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D1最終戦「D1グランプリお台場」リポート

最終戦を制した川畑真人が今年のD1 GPシリーズチャンピオンを獲得

2013年11月9日開催

 9月に行われた第5戦(長崎・ハウステンボス)でランキング上位陣が総崩れしたため、上位9台がチャンピオン獲得圏内となった混戦の「2013 GRAN TURISMO D1 GRAND PRIX(D1グランプリ)」。その最終となる第6戦がお台場特設コース(東京都江東区青海)で行われ、ランキングトップで臨んだ川畑真人選手が優勝。わずか2ポイント差で追う末永直登選手を振り切り今シーズンのシリーズチャンピオンを獲得した。

 1回の走行時間が30秒に満たない超短距離コースの中に5つのセクターが設定され、おのおのに課せられた評価基準により得点が与えられるD1グランプリ。1つのミスが致命傷となる非常に厳しい戦いだ。

 審査を務めるチーフテクニカルジャッジの神本寿氏は、今やGTドライバーとしても大人気の谷口信輝選手や今大会にも出場している古口美範選手、上野高広選手らとともに凌ぎを削ったD1創成期当時の人気ドリフターだ。また11月9日の第6戦のみ審査員はレーシングドライバーの飯田章氏が担当。ゲストにはラリードライバーの新井敏弘選手も参加し審査員席も華やかな一戦となった。

5つのセクターに分けられ審査は行われる
審査委員長の神本寿氏(左)と審査員の飯田章氏(右)
新井敏弘選手もゲスト解説者

単走決勝

 単走トップ10は以下の通り(敬称略)。ポイントランキングトップで臨んだ川畑真人選手は14位、3位の斎藤太吾選手は20位だった。

1位:内海彰乃(S15シルビア)
2位:EMMANUEL AMANDIO(インドネシア/JZX100チェイサー)
3位:田中省己(S15シルビア)
4位:末永直登(S15シルビア)
5位:今村陽一(S15シルビア)
6位:古口美範(S15シルビア)
7位:日比野哲也(86)
8位:佐久間達也(S15シルビア)
9位:横井昌志(S15シルビア)
10位:Georgy Chivchyan(ロシア/S15シルビア)

D1を彩る多種多彩な参加マシン

 日産「シルビア/180SX(S13系~S15)」が多数派のD1グランプリだが、ほかのモータースポーツと比べ車種は幅広くバリエーションに富むのも1つの特徴だ。

唯一の輸入車、上野高広のBMW(E92)
GRS184クラウン(時田雅義)
GRX130マークX(高橋邦明)
ダイハツ・シャルマン(岩井照宣)
KP61スターレット(板倉日出生)
R32スカイライン(手塚強)。R34顔のR32だ
RX-8(末永正雄)、D1グランプリではロータリー勢も健在で雨さんも元気!
FD3S(松井有紀夫)
織戸学の86は単走で早くもクラッシュしてしまった
かつて一世を風靡したAE86(写真はAE85)やJZX90マークII
チームオレンジはランエボ、ローレルなど多彩な顔ぶれ

 単走終了後、今まで数々のモータースポーツにチャレンジしてきたガチャピンが遂にD1グランプリにも登場。華麗すぎるデモンストレーションランを披露。コーチはあの初代D1 GTチャンピオンにして今やSUPER GTやさまざまなモータースポーツシーンで活躍する谷口信輝選手だとか、そうでないとか……? ちなみにマシンはS15だ。

ガチャピン驚愕のテクニック!!
結果はなんと92.54ポイント
師匠は谷口信輝選手?

 また単走、追走準決勝後の2回フリースタイル・モトクロス(FMX)のアトラクションがあり、こちらも観客を沸かせた。

追走

 D1グランプリの真骨頂、追走決勝。ベスト16を勝ち抜いた8レースを写真で紹介しよう。

内海(S15シルビア、写真左) vs 佐久間(S15シルビア)。S15シルビア+TOYOタイヤの同門対決は、この日絶好調の内海に軍配
末永(S15シルビア、写真右) vs 今村(S15シルビア)。1本目先行末永のスタート直後の走行ラインにペナルティが課せられたが、後半挽回し末永の勝利
E.AMANDIO(JZX100チェイサー、写真右) vs G.Chivchyan(S15シルビア)。海外勢同士の争いはインドネシアのE.AMANDIOが圧勝
川畑(180SX、写真左)vs 古口(S15シルビア)
今まで殆ど180SXにしか乗ったことがないという川畑と、かつて180SXを駆り帝王の名を欲しいままにした古口の対決は川畑に軍配

追走準決勝/3位決定戦

内海(S15シルビア、写真右) vs 末永(S15シルビア)。先行で内海がリードし臨んだ2本目に2台は大クラッシュ、内海が勝利するもののマシンは大破。内海の決勝出場は危ぶまれた
川畑(180SX、写真右) vs E.AMANDIO(JZX100チェイサー)。1本目に互角の戦いを演じた2人は再戦で川畑が僅差の勝利
末永(S15シルビア) vs E.AMANDIO(JZX100チェイサー)。3位決定戦は末永の勝利

追走決勝

 川畑の不戦勝も予想された決勝だが、準決勝で大破したマシンの修復を果たした内海が追走決勝に臨み、これで第6戦単走の勝者とシリーズポイントリーダーによるTOYO勢対決が実現することとなった。すでに日も沈み照明が用意された会場内は大いに湧き、本日絶好調の内海が前半はリードするも、後半に川畑が巻き返し、すでに決まった自身のシリーズチャンピオンに優勝の花を添え大会は終了した。

追走決勝戦の内海(S15シルビア、左) vs 川畑(180SX)

 第6戦を勝利で飾った川畑真人選手はこれで総合、単走ともに年間ランキング1位となり6年ぶり2度目のシリーズチャンピオンを獲得。総合、単走ともに年間3位を獲得した佐久間達也選手や今大会で単走1位を獲得した内海彰乃選手とともに、TOYOタイヤ勢がその強さを見せつけたお台場での最終戦だった。表彰式で見せた「Team TOYO TIRES DRIFT」総監督へのチーム員の祝福は、会場に駆けつけた多くのファンにその喜びを印象づけたようだ。

完全勝利で嬉しい川畑選手
佐久間選手も年間3位を獲得
竹田総監督へのシャンパンファイトには何故かポリタンクの水も登場。盛大に祝うTeamTOYOスタッフ

 最後までチャンピオン争いを演じた末永選手をはじめ、ほかのチームも来シーズンは当然巻き返しを図り、今年以上の熱い戦いが繰り広げられるだろう。少々気が早いかもしれないが、1本の走行が30秒程度に凝縮されたこのエンターテイメント性の高い超短期決戦のD1グランプリの来シーズンが今から楽しみだ。

(高橋 学)