2,598,750円 | ||||
ハイウェイスターG S-HYBRID | 2,799,300円 | ||||
20S | 直列4気筒 DOHC 2.0リッター直噴 | 4WD | 2,436,000円 | 50% | |
20X | 2,629,200円 | 75% | |||
20G | 2,880,150円 | ||||
ハイウェイスター | 2,832,900円 |
日産自動車 片桐隆夫副社長 |
同日、日産はセレナ S-HYBRIDの発表会を開催した。現行セレナは、ミニバンのベストセラーであり、日産の国内における最量販車種でもある。そのセレナがハイブリッド化され、税制面での優遇をさらに得ることになる。
登壇した国内営業担当の片桐隆夫副社長は、S-HYBRIDについて「スマートでシンプルなハイブリッド」と語る。セレナは、このハイブリッドシステムを搭載することで、販売価格帯を据え置きながらクラストップの15.2km/L(JC08モード)の燃費を実現し、エコカー減税の75%減税車から免税車となったと紹介した。
価格帯据え置きながら、ハイブリッド化を実現できたことについては、日産のエコ技術とコスト抑制技術があると言う。とくにコスト抑制については、日産の九州工場で生産する国内生産体制ながら、徹底的に追求してきたと語る。
「セレナの販売は、2012年度で10万台以上を予定しており、約25万台のミニバン市場の40%のシェアを獲得していきたい」(片桐氏)と、その意気込みを述べた。
開発責任者 角智彰氏 |
■ミニバンとしての使い勝手を変えずにハイブリッド化を実現
セレナに投入された、ハイブリッド技術に関しては開発責任者である角智彰氏が解説。セレナの魅力としては、「乗ってひろびろ」「使ってラクラク」「エコでわくわく」と3つあったが、エコでわくわくにS-HYBRIDシステムが含まれる。
S-HYBRIDのネーミングの由来は「“スマート”で“シンプル”なハイブリッド」だと言い、スマートはセレナの広さや便利さが変わらないこと、シンプルは価格帯が継続されていることであるとした。
セレナはミニバンの販売でNo.1となっている。そこにハイブリッドシステムを搭載する | セレナの3つのポイント | S-HYBRIDシステムの由来 |
S-HYBRIDのシステム構成は、アイドリングストップからの再始動に使うエコモーターを最大150Aの容量から最大200Aの容量に増大。また、鉛蓄電池のサブバッテリーを追加している。このバッテリーは、電気の出し入れがしやすいものとなっている。
このシンプルなシステムで、ハイブリッド動作を実現。ブレーキで捨てているエネルギーをエコモーターで回収しバッテリーへ充電。ここで稼いだ電気で、アイドリングストップの頻度を高め、アイドリングストップ時間を長くすることで燃料を節約している。また、発進・加速時などに、エコモーターでガソリンエンジンの手助けを行っている。
S-HYBRIDの3つのキーワード | システム構成 | プレーキ時には回生 |
回生したエネルギーは、アイドリングストップ時間の延長や、発進加速時に利用する | S-HYBRIDにより免税に | 室内の広さは変わらない |
価格帯も同じレベルを維持。標準装備を増やすなどしている | S-HYBRIDの外観の変更点 |
搭載されるエンジンは、従来同様直列4気筒 DOHC 2.0リッター直噴のMR20DD型。2WD車の場合、最高出力108kW(147PS)/5600rpm、最大トルク210Nm(21.4kgm)/4400rpmで、最高出力1.8kW(2.4PS)、最大トルク53.6Nm(5.5kgm)のモーターがアシストしている。
その結果、アイドリングストップ付きの現行セレナに比べ、セレナ S-HYBRIDは燃費をJC08モードで1.0km/L改善。15.2km/Lを達成したことでエコカー減税の免税車となった。すべてのハイブリッドシステムがエンジンルーム内に収まることで、室内空間はまったく同じサイズとなっている。
セレナ S-HYBRIDのエンジンルーム | |
中央に見える白いバッテリーの位置に追加されたサブバッテリーが収まる。写真は展示車用のバッテリーのためサイズが異なる | 中央の銀色の部品がエコモーター。従来より若干大型化している。サブバッテリーとエコモーターの大型化のみでハイブリッドを実現した |
MR20DDエンジンの単体展示 | 大型化されたエコモーター。このエコモーターのベルト経由でアシストをする | 筒内直接燃料噴射を行う |
また、セレナ S-HYBRIDの発売にあわせ、全車で、2列目・3列目のシート中央席に3点式シートベルトを標準装備し、転がり抵抗を低減した低燃費タイヤを採用。ハイウェイスター(2WD/4WD)では、助手席側ワンタッチスライドドアを標準装備している。
1列目シート | 2列目シート | スライドドアを開けたところ。従来のセレナと室内空間は変わらない |
運転席まわり | メーターパネル | ラゲッジルーム。3列目シートは従来同様跳ね上げ式。フラットなフロアが広がっている |
システム構成上、4WD車への搭載も可能となっているS-HYBRIDシステムだが、今回は2WD車のみに設定された。日産スタッフによると、「セレナにおける4WD車の販売比率は15%ほどで、まずは販売の多数を占め、燃費面が第一に検討される2WD車にS-HYBRIDシステムを設定した。4WD車への展開は、今後のお客様の要望によって考えたい」とのこと。
また、オーテックジャパンは、セレナの20X S-HYBRID、20Xをベースに「エクストレイル」と同様の防水シートなどを装備したセレナ「クロスギア」を発売。スロープ付きの車いす仕様車などもラインアップした。
クロスギアでは防水シートを採用 | シート表皮 |
アウトドア用途を意識して、室内レールやリアドアフックなどが追加される |
(編集部:谷川 潔)
2012年 8月 1日