【ナビレビュー】生まれ変わった「楽ナビ」シリーズの最上位モデル「AVIC-MRZ009」 分かりやすい案内とパーフェクトな精度の最新カロッツェリア ナビ |
新生「楽ナビ」シリーズの最上位モデル「AVIC-MRZ009」 |
パイオニアが展開するカロッツェリアのカーナビラインアップではベーシックモデル的な位置づけとなる「楽ナビ」。デビュー当初は充実機能をウリにした上位モデルに対して、分かりやすさと使いやすさにプライオリティを置いたモデルとしてデビューしたものの、モデルチェンジを重ねるたびに機能をアップ。HDDモデルやメモリータイプなどラインナップを広げるとともに、フラグシップの「サイバーナビ」に迫る性能を持つモデルまで用意されるようになった。
そんな経緯もあってか、2012年モデルではHDDモデルを廃止してメモリータイプに統一したほか、2DINタイプに加えPND(Portable Navigation Device)タイプが追加されたのが大きなトピック。また、使いやすさの向上を狙った新機能「エアージェスチャー」を搭載するなど、原点回帰といえるアップデートが行われているのが特長だ。なお、ラインアップの詳細については関連記事を参照してほしい。今回は楽ナビシリーズの中でも最上位モデルとなる、2DINメインユニットタイプ「AVIC-MRZ009」のレビューをお届けする。
今回レビューした、2DINメインユニットタイプ「AVIC-MRZ009」 | Bluetooth非搭載となる「AVIC-MRZ007」 | 楽ナビシリーズはポータブルタイプもラインアップ。ポータブルタイプ最上位機の「AVIC-MRP009」 |
■もはやベーシックモデルとはいえない充実機能
AVIC-MRZ009は2DINサイズの本体にナビ、オーディオ、ビジュアルの各機能を詰め込んだ、いわゆるオールインワンタイプのAVNカーナビだ。ハードウェア面をざっと紹介すると、
・LEDバックライトを備えた7型ワイドVGAディスプレイ
・16GBの内蔵メモリーに地図データを収録
・CD/DVDプレイヤー内蔵
・SDメモリーカード、USBメモリー対応
・Bluetooth内蔵
・iPod/iPhone接続対応
・4チューナー×4アンテナ採用の地上デジタルTVチューナー内蔵
といったところ。一般的にカーナビに要求される機能を網羅しつつ、従来ならハイエンドモデルにしか装備されていなかったモノまで搭載しているといった印象だ。
当然、カロッツェリアならではの渋滞情報や天気情報・駐車場の満空情報サービス「スマートループ」にも対応する。オプションの通信モジュールや内蔵Bluetoothを使った通信が必要となるものの、サイバーナビと同じ全国約70万kmの道路に対応した渋滞情報の取得が可能。従来のメモリーナビモデルは約33万kmと差別化が図られていたが、本機では上位モデルに肩を並べたワケだ。そのほか、ガソリン価格や駐車場の満空情報、各地の天気など、取得できる情報は多岐にわたる。
地図更新はパソコンとSDメモリーカードを用意する必要アリと、ちょっと手間が掛かるものの、3年間は追加料金不要というのは嬉しい限りだ。
ディスプレイをスライドさせるとCD/DVDスロット、SDカードスロット、それに地デジ用B-CASカードスロットが姿を現す | オプションのデータ通信モジュール「ND-DC1」。USB接続することで通信により各種情報を取得できる。3年分の通信料金も価格に含まれる |
■新感覚のエアージェスチャー
新しい楽ナビの注目機能となるのがエアージェスチャーだ。これは「手を近づける」「左/右に振る」というジェスチャーで、運転中によく使うキーが表示されたり、あらかじめ設定しておいた動作が行えたりというもの。動作の読み取りはディスプレイ下部のパネル部分に配置されたセンサーで行っており、画面前で前記の動作を行うことでタッチパネルやボタンに触れずに操作できるのだ。
センサーが反応するのはちょうど手を広げた程度の距離(約15cm)からで、「手を近づける」「左/右に振る」という動作に対する反応も良好。いちいちボタンの位置を注視せずとも、サッと手を振るだけで操作ができるのはかなり便利だ。また、「手を近づける」ことでランチャー表示を行うため、従来なら画面上に表示されていた「地図の拡大/縮小」「ビュー切り替え」などのボタンがなくなり、地図画面がスッキリと広く見渡せるのも大きなメリットといえる。
