ニュース

パリで開催されていたパリ版「TOYOTA 75」と、パリのメーカーショールーム

愛知県のトヨタ博物館では特別企画展「TOYOTA 75」を5月6日まで延長開催

アメリカ・ヨーロッパでも同時開催されていた「TOYOTA 75」

 以前Car Watch誌上でリポートをお届けしたトヨタ博物館(愛知県長久手市)の特別企画展「TOYOTA 75」。2013年4月14日まで開催の予定だったが、好評のため、5月6日まで延長開催されている。

●トヨタ博物館で特別企画展「TOYOTA 75」を見てきた
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20121206_576085.html

 この企画展だが、実は欧米でも同時開催されていた。今回はフランスのパリで行われていた「TOYOTA 75」を見る機会があったので、ここに紹介しよう。

パリのシャンゼリゼ通り沿い

 「TOYOTA 75」が開催されていた場所は、パリの北西部に位置し、観光地として非常に有名な凱旋門とコンコルド広場を結ぶ約3kmの並木道、シャンゼリゼ通りだ。シャンゼリゼ通りは、さまざまな有名ブランドのショップが立ち並ぶ中、ルノーやシトロエンなどフランスの自動車メーカーに加え、メルセデス・ベンツ、フィアットグループらがショールームを構える車好きにも見応えのある通りなのだ。その中で唯一の日本メーカーのショールームが今回の会場となるのがトヨタモーターヨーロッパの情報発信基地「ランデヴー・トヨタ(Le Rendez-Vous Toyota)」だ。ちなみにアメリカでの会場は西海岸カリフォルニア州トーランスにあるTOYOTA USA Automobile Museumになる。

パリでは真っ赤なトヨタ 2000GTが来場者を迎える。もちろん左ハンドル
この企画展のロゴは日本と同じ。入り口のディスプレイには86(現地名GT86)のプロモーションビデオも流れていた
各種ディスプレイはトヨタモーターヨーロッパからの依頼により日本から送られた情報を元に現地法人が独自に作成したもの
年表は自動車開発以前の豊田佐吉による自動織機の時代まで遡る
ミニカーもノーマル、プロトタイプ、モータースポーツ車両問わず数多く展示
子供向けのコースター型塗り絵は3種。はToyota(Toyodaではない)AA型、ランクルFJ25、そして最新のGT86
カローラ、コロナ、セリカの初代モデル
トヨタスポーツ800
ランドクルーザーFJ25

 展示車は当然ながらすべて左ハンドルだ。カローラとコロナはこの頃からドアミラーが採用されていたようだが、セリカは日本と同じフェンダーミラーだった。またセリカは日本のトヨタ博物館に展示されていた車と全く同じカラーリングだったことは興味深い。

 ランドクルーザーは日本での展示が1974年のFJ40型に対し、パリでは16年も古くその顔つきに初代の面影を強く残すFJ25型を展示。同ショールームのホームページによると今回の展示車両はオランダのローマン博物館からの貸出とのこと。このオランダの博物館は日本のトヨタ博物館にもさまざまな面で協力しているところであり、トヨタ自動車の第1号車にあたるトヨタAA型のオリジナルを所有する世界でただ1つの博物館でもある。

2階は現行モデルの展示。取材当日は写真右からWECやル・マン24Hに挑戦し続けるTS030ハイブリッド、そしてTRDパーツでモディファイされたGT86(日本のトヨタ86)、パーソナルモビリティのコンセプトモデルi-unit、また写真には無いが日本未発売のオーリスハイブリッドとそのカットモデルが展示されていた

 トヨタの欧州におけるブランドイメージ発信の場であるランデヴー・トヨタが自動車文化の先駆である欧州の地でこのように自社の歴史を展示する事は非常に興味深く、また同じ通りに並ぶ欧州ブランドのショールームと見比べるのはなかなか楽しいひとときであった。

シャンゼリゼ通りの欧州メーカーショールーム

 シャンゼリゼ通りは名だたるメーカーのショールームが立ち並ぶ激戦区だ。それらをざっと紹介していこう。

●シトロエン「C42」
 落ち着いた石造りの建物が並ぶこの通りにおいて、ひときわ奇抜な外観を持つショールームがシトロエンの「C42」だ。内部は吹き抜けになっていて8枚の展示用ターンテーブルが縦に並んでいる。地下はWRCのコーナーになっており、撮影時にはチャンピオンS.ローブのマシンが展示されていた。

