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日産、液晶ミラーとルームミラーを任意に切り替えられる「スマート・ルームミラー」開発
今春からディーラーオプションとして販売開始。ル・マン24時間参戦車両などへも導入予定
(2014/2/28 18:25)
日産自動車は2月28日、ドライバーにクリアな後方視界を提供することを目的に、液晶ミラーとルームミラーを任意に切り替えられる「スマート・ルームミラー」を開発したと発表した。同製品は2015年からグローバルで採用することが検討されていて、まずは今春に日本市場へ導入し、ディーラーオプションとして販売を開始する予定。
スマート・ルームミラーは、リアウインドー上に付けられる新開発の高性能狭角カメラ(130万画素)と、ルームミラーに内蔵する新開発の特殊形状液晶モニターで構成される。
従来の一般的な広角カメラでは、広い範囲を映し出すことができる半面、距離感をつかむのが難しく、さらに画質が悪化するという問題があった。そこで新開発カメラを採用し、撮影した画像を高画質かつ正しい距離感でモニターに映すことを可能にした。
また、通常は液晶モニターとミラーを重ねて使うと、後方からの光がミラー反射とモニター透過によって2重像現象を引き起こし、良好な視界が得にくくなる。そこでスマート・ルームミラーでは内部構造を工夫することにより、世界で初めて2重像現象を発生させることなく、液晶モニターと通常のミラーとの切り替えを可能にしたという。加えて液晶モニターのアスペクト比を約4:1という特殊な形状とすることで、画像をルームミラー全面に映し出すことを可能にしている。
このスマート・ルームミラーを使うことで、容易に後方の交通状況を確認することが可能になるとともに、降雨時や降雪時、薄暮や夜間といったさまざまな環境下においても広い範囲の後方映像を鮮明に映し出すという。さらに、朝夕の逆光や後続車のヘッドライトの光に対しても、高度なカメラ制御と画像処理プログラムによって眩しさが少ないクリアな後方視界を映し出すとしている。
なお、スマート・ルームミラーは今年のル・マン24時間耐久レースに出場予定の電力駆動レーシングカー「Nissan ZEOD RC(Zero Emission On Demand Racing Car)」や、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が開発するその他のレーシングカーにも採用する予定となっており、NISMOの宮谷正一社長は「モータースポーツの大変厳しい走行環境において、レーシングドライバーが良好な視界を確保できるかどうかは、非常に重要なポイントの1つです。『スマート・ルームミラー』は、日産・NISMOのドライバーを強力にサポートしてくれることでしょう。また、視界は『スマート・ルームミラー』で確保し、車体は空力性能の向上に特化したデザインとするなど、新しいレーシングカーの可能性が広がるものと期待しています」とコメントしている。