【連載】西川善司の「NISSAN GT-R」ライフ
第11回:しらさぎ祭リポートから戦闘ロボットGT-Rまで紹介


 今回は、直近で参加したイベントについて、まとめてお届けしたい。


しらさぎ祭に集まったR35 GT-R。なかなか壮観な光景

日産栃木工場で行われた「しらさぎ祭」に参加
 筆者はGT-R購入後、R35 GT-Rオーナー限定の「R35 GT-R CLUB」(http://r35gtrclub.com/)というオーナーズクラブに入会している。このクラブは有志が創設した無料のオーナーズクラブであり、日産非公式クラブではあるが、全国のGT-Rオーナーが加入しており、そのネットワーク規模は意外に大きい。また、日産との関係も良好なようで、各種イベントにおいてもオーナーズクラブ参加枠的な形で招待されることも少なからずあるようだ。

 去る9月30日には、GT-Rの組み立て工場でもある日産栃木工場内で開催されたフェスティバル「しらさぎ祭」にも招待されている。筆者もR35 GT-R CLUBのメンバーという形で、このしらさぎ祭に参加してきた。

 当日は、R35 GT-R CLUBメンバーのGT-Rが、日産栃木工場内の駐車場に20台ほど集まっていた。他にも敷地内には、R32~R34 GT-R、フェアレディZ、ジュークといったモデルがまとまった形で駐車されており、各車種のオーナーズクラブのメンバーも招待されていたようだ。

 R35のボディーカラーで一番多かったのは白(ブリリアントホワイトパール)で、次いでガンメタ(ダークメタルグレー)、黒(メテオフレークブラックパール)とシルバー(アルティメイトメタルシルバー)が同割合。赤(バイブラントレッド)は筆者の1台だけ。2011年モデルからの新色、青(オーロラフレアブルーパール)は1台もいなかった。R34 GT-R時代も赤は不人気カラーで、マイナーチェンジ時にカタログから消えた過去がある。R35でも先行き不安な色と言えそうだ。白の人気が高いのは、日本車ではどの車種でも同じなので不思議なことではないが、次いでガンメタなのは近代GT-Rの開祖的存在であるR32 GT-Rのイメージカラーがガンメタだったことと関係が深そうだ。

 さて、しらさぎ祭についても簡単に触れておこう。しらさぎ祭は、日産栃木工場が毎年行っている日産とユーザーの交流を目的としたフェスティバルで、敷地内には日産の各部署がプロデュースした出店が数多く立ち並び、メインステージではお笑い芸人やモノマネ芸人のステージが行われたりもしていて、まさに雰囲気的には学園祭という感じのお祭りだ。司会のお姉さんや、来場者のちびっ子がさらわれてしまう定番のヒーローショーもあったりする。

 ただの学園祭的フェスティバルと違うのは、日産栃木工場内の施設を見学できたり、敷地内のテストコースをテストドライバーの運転で同乗走行できたりしまう点だろう。これが目的のファンも多いようで、各見学コース、試乗コースの整理券は瞬く間に配布が終わってしまうほどの人気ぶりだ。

 筆者も、ディズニーランドのような長蛇の列に並びテストコース見学ツアーとテストコース同乗走行の整理券をゲットして楽しいひとときを満喫したが、残念ながら敷地内の撮影は禁止されていた。ということで、本稿でお届けできるのはしらさぎ祭の駐車場で行われたオーナーズミーティングまで、ということになる。

オールペン? いえいえラッピングです
 本稿では、筆者がしらさぎ祭でピックアップした2台を取り上げることにしたい。

 まず1台目はオーナーズクラブ会長の「あど」さんのGT-R(SPEC V)だ。SPEC Vは、通常モデルの2倍近い1575万円というプライスタグが付けられた、GT-Rのレーシングスペシャルバージョンである。

 ただし、SPEC Vは2011年夏でカタログモデルとしての販売は終了しており、今や幻のモデルと言える。ちなみに、2012年モデルからはSPEC Vの遺伝子を受け継いだ関連パーツが「TRACK PACK」という名称でメーカーオプションで提供されている。

