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【ナビレビュー】プリウスに8V型モニター装着を可能にした「ストラーダ CN-LS810D」
マルチタッチを可能とし、プリウスなど車種別専用設計のカーナビ
(2012/12/26 15:40)
ストラーダでカーナビを展開するパナソニック。現行モデルは「Lシリーズ」をはじめ「Hシリーズ」「Sシリーズ」「Zシリーズ」「Sクラス」と計5ラインもの幅広いラインアップを用意している。なかでもここ最近、同社がもっとも力を入れているのが「ビューティフルフィット」をコンセプトとした「Lシリーズ」だ。
同シリーズは一般的な2DINサイズではなく、車種別専用設計とすることで8V型大画面モニターの採用を可能としたのが大きな特長。2012年春モデルとして先陣を切ってリリースされたのが「L800」の型番を持つ製品群で、本レビューでも日産・セレナ用となる「CN-L800SED」を紹介済みだ。
魅力度をアップしたLシリーズの2012年秋モデル
そして2012年秋モデルとして追加となったのが「LS810/710」の型番を持つモデルだ。この新型は「CN-LS810D」と「CN-LS710D」の2タイプが用意されるが、ナビゲーション性能の点では違いがなく、前者が8V型モニター、後者は7V型モニターを採用するのが異なるポイント。対応車種は前者がトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」「プリウス」「プリウスα」の3モデル、後者はホンダ「フリード」、ダイハツ「ムーヴカスタム」、トヨタ「アクア」の3モデルとなる。またL800系はナビ本体からフィッティングまで含めた専用モデルだったのに対し、LS810/710では共通のナビ本体部分に専用フィッティングを組み合わせるスタイルとなった。
試乗車として用意されたのはトヨタのプリウス。前述のように本体がCN-LS810Dで、プリウス専用となる「CA-FND81PRD」を組み合わせて装着されている。
専用設計をうたうだけあってインパネ周囲とのマッチングは文句ナシといってよい。ナビ本体と周囲に配置されるボタンは、ともに光沢のあるピアノブラック仕上げで高級感のある仕上がり。専用となるボリュームや現在地、メニューといったボタンはインパネのカーブにフィットした形状で大きく視認性に優れ、節度感のあるタッチはとても操作しやすい。イルミネーションもメーターやエアコンなどと混在しても違和感の少ないホワイトを採用するなどの配慮もあって、クルマのオーナー以外が見ても後付けしたとは思えないハズだ。
もちろん、ただ後付けするだけならディーラーオプションの純正ナビでもいいんじゃね? ってことになるけれど、一般的な7V型より画面が1サイズ大きくなるのはかなりのアドバンテージ。テレビの37V型と38V型(そんなサイズは現状ないけれど)の差は分からなくても、7V型と8V型はひと目で区別が付くぐらいの違いが感じられる。当然、地図が見やすいのはもちろん、画面に表示されるボタンが相対的に大きくなるため、タッチパネルを使った操作もしやすいのだ。
そうそう、タッチパネルといえば忘れてはいけないのが、Lシリーズはカーナビで一般的な感圧式ではなく、最近のスマートフォンと同じく静電式を採用している点。加えてL800系ではシングルタッチだったのが、L810/L710ではマルチタッチ対応となり、2本指を使った操作も可能になった。つまりフリックだけでなく、ピンチイン/ピンチアウトや2本指での同時タッチを実現しているのだ。文字にしてしまうとわずかな違いだけれど、使い勝手の面ではとんでもなく大違い。前回(CN-L800SED)の記事では「マルチタッチは使いづらそうな気もする」なんて書いたけれど、ここは潔く訂正したい。特に地図の広域/詳細を2点同時タッチ/ダブルタッチでできるのは、画面を見ずに適当なところを押せばいいからホントに便利でスピーディ。こんなにカンタンに操作できるなんて凄くスゴイです、って感じだ。
