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NEXCO西日本、東九州道 苅田北九州空港IC~行橋ICが3月23日開通へ

新開通区間事前見学会

東九州道 行橋IC。3月23日から稼働する
2014年3月23日15時開通

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は、東九州自動車道 苅田北九州空港IC(インターチェンジ)~行橋ICを3月23日15時に開通する。それに先立つ3月12日、報道陣向けに事前見学会が開催された。本記事では、その事前見学会の模様をお届けする。

開通区間

 東九州道の延伸は将来、北九州市~大分県~宮崎県と九州の東海岸を結ぶ高速道路ネットワークの充実を図るための第一歩になる。今回の道路延伸は、2014年度以降のさらなる延伸に向けたファーストステップという意味合いが強い。

苅田北九州空港IC。新たに開通する行橋ICは左、小倉方面は右側に進む

 見学会は、現在の終点である苅田北九州空港ICまで移動し、行橋ICまで移動していく。行橋ICまでトンネルが3つ存在しており、区間長8.6kmのうち3.7kmがトンネルと、比較的山がちな地形といえる。苅田北九州空港ICから行橋IC方面へ進むと、すぐに光国トンネル(880m)が現れる。この区間の3つのトンネルは苅田北九州空港IC側に集中しており、行橋IC側には片側2車線、上下4車線区間が用意されている。2つ目の南原(みなみばる)トンネル(780m)を経て、3つめの高城山(たかじょうさん)トンネル(2070m)の出口から行橋市方面を眺めることができた。

地元テレビ局や、新聞社の取材車両が1列になって移動していく
3つ目の高城山トンネルが、区間内最長の2070mを誇る。このトンネルを抜けると行橋ICがまもなく現れる
高城山トンネルの行橋IC側出口脇に設けられた道路工事管理用の階段から撮影した風景
トンネル出口の上に階段が設置されていた。工事用の車両が多く往来しており、開通へ向けて工事が進む
高城山トンネルを出てから、行橋IC出口まで残り2kmの地点で、片側2車線、上下4車線となる。この4車線の区間長は1km弱
4車線区間が終わると、ちょうど行橋市境となる。画面左奥には九州の大動脈である国道201号バイパスが見える
行橋ICに差し掛かると、これからの開通が待たれる大分方面(次のICは、今川スマートICとなる予定)へ伸びる道路が確認できた
行橋ICの出口分岐を右にループしていくと、ようやく見えてきた料金所
関連施設の建設も急ピッチで行われていた
見学会の案内は、NEXCO西日本の松繁浩二氏、早瀬正文氏、戸屋佑紀氏の3名(写真左から)

 東九州道が延伸され行橋ICが利用できるようになると、急病人を行橋市や苅田町から北九州の医療施設まで搬送する時間がおよそ12分短縮されるという。行橋ICのさらに先、2014年度年開通予定のみやこ豊津IC(福岡県京都郡みやこ町)や、椎田道路(現在築城IC~椎田インターまで営業中)への接続が実現した際の移動時間の短縮効果は大きなものとなるだろう。

 北九州市と大分市の間を一般道と全線開通した際の東九州車とで比較した場合、約95分もの短縮となる。このように、南東に位置する大分市街方面からのアクセス時間が大幅に減ることにより、物流の効率化や、災害時にほかの高速道路が寸断された場合に使用できる道路として選択肢が増えることのメリットがある。この区間で想定される交通量は上下線合わせて2800台/日。2014年度に開通予定の椎田道路(運用中の有料道路)とをつなぐみやこ豊津ICまで区間が伸びた場合は8300台/日の利用を見込んでいる。

 普段は立ち止まることのできない高速道路上での取材であったため、道路や設備、工法などの話をうかがうことができた。「どこに一番気を使って工事を行うのか?」という質問に対し、「本線の盛土に使用するための土の選定や、水分を与えながらの踏み固めには最新の注意を払う」との解答が返ってきた。基本的に使用する土は盛土の際のなじみ方や、踏み固めのしやすさの観点から近隣のものを使うという。土地と盛土の相性が合わなければ、踏み固めていく際に水分含有量が狙った規定値内に収まらないケースもあるとのこと。建築資材にも常に新しい技術が採り入れられており、トンネル内壁を支える支保工(鉄骨