 そんな貴重なSPEC Vなのだが、あどさんのSPEC Vはボディーカラーがカタログにはないソリッドグレーなのだ。よく見ると上部インテークにはライムグリーンのアクセントラインが差し色の形で挿入されていて、外観は純正のままでありながら見る者に大きなインパクトを与える。

 オーナーのあどさんによれば、これはオールペン(全塗装)ではなく、最近流行のラッピングによるものだと言う。近づいて見ても貼り際がまったく分からないほどのクオリティなので、言われるまでこれがラッピングと気がつくものは少ないだろう。

 全塗装は、売却査定時に事故車扱いになることもあるが、ラッピングは剥がせば現状復帰できるため、資産価値を下げずにカラーリングを楽しむ有効な手段として人気を上げつつある。あどさんの愛車に使用した素材は、住友3Mが自動車用に開発した「1080」という特殊フィルムだそうで、建材用のものと違って「剥がし跡」が残らない特長があると言う。

 あどさんの愛車のラッピングを行ったのはLAPPS(http://www.lapps.jp/)という外装ショップだそうで、総費用は約80万円とのこと。このラッピングというソリューション、オリジナルボディーカラーの保護や飛び石などからの緩衝目的によいかもしれない。

ソリッドなグレーにライムグリーンの差し色。ヘッドライトはさりげなくスモークされており、上品な中にも精悍さの味付けがなされているマフラー上もブラックアウト。もちろん「SPEC V」のエンブレムは本物前後フェンダーとサイドステップをブラックアウトさせているところもハイセンスだ

GT-Rに多画面環境を構築してしまった猛者現る!
 R35 GT-Rは全グレードにおいて、クラリオン製のカーナビが標準搭載されている。このカーナビ、一般国道レベルまでの案内精度には不満はないのだが、住宅街レベルになると「ここを通るの!?」と言いたくなるような案内をしてきたり、高速道路を降りても降りた先の一般道が高速道路と併走していたりすると、しばしば高速道路を降りていないと判断することもあり、やや頼りない印象を受ける。GT-Rの最高レベルの走行性能と比較すると、純正カーナビのクオリティは市販品と比べるともうひと頑張り欲しいと感じる。

 とは言っても、R35 GT-Rのコンソールには社外カーナビに換装するための手段はもちろん、国際規格の2DINスロットも設けられていない。

 そんなわけで、筆者は仕方なくこの純正ナビを徹底活用することを決意して、連載でもこのカーナビのクラウド機能である「カーウイングス」をスマートフォンから利用する方法などを紹介してきたわけだが、シルバーの2012年モデル(プレミアムエディション)のオーナー、tsk-R35さんは、ここで「仕方なし」と思わなかった猛者である。

 なんと、tsk-R35さんは内装を大改造して、カロッツェリアの拡張現実対応型のサイバーナビ「AVIC-ZH99HUD」をインストールしてしまったのだ。

 まず驚かされるのが、純正状態ではコンソール部中央に鎮座しているエアコン等のコントロールパネルを、天井に移設している点。もともと存在したルームランプユニットを融合させた一体感あるデザインで、見栄えがよい。

 そして、移設後の空いたコンソール部にディスプレイ一体型のAVIC-ZH99HUDをビルトインしているわけなのだが、図らずも、標準で搭載しているマルチファンクションディスプレイ(MFD)と綺麗に2画面縦に並んだ形でレイアウトされており、運転席からの景観は迫力満点だ。

 tsk-R35さんによれば、純正MFD部は情報表示用のマルチファンクションメーター(MFM)の機能はもちろん、純正カーナビも動作するので、好みに合わせて贅沢にこの2画面を使い分けているのだとか。取材時、多画面マニアである筆者にとっては「うらやましい」との言葉しか出てこなかったのは言うまでもない。

 作業を担当したのはカーオーディオカスタムショップYOSHINARI(http://www.net1.jway.ne.jp/car-audio-shop-yoshinari/)だそうで、総額費用はエアコンパネル移設費用、AVIC-ZH99HUD本体費用と組み込み工賃込みで約45万円とのこと。tsk-R35さんの車両で作業経験を積んだため、希望があれば他モデルでも同様の組み込みを受け付けてくれるらしい。