画面外に目的地やメニューボタンを配置することで、地図画面がスッキリしているのもLシリーズの特長だ。画面内には地図の向きを示すコンパスやスケールなど情報系がいくつかと、ショートカットキーとなるランチャーボタン、それに広域/詳細ボタン程度。マルチタッチで縮尺を変更できる本機の場合、もう広域/詳細ボタンも必要ない気がするけれど、いきなり消してしまうとまごつくかも? という配慮かもしれない。ランチャーボタン自体はL800系にも用意されていた機能。6種類の項目を任意に設定可能で、よく使う操作を割り当てておけばいちいちメニューの階層をたどる必要がないのも至極便利だ。
褒めてばかりなのもアレなので若干難を言えば、2画面表示時などハードの限界か若干タッチ操作のレスポンスがわるくなる。もっとも、それほどストレスには感じないレベルなので、あえて重箱のスミを突けばって部分ではある。
もうひとつL800系と異なる点がある。それは記憶媒体がHDDからSDカードに変更になり、容量が60GBから16GBと大きく減ったことだ。もっとも、すべての領域をカーナビ関連のデータが占めているわけではないため、機能面での違いは「ストラーダチューン」など一部の細かな設定項目が省略された程度。地図用とは別のカードスロットが用意されているため、別途SDカードを用意すれば音楽CDのリッピングは可能だ。
アプリのバージョンアップでスマホ連携が一層便利に
スタンドアローンな世界であるカーナビに「今」の情報を取り込むことを可能にするのがスマートフォン連携機能。ストラーダシリーズ用にはAndroidおよびiPhone用の専用アプリとして「おでかけナビサポート ここいこ♪」がリリースされている。
前回のレビュー時には「るるぶDATA」を元にした観光スポット検索、「ぐるなび」を使ったグルメスポット検索、「Yahoo! JAPAN」を使った周辺検索と、3タイプの検索が可能だった。その後、秋モデルの発売に合わせてバージョンアップが実施され、新たに近くのおすすめスポットを紹介してくれる「寄り道コンシェルジュ」、事前登録した目的地を予約しておける「送信予約」などの機能が追加となった。
なかでも便利だと感じたのが予約機能。Android版アプリでは自動送信にも対応しているため、食事や休憩など立ち寄ったポイントで次の目的地を予約しておけば、クルマに乗り込むだけで目的地のセットが完了。エンジンを掛けてからゴソゴソとナビを操作する必要がなく、とてもスマートで手間いらずなのだ。
ちなみに、このアプリ自体は無料かつ登録不要のため、ストラーダのユーザー以外でもスポット検索などに使うことができる。ぜひ、チェックしてみてほしい。
ナビ機能は若干シンプルに
記録媒体が16GBのSDカードのため、HDDを使ったモデルと比べると機能面は若干シンプルになった。大きなポイントは前述したようにストラーダチューンが未搭載となることで、ことカスタマイズという観点から見れば、デチューンといった印象を受けてしまう。ただ、地図表示に関してはテーマカラーのほかルートカラーや太さ、自車マークのカラーや大きさなどの変更ができるため「マップチューン」に近い感覚。情報量的に見てもそれほど大きく変わったわけではなく、L800SEDと比べると元データとなる電話番号の登録者数が減り続けているため電話番号が全国約2800万件→約2650万件と減っているものの、住所は逆に約3790万件→約3840万件と増加しているといった具合だ。数字だけ見れば小さくないものの、この程度の差だとピンポイントで対応施設にあたらない限り、実使用ではまったく分からないレベル。使っていて不自由を感じることはないだろう。
目的地検索のメニューは住所や電話番号、名称、周辺など、一般的な項目をもれなくサポート。加えて、専用ナビアプリを使った検索が便利なため、これ以上の機能は不要! と思えるほど。ちょっと難点を言えばデータのリンクが不足がちな点。一例を挙げると羽田空港に行きたい、なんて時に名称検索で「はねだくうこう」と入れても「羽田空港 ○○営業所」のような施設しか出てこない。空港そのものを目的地にしたい場合は、「とうきょうこくさいくうこう」と入力する必要があるワケだ。確かに間違ってはいないのだけれど、分かりやすさという点で見ればもう一歩踏み込んだ配慮がほしいところだ。