ただ、現状では認識できるジェスチャーは2パターンのみ。「手を近づける」操作はランチャー表示に使われているため、ユーザーが自由に割り当て可能な動作は実質「左/右に振る」パターンのみ。ナビ画面ならこれ、AV画面ではこれ、というように表示されている画面による機能の切り替えもできないため、使いどころがかなり限定されてしまうのが残念だ。もっとも、ソフトウェアの変更で対応できると思われる部分なので、今後のバージョンアップでさらなる機能の充実が図られることを期待したい。
ジェスチャー用のセンサーは画面下部、中央に設置されている | センサーから15cm程度離れていても感知してくれる |
ジェスチャーの設定項目は豊富。だが、設定できるのは表示されている画面に関わらず1パターンのみ |
ジェスチャーを採用することで画面上のボタンが少なくなり、スッキリとした表示を実現 | 手を近づけることでL字型のランチャーを表示。ジェスチャーを使用しない設定にすれば表示したままにすることも可能 | 画面右側にナビ画面時ならAV画面を、AV画面時ならナビ画面を表示することもできる |
■上位モデルに肉薄するナビ機能
カーナビでもっとも重視されるのはいうまでもなくナビ機能だ。新しい楽ナビはその点では文句の付け所がないほど。
検索機能でいえば住所約3850万件、電話番号約3350万件を筆頭に、周辺検索、ジャンル検索といったモードを用意。ガソリンスタンドやコンビニなどの検索では、営業時間外の施設を別アイコンで表示するなど、便利な機能が用意されている。情報量自体は先代モデルから大きく変わっていないものの、これだけの情報にスピーディにアクセスできるのは、初めて訪れる場所などではやはり心強い。
本機ならでは、という部分でいえば通信機能による検索機能も外せない。例えば「横浜にあるイタリアンレストラン」など具体的な情報が分からない施設の場合でも、「横浜」「イタリアン」と複数のキーワードを使って探し出すことが可能になる。そのほか、テレビ番組で紹介されたスポットや季節ごとの観光情報、ガソリンスタンドの価格、空いている駐車場など、さまざまな情報を取得することができる。「そんなのスマートフォンや携帯電話でもできるよ」なんて思うかもしれないが、カーナビならそのまま目的地や中継地点としてすぐに設定できるのが大きい。使ってみればこの方がやっぱり便利なのだ。
地図表示に関しては先代のメモリーナビモデル「楽ナビLite」から大きく進化している。まず、見た目で大きく変わったのが色味だ。地図は従来ブランドカラー的なオレンジ基調で描画されていたが、本機ではサイバーナビと同じグレー系となった。バリエーションについてもノーマルと3Dタイプの「スカイビュー」のみから、「ドライバーズビュー」や2画面表示の「ツインビュー」を追加。さらに「文字拡大モード」に加え「道路重視モード」が用意され、シチュエーションやユーザーの好みに応じて使い分けができるようになった。モードの切り替えも1画面にまとめられているため、わかりやすくカンタンに選択することができる。
ルート探索は「推奨/有料標準」「推奨2/有料標準」「推奨/有料回避」「推奨2/有料回避」「エコ優先/有料標準」「感染優先/有料標準」の6パターンが用意されている。これらは「距離」「所要時間」「料金」「推定燃料費」「推定CO2排出量」と5つのパラメータの優先順位が異なったもの。ルートはどの項目が優れているかを一覧で表示できるため、ドライバーはその中から好みのルートを選べるわけだ。
実際に探索されたルートを走ってみると、従来モデルとはアルゴリズムが若干変わっている印象。限られた時間での試乗のため断定はできないが、時間を優先するだけでなく“走りやすさ”が加味された感を受けた。もちろん、カロッツェリアならではの速達ルートも健在。混雑する首都高速の外回りを避け工事により一部通行止めとなっている会社線を利用、通行止め直前のランプで降り再度首都高速に戻るなんてルートを引いて見せた。「乗り降りしたら高速料金がもったいない!」と思うかもしれないが、実はこの区間は特例により無料で乗り継ぎが可能となっているのだ。これには脱帽! という感じだ。