天井に移設された操作パネル。ルームランプとの一体感もグッド!運転席から見たところ助手席から見たところ。運転席側の天井に実装されているのは実景にCGを合成するための拡張現実HUDユニットだ

アニメ、ジャイロゼッター
 「超速変形ジャイロゼッター」は、今夏から稼働し始めたスクウェアエニックスの若年層向けカード型アーケードゲーム。この作品、10月からアニメ放送を開始しており、メディアミックス的な展開を見せているが、実はここにR35 GT-Rが登場していることをご存じだろうか。

 同作品にはジャイロゼッターと呼ばれる、戦闘ロボットに変形する実車が数多く登場するのだが、R35 GT-Rはなんと準主役メカとして大活躍しているのだ。この流れに日産もノリノリの様子で、つい先日まで作中に登場するロボット変形後のGT-Rジャイロゼッターと実車のGT-Rが、日産のグローバル本社ギャラリーに展示されていた。

 実際、GT-Rジャイロゼッターが闘う勇姿を見てみたい人は、アニメ放送の第4話(17分過ぎあたり)から見てみるとよいだろう。なお、エンディングクレジットでは、毎回GT-Rジャイロゼッターもダンスを踊っているので、そちらも必見だ(笑)。

主役メカが赤なので、ほぼ必然的に青が採択された模様。赤と同じくらいの不人気ボディカラーの青。ジャイロゼッター効果で人気が上向くか?
もともとGT-Rは性能優先で造形が決まったと言われるだけに、「戦闘メカの変形前」として車体を見ると説得力がある。武器の刀にテールランプとおぼしきものが!?胸元と縦に「GT-R」のロゴ。変形メカニズムはよく分からないが、実車の面影はそこかしこに

GT-Rで美女とツーリング
 先日、愛車で日光いろは坂まで久々の長距離ツーリングに出かけてきたのだが、今回はいつもの寂しい単独ツーリングではなく、なんと白の2012年モデルのGT-Rが相棒。そう、紅白GT-Rのツーリングという、なんとも縁起のよいドライブになったのであった。

 愛車をGT-Rに乗り換えてからは、ほとんど高速道路か一般道しか走っていなかったので、峠道はほぼ初体験。

 今回のツーリングで40km以上の峠道を連続で走行し、上りも下りも体験したが、ボディーサイズの割に軽々とタイトコーナーを曲がっていけることに驚かされた。ステアリングを切りながら追加のアクセルオンで曲がりながら加速していく感じは、いかにもGT-Rという手応えで、前愛車のRX-7(FD3S)の時とは異なる面白さがある。「重量級戦車」として揶揄されるGT-Rだが、なかなかどうして峠も楽しく走れる。

 ただ、シフトのアップダウンを繰り返していると、トランスミッションオイルの温度が高くなりがちになったのが気になった。ここは、サーキット走行派からも指摘されている部分なので、いずれ根本解決が望まれる部分かも知れない。

 ほとんど走ることが目的のツーリングだったが、今回は同行メンバーに綺麗なお姉さん達もついてきたので、なかなかに楽しめたのであった。

紅白のGT-Rでのツーリング。自分達で撮影もこなしたので、残念ながら走行中の写真はなし
快くモデルを引き受けてくれたMさんとYさんに感謝

運転席側のオーナメントとタイヤハウスアウトレット

これって新しいRX-7?
 まったく関係ないが、ここで小話(?)を1つ。クルマに詳しくない親戚のおばさんと会ったときのこと。

 「善ちゃん、これって新しいRX-7なの?」と、筆者のGT-Rのある個所を指さして真顔で問いかけてきた。何のことかと思ったらなんと、運転席側のオーナメントとタイヤハウスアウトレットが「7」に見えたらしい。

 筆者はまだまだRX-“7”とは離れられないようである。

(トライゼット西川善司)
2012年 11月 21日