ルート探索はいわゆる推奨ルートとなる「おまかせ」をベースに、必要とあれば「有料優先」「一般優先」「距離優先」「eco」の5ルートを同時に探索できる。過去のVICS渋滞統計データをもとに最適なルートを探索する「渋滞データバンク探索」にも対応しているのも嬉しい感じだ。
もうひとつ嬉しいのが2012年度版のデータを収録していること。例えば新東名高速道路はL800SEDでは一部データのみしか収録されていなかったが、こちらはフル対応となりジャンクションのイラストデータなども用意されている。L800SEDも後日の更新で対応しているものの、手間いらずという点ではやはり最初から入っているに越したことはない。もちろん、本機もWebユーザー登録&アンケートに答えることで3年分の地図更新が無料になる。今後開通する道路や施設への対応も万全だ。
分かりやすいルート案内は継承
ルート案内はHDDナビとなるL800系モデルと変わらない。シンプルながら分かりやすい交差点拡大図はストラーダになる以前からずっと受け継がれてきている内容で、飛び道具的な新鮮さはないものの案内の情報としては必要十分。ナビを買い換えると案内パターンが変わってしばらくはちょっと悩むなんてことがあるけれど、同社ナビからの交換なら迷わず安心という側面もある。加えて、一部交差点にはリアルなイラストを使った「難交差点拡大図」、バイパスの立体交差などには「側道案内」を用意するほか、連続する4つの交差点の推奨走行レーンを表示する「レーンリスト」表示も複雑怪奇な道路形状となっている都市部ではありがたい機能だ。
据え置き型モデルならではの高い自車位置精度も健在。前回同様、首都高速と一般道が上下に平行している場所と地下駐車場でチェックしてみたが、リプレイを見ているかのような安定した精度を見せた。
iPod/iPhone接続は要オプションに
対応ソースは12セグ/ワンセグ地デジをはじめDVDビデオ、Bluetooth、iPod/iPhoneなど豊富。L800系との主な違いは音楽CDのリッピング先がHDDからSDカードになったこと、新たにUSBメモリーからのMP3/WMAデータの再生が可能になったこと、iPodビデオの再生に対応したこと。ただ、iPod/iPhoneを接続するためにはオプションの接続ケーブル「CA-LAP50D」と中継ケーブル「CA-LUB200D」が必要。iPhone5に関してはアップル純正の変換コネクタにより音楽の再生は可能なものの、残念ながらビデオ再生が不可となる。
ストラーダと言えばビエラ譲りの地デジに注目だ。LEDバックライト&静電式タッチパネル、そして8V型モニターの組み合わせは、美しく迫力のある映像を実現。クルマという限られた空間で視聴距離が近く、音響にも恵まれるため十二分に満足できること間違いなし。4チューナー×4アンテナということもあって感度もハイレベル。また、ナビと地デジの2画面表示が可能なほか番組表やデータ放送対応、各種操作はタッチパネルでOKと使い勝手も良好だ。
カーナビならではの機能をスマホのようにラクラク操作
ナビゲーションの基本部分はストラーダの集大成と言ったイメージ。「なにこれ、すげぇ!」的なギミックはないものの、カーナビとして必要な機能は網羅されている。使い勝手や操作性といった面に関してもL800SEDでは若干不満を覚えたものの、本機ではマルチタッチに対応したことでほぼすべて払拭されたと言ってよい。
バージョンアップしたスマホ連携もかなり便利だ。前回の記事に「わざわざスマホでやる意味が分からない」的なツイートが散見されたけれど、実際に試してみれば使い勝手のよさが分かるはず。据え置き型ならではの精度とローカルなデータ、それに必要とあれば外部から鮮度の高いデータをカンタンにインポートできる。このコラボレーションは通信環境などクルマとカーナビの現状を考えれば現時点では最善といえるだろう。
カスタマイズという部分が弱くなってしまったのは残念だけれど、フィッティングを含めたトータル性能は高いレベルにあるといってよい。前回も書いたけれど、プリウスやアクア、ムーヴカスタムなど対応車種のオーナーなら購入リストのトップに挙げたいモデルだ。