ナビメニュー画面。1画面にまとめられており分かりやすい | 名称検索。キーボードは10キータイプに切り替えられる | この例だと曖昧検索による候補を含んでいるため候補が膨大になってしまう |
そんな時に便利なのが絞り込み機能。「ジャンル」「エリア」の2つが用意されている。今回は「駅」をチョイス | 「秋葉原駅」のみが結果に表示される |
地下鉄の出口情報を収録しているため「2番出口で待ち合わせね」なんてことが可能 |
周辺検索は「やりたいこと」と「ジャンルから探す」の2パターンから選べる | 「食べる」を選べば飲食店をリストアップ。電話番号などの詳細情報も確認可能だ |
「買う」の場合はこんな感じ。ジャンルを決めていないためバラエティに富んだ内容になる | 「ジャンルから探す」は文字通り行きたい施設のジャンルを先に選択。「急速充電スポット」なんて項目があるのは最近のナビならでは | 駐車場を選んだ場合。事前にクルマのサイズを登録しておけば駐車可能なスポットをリストアップしてくれる |
住所などのほか料金や営業時間といった詳細情報も。全国119個所の駐車場には駐車場専用マップも用意されている |
通信環境がある場合、「Smart Loop(スマートループ)」ボタンを押せば専用メニューに。接続にはネゴシエーションを含めて15秒ほどかかる | スマートループの専用メニュー画面 | 「フリーワード検索」を選ぶと人気のキーワードを見ることができる。ただし、ここから各項目を選ぶことはできない |
見た目は通常の名称検索と変わらないが、こちらは候補予測の表示&選択ができるほか、複数のキーワードによるand検索にも対応している | ローカル(楽ナビ本体)には情報が収録されていなかった新規スポットも、通信による検索では探し出すことができた |
スマートループの駐車場検索からは駐車場の満車/空車のチェックが可能。行ってみたら満車で駐められなかった、なんて悲しい事態を避けられる | ガソリンスタンドの検索では価格も分かる。「近い順」や「安い順」での並べ替えもできる |
「テレビdeみ~た」ボタンからはTV番組で紹介されたスポットの検索が可能 | 「番組名」などのキーワードだけでなく「新着」や「周辺」からも検索できるのが便利 | 紹介された番組名など詳細情報も用意されている |
ナビメニュー下の「情報」タブのメニュー画面。通信により日本全国の天気を調べることができる「ウェザーライブ」はここから | 天気予報の結果表示。取得しておくと通常画面にもそれが反映される |
地図画面のバリエーション。もっとも基本といえる100mスケール | 100mスケールには一方通行の表示も可能 | 50mスケール以下は建物の形や歩道などまで確認できる市街地素表示となる。全国1334都市で表示できる |
25mスケール | 10mスケール |
200mスケール | 500mスケール | 1kmスケール |
2kmスケール | 5kmスケール | 10kmスケール |
20kmスケール | 50kmスケール | 100kmスケール |
200kmスケール | 500kmスケール |
上空からの視点となる「スカイビュー」。建物もリアルに表示される |
スカイビューとは逆に低い視点となる「ドライバースビュー」 | 画面を2分割して異なるスケールや視点の地図を同時に表示可能な「ツインビュー」 | 「AVサイドビュー」はAV系の情報表示と地図を2画面で表示可能だ |
通常より文字を拡大表示する「文字拡大モード」。交差点名や施設名などを確認しやすい | 道路表示&情報に特化した「道路重視モード」。道路も縁取りでなくエンボスによる立体感ある表示になる |
ルート探索は6ルートを同時に行う。少し時間を要するものの最初に推奨ルートを引き、その他ルートはバックグラウンドで処理が行われるため、それほど待つ感覚はない | 探索したルートは一覧で確認可能。距離、料金、時間などベストなルートが強調表示されるため分かりやすい |