アバンギャルドという言葉がふさわしいシトロエンらしいショールーム

●プジョー「PEUGEOT AVENUE(プジョー・アヴェニュー)」
 凱旋門に程近い場所にあるプジョーのショールームが「PEUGEOT AVENUE」だ。新型車やコンセプトモデルはもちろん歴代プジョー車に付いているライオンのマスコットエンブレムのギャラリーやオリジナルグッズのショップも充実している。

撮影時には怪しげなパープルの照明が印象的だったシトロエンのショールームはショップも充実していてミニカー等車関係だけでなく有名なペッパーミルなどのテーブルウエアも豊富だ

●ルノー「L'Atelier Renault(アトリエ・ルノー)」
 レストラン、ラウンジ・バーが併設され展示内容も充実したショールームがアトリエ・ルノーだ。撮影時は"NO LIMIT!"と名付けられたルノーのスピードへの挑戦の歴史を貴重な歴代のレーシングマシンと素敵なディスプレイで紹介していた。またパーテーションで仕切られたスペースにはタンデムEV「TWIZY」の展示もあった。

名車達の展示を通じメーカーの主張が明確に伝わるアトリエ・ルノーにはゴルディーニグッズも充実

●フィアット「MotorVillage(モーターヴィラージュ)」
 イタリア・フィアットグループのショールームでアトリエ・ルノー同様カフェやレストランが併設されている。3ヶ月毎に展示ブランド(ランチア、フィアット、アルファロメオ、アバルト、ジープ)が入れ替わる。

戦前のモデルからギブリ、カムシン、そして最新のクアトロポルテやグラントゥーリズモ等と充実、グッズもマセラティブランドにふさわしい時計やバスローブまで用意されている

●メルセデス・ベンツ「FASHION GALLERY(ファッションギャラリー)」
 ゴールドやベルベット、豹柄等さまざまなボディーを纏った最新のメルセデス・ベンツ/AMGが華やかでゆったりとしたスペースに展示されているファッショナブルなショールーム。広々としたスペースのショップに並ぶグッズやガラスケースに展示されたミニカー等その充実度でもこの通りのショールームの中で群を抜くのがここ、ファッションギャラリーだ。

好き嫌いがはっきり分かれそうだが、その充実度と華やかさでは群を抜くショールーム

 シャンゼリゼ通りに並ぶ自動車メーカーのショールームをざっと紹介したが、下手なモーターショーをも凌ぐその充実ぶりは一度覗いてみる価値は十分。メーカーごとの個性の違いが何とも楽しい。すべてのショールームが1本の通りに集中しているので、パリに行く機会があれば時間をとって一気に制覇するのもよいだろう。

トヨタ博物館特別企画展「TOYOTA75」は5月6日まで開催

 トヨタ博物館(愛知県長久手市)にて昨年10月より開館以来最大規模のトヨタ車だけの企画展「TOYOTA75」が催されていたが、開催してから今日までの来場者数が概ね前年比20%アップと好評だ。同館ではこれを受け当初今年4月14日までだった期間をゴールデンウイーク最終日の5月6日まで延長した。

自国の、しかも単一メーカーの歴史的展示をこれだけ大規模に行う企画展は国内の自動車博物館では非常に貴重だ。実車、精密なスケールモデル、そしてさまざまな資料が揃うこの展示に加え4月27日より「流線型の時代とクルマたち」と銘打った新たな企画展が同時開催され5月6日までは同時に楽しめる。また併催期間にはソーラーミニカー等を作る子供向けゴールデンウィークイベントも行われ盛り沢山だ。連休中に足を運んでみてはいかがだろう。

往年のトヨタ車が揃う好評の特別企画展「TOYOTA75」は5/6まで開催期間が延長された
車はもちろん貴重な資料や精密なスケールモデル、懐かしいカタログも数多く展示されている

 なお開催期間中には各種のイベントが併催されているので、トヨタ博物館のWebサイト(http://www.toyota.co.jp/Museum/)を確認してほしい。

(高橋 学)