アウディ、国内初のハイブリッド車「A6 ハイブリッド」導入
来春にはQ5 ハイブリッド クワトロを導入

2012年9月24日発売
690万円



 アウディ ジャパンは初のハイブリッド車「A6 ハイブリッド」を24日に発売した。価格は690万円。右ハンドル仕様のみ用意される。

直列4気筒2リッターターボ+モーターでV6 2.8リッター以上の性能
 メルセデス・ベンツ「Eクラス」、BMW「5シリーズ」などをコンテンダーとするプレミアム・アッパーミドルサルーン「A6」のハイブリッドモデル。

 ダウンサイジングされた直列4気筒DOHC2リッター直噴ターボエンジンをモーターでアシストし、8速ATを介して前輪を駆動する。同社ならではの4WDシステムではなく、FFとしたのは燃費効率を重視したからと言う。

 8速ATのトルクコンバーターの代わりにモーターが搭載されている。モーターとエンジンの間には多板クラッチを設け、エンジンをパワートレーンから切り離してモーターのみで走行できる。

 JC08モード燃費は13.8km/Lを達成している。

 エンジンの最高出力は155kW(211PS)/4300-6000rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/1500-4200rpm、モーターは40kW(54PS)、210Nm(21.4kgm)。システム総合出力は180kW(245PS)、480Nmとしている。ちなみにA6 2.8 FSI(V型6気筒DOHC2.8リッター直噴)は150kW(204PS)、280Nm。A6 3.0 TFSI(V型6気筒DOHC3リッター直噴スーパーチャージャー)は228kW(310PS)、440Nmとなっている。

 バッテリーはリチウムイオンで、電圧266V、容量1.3kWh、出力40kW。モーターのみで100km/hまで走行できるが、60km/h低速走行での走行可能距離は3km。

 バッテリーの容積は26L。ラゲッジスペースと後席の間に置かれる。A6 2.8 FSIのラゲッジスペース容量が530Lだが、ハイブリッドではバッテリーがラゲッジスペースに張り出しているために375Lとなる。ただし後席は4:6の分割可倒式で、トランクスルー機構は維持されている。

 またバッテリーの重量は36.7kg。A6 2.8 FSI(電動チルト式2ウェイガラスサンルーフ付き)の重量は1810kgだが、A6 ハイブリッドは1850kgとなっている。

A6 ハイブリッドのコンポーネント。駆動用バッテリーはリアアクスル上に置かれるエンジンルーム
A6 ハイブリッドのラゲッジスペース。バッテリーで床が盛り上がっているが、トランクスルー機構は維持されている

 このほか電動パワーステアリング、軽量ボディーなどA6シリーズで採用されている省燃費技術も搭載されている。

 装備面ではLEDヘッドライト、2ウェイガラスサンルーフ、ハイブリッド専用デザインの10アームタービンデザインアルミホイールが標準となる。またハイブリッド専用ボディーカラーのアークティックシルバーメタリックが用意される。

 室内のハイブリッド専用装備としては、メーターパネルのタコメーターが、パワートレーンの状態を表す「パワーメーター」に置き換えられるほか、メーターパネルのドライバーインフォメーションディスプレイと、インストゥルメントパネル中央のMMIディスプレイにはエンジン、モーター、バッテリーの動作を示す「エネルギーフローメーター」を表示できる。またMMIディスプレイには燃費とエネルギー回生量の履歴を棒グラフで表示することができる。

モーターのみで走行するためのEVモードスイッチがダッシュボードに設置されている
メーターパネル左側がパワーメーター
MMIディスプレイのエネルギーフロー表示。左上がモーター走行、右上がエンジンによる走行、左下がエネルギー回生、右下がエンジンとモーターを併用したブーストモードで、アクセルを強く踏み込むとブーストモードになる
燃費の履歴メーターパネル中央にもエネルギーフローが表示される
既存の環境技術にハイブリッドシステムを付加A6 3.2 FSI(1世代前)との性能比較
トータルで180kW(245PS)、480Nmを発生

 

大喜多社長

来春にはQ5 ハイブリッド導入
 同社は24日、都内で発表会を開催した。同社の大喜多寛社長はA6シリーズを「アウディの存在感を高めるモデル」と述べ、A6、S6、アバント、オールロードクワトロ、ハイブリッドとラインアップを充実させていくことで、A6のプレゼンスを高めていくとした。

 またA6は、日本におけるアウディのハイブリッド車の代表モデルという役割も負う。世界市場ではすでに「Q5 ハイブリッド クワトロ」がリリースされているが、日本では未導入。ベーシックなFFを採用したA6が、日本のハイブリッド市場に乗り込む尖兵となる。

 A6に続いて2013年には、やはりFFの「A8 ハイブリッド」を限定的に発売、続いてマイナーチェンジのタイミングに合わせて、Q5 ハイブリッド クワトロも導入することが明らかにされた。

 「“LOHAS”(Lifestyles Of Health And Sustainability)の価値観を持った、非常に力のある人達が、プレミアムマーケットには多い」と、大喜多社長はA6でハイブリッドを導入した理由を語る。「ガソリンエンジンが不得手とする低回転でのトルクを、モーターがアシストするA6 ハイブリッドは、日常とは違うプレミアムなハイブリッドの運転ができる」とアピールした。

アウディは1989年にハイブリッド車「デュオI」を開発、以後も少量を生産してきたQ5、A8のハイブリッドを来年発売。A6 ハイブリッドはアウディハイブリッドモデルの代表となるA6シリーズの拡充でプレゼンスを高める
2012年1月~8月の販売台数は前年同期を上回るペースで伸長A6のセグメントは新型発売で大幅に伸びた

(編集部:田中真一郎)
2012年 9月 24日