探索ルート例。距離はルート1の方が長くなるがルート2より短時間で目的地に着けそうだ、なんてことが分かる |
探索ルートの品質も上々。混雑する首都高速を通行止め区間を利用して回避するなんて技アリなパターンも |
■分かりやすい案内とパーフェクトな精度
案内画面も先代モデルから大きく充実した部分。分かりやすさという面ではサイバーナビにも採用されているドライバーズビューとオートアングルチェンジが搭載されたのがポイントだ。目印となる施設やランドマークなどをドライバー目線で表示してくれるとともに、曲がるポイントに近づくにつれ、より上空からの視点に切り替えてくれるのはとても分かりやすい。これなら初めての場所でも安心して走行することができそうだ。
もちろん、従来からの交差点拡大図やアローガイドも用意されているから、好きな案内方法を選ぶことができる。方面看板やレーンガイドも豊富に用意されており、ルート案内の如何に関わらず表示されるなど、スムーズ運転をサポートしてくれる。
自車位置精度はカロッツェリア ナビの十八番といえる部分。本機では従来モデルの5Hz(1秒間に5回)測位から、サイバーナビと同じ10Hz(1秒間に10回)となったこともあり、より磨きが掛かった印象だ。高速道路と一般道が上下に平行して走る場所や、GPSの電波を受信することができない地下駐車場など、数ポイントでチェックしてみたが、まったく破綻を見せることなく正しい自車位置を示してくれた。
さらに本機にはサイバーナビと同じく、全国119個所の駐車場マップが収録されているが、チェックした羽田空港の立体駐車場では駐車場の枠までピンポイント。まさにパーフェクトな精度といえる。
交差点での案内は3パターンから選択可能。これはドライバーズビュー | 交差点での案内は3パターンから選択可能。2D拡大図はランドマークなどが見やすい表示だ | 交差点での案内は3パターンから選択可能。これは余計な情報を省いて曲がる方向を強調するアローガイド |
ドライバーズビューの交差点案内では曲がるポイントに近づくにつれ視点が上方に移動。周囲の状況とともに交差点の情報も見やすい |
ドライバーズビューでは各地のランドマーク的な建物もリアルに再現 | コンビニなどの施設も目立つように表示されるためとても分かりやすい |
首都高の入り口には実写ベースのイラストが用意されている | 高速の分岐もイラストにより案内。デフォルメされているもののレーンの状況などとても分かりやすい |
高速/都市高速には専用の「ハイウェイモード」を用意。IC(インターチェンジ)やSA(サービスエリア)までの距離や到着時間などのほか、施設情報も収録されている | SA/PA(パーキングエリア)などでは施設情報を描いたマップを用意 |
目的地検索からルート探索、そしてルート案内までの例を紹介。ここでは羽田空港を目指してみた | 名称検索だと空港内の施設などまでリストアップされてしまう | そんな時は「ジャンル」による絞り込みを利用 |
ジャンル内にそのものズバリの「空港」を発見 | 空港関連施設だけが新たにリストアップされた | クルマで行くのだから目的地は駐車場。右地図の赤いフラッグは駐車場の実際の入り口を示している |
目的地にする前に料金などをチェック。よければ「ここへ行く」だ | 自動的にルート探索が行われる | 後は好きなルートを選べばよい |
最終的に駐車場の入り口までキチンと案内してくれた | 駐車場に入ると駐車場マップまで表示 | 目的地に着くと「エコステータス」表示で今回の運転をチェックしてくれる |
精度の高さはサイバーナビ譲り。地下駐車場でも周囲の道路にマッチングしてしまうことはなく、正確な自車位置を示した | 高架の高速道路から地上の一般道へ。これもキチンと認識し一般道への案内に切り替えた |
駐車場マップでも自車位置はバッチリ |
左隅の階数表示に注目。下に降りるスロープを下れば自動的に次の階のマップへと切り替わる | 地上ではこの表示。トイレや料金所、エレベーターの位置など、クルマを止める前に分かるのは便利。若干増えたとはいえ収録数がまだまだ少ないのが残念 |
