トヨタ、2015年末までに新型HVを21モデル投入、新型EV「eQ(イーキュー)」発表
「最新の開発状況と2015年までの展開計画」より

新型EV「eQ(イーキュー)」

2012年9月24日発表



 トヨタ自動車は9月24日、「最新の開発状況と2015年までの展開計画」について発表した。

 同社は、燃費向上およびエミッション低減に向けた「省エネルギー」、電気や水素など代替エネルギーの利用促進による「燃料の多様化」を基本方針とした環境技術開発を進めており、今回の発表内容は2015年までに投入する技術・新型車についてまとめたもの。

 それによると、2015年末までに新型HVを21モデル投入することを明らかにしており、今後も従来型エンジン車の一層の燃費向上を図るとともに、ハイブリッド技術をキーテクノロジーと位置付け、エコカーのさらなる高性能化やコスト低減、商品ラインアップの充実に取り組んでいくとしている。

「省エネルギー」への取り組み
 「省エネルギー」への取り組みについては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、トランスミッション、エコカーの4つに分けて発表している。

 まずガソリンエンジンでは、従来の2.5L-AR系ガソリンエンジンをベースに、アトキンソンサイクルと直噴D-4Sシステムを組み合わせ、低燃費と高出力の両立を目指して世界最高の最大熱効率38.5%を追求した新型「2.5L-AR系ガソリンエンジン」を、ハイブリッド車(HV)用として新開発。同エンジンを搭載したHVを2013年以降に投入する。

 また、従来の2.5L-AR系ガソリンエンジンを2.0Lにダウンサイジングするとともにターボチャージャーを組み合わせ、小排気量化による燃費向上と出力向上を図った新型「2.0L-AR系ターボチャージャー付きエンジン」搭載車を、2014年以降に投入。

 ディーゼルエンジンでは、乗用車用「1.4L-ND系ディーゼルエンジン」で燃料噴射システムの高圧化、小型で高効率のターボチャージャーの採用などにより、低燃費と走行性能の両立を追求。さらに、新開発の排出ガスクリーン化技術の採用によって欧州「EURO6」に対応するとしており、今後搭載車両の開発を進め、2015年以降に同エンジンを搭載したモデルを投入する。

 なお、エコカーでは、今後2015年末までに新型HVを21モデル投入する予定としており、2013年以降、2015年までの年間のHV世界販売台数は、毎年100万台以上を見込んでいる。

2.5L-AR系ガソリンエンジン2.0L-AR系ターボチャージャー付きエンジン1.4L-ND系ディーゼルエンジン

「燃料多様化」への取り組み
 「燃料多様化」への取り組みでは、エコカー(PHV、EV、FCV)と今後の電動化技術について公開した。

 特に電気自動車(EV)の分野では、コンパクトなパッケージに容量を最小限に抑えた、高出力の新型リチウムイオン電池を搭載した高性能コンパクトEV「eQ(イーキュー)」を開発したと発表。

 eQは主な用途を通勤や買い物など日常での近距離走行と想定し、電池容量を極力小さくしながら、効率的なエネルギー利用、コンパクトなボディーによる扱いやすさ、軽快でキビキビとした走りを実現した4名乗車が可能な高性能EV。

 ボディーサイズは3115×1680×1535mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2000mmで、IQ(100G/100X)と比べ130mm長く、35mm高いスペックとなる。ホイールベースは共通。

 電費は世界最高を謳う104Wh/km(JC08モード)を実現し、これにより2kWhの小容量電池ながら、一充電走行距離100km、最高速125km/hを達成。充電については、AC200Vで約3時間、急速充電で約15分で満充電になると言う。モーターの最高出力は47kW、最大トルクは163Nm。

 同モデルは12月以降、日本と米国の自治体および特定利用者に限定して導入する。価格は360万円。

eQ(左)とプリウスPHV。eQの充電リッドはフロント側に用意される
eQのインテリア

(編集部:小林 隆)
2012年 9月 24日