■SDカードやUSBメモリーなど多彩なソースに対応
AV機能に関しても、もはやベーシックモデルとはいえない内容だ。4チューナー×4アンテナの地デジチューナーをはじめDVDビデオ再生、メモリーナビながらSDメモリーカードにCDの録音が可能な「ミュージックサーバー」も搭載する。ATRAC3による標準音質モードなら最大12倍速、ATRAC Advanced Losslessによる高音質モードなら4倍速で、16GBのカードに4000曲以上(標準音質)を録音できる。曲のタイトルなどの情報は通信モジュールがあればその場で、なければ自宅のパソコンを利用することで付けることが可能。SDメモリーカードからはMP4やAVI、WMV、H.264といったフォーマットの動画再生も可能となっており、大容量のカードを1枚入れっぱなしにしておけば、多くのユーザーはそれだけで事足りてしまいそうだ。
オプションのケーブルが必要になるものの、iPhone/iPodの接続ももちろんOK。音楽再生だけでなく「YouTube」などの動画再生にも対応しているのが嬉しい。iPhoneといえばiPhone 5から採用されたLightningコネクタへの対応が気になるところだが、メーカー側では未検証とのこと。そこでアップルの純正アダプターを介して接続してみたところ、若干認識までに時間を要したものの問題なく動作した。カバーアートまでちゃんと表示されており、問題なく使うことができそうだ。ただし、この結果はあくまでテストした個体でのこと。編集部で動作を保証するものではないので、自己責任で試してほしい。
そのほかBluetoothを利用したストリーミング再生も可能。こちらはオプションを付けなくても使えるため、スマートフォンなどにデータをため込んでいるなら、こちらを使った方が便利だろう。
AVメニュー。ラジオやCD/DVDにとどまらず豊富なソースに対応している | iPod/iPhoneの再生画面。もちろんカバーアートも表示可能だ |
オプションのiPhone/iPod接続ケーブルは、Dock(30ピン)コネクター用 | 音楽と映像を再生するためにはUSBとピンプラグの2本を接続する必要がある。USB接続も併用しているが音声はiPhone/iPodのアナログ信号を出力する | アップルの純正変換アダプタを介して、8ピンのLightningコネクタとなったiPhone 5の接続も可能だった |
地デジは4チューナー×4アンテナの贅沢仕様。受信感度も良好だ |
音楽CDをSDメモリーカードに録音するミュージックサーバーを搭載 | AN/FMチューナーももちろん搭載 |
サイバーナビ譲りのオーディオパーツを採用するほか、音場調整やイコライザーなど調整機能が充実。ただし、サイバーナビに搭載されているタイムアライメント機能の搭載は楽ナビシリーズにはない |
■高性能&高機能なベーシックモデル
エアージェスチャーの搭載を前面に押し出した感のある新しい楽ナビ。ただ、正直なところ、この機能自体にはあまり魅力を感じることができなかった。というのも、現状では2パターン(実質1パターン)しか機能を持たせることができないためだ。加えて、地図のスクロールをしたい、なんて時にも、いちいちランチャーが表示されるのもうっとうしい。ある程度は使う側の意識を変えることで回避できそうな気もするけれど、結局、今のメニュー体系を維持する限り、何らかの操作をするためにはタッチパネルを操作する必要がある。ジェスチャーの使い方に関しては、もうひとひねりする必要がありそうだ。
エアージェスチャーに関してはかなり辛い評価になってしまったけれど、ナビの基本部分に関しては相当によくできている。豊富なモードを持つマップ、バラエティがあり実用的なルート探索、パーフェクトといえる自車位置精度など、ひと昔前ならハイエンドモデルといってもよいほどのパフォーマンスを持っている。スマートフォンやPNDとはナビゲーション機器としてのレベルが1つどころか、3つも4つも違うと言ってよい。それでいて実勢価格を見ると価格はエントリーモデル並み。間違いなく、お買い得と言えるナビだ。
(安田 剛)
2012年 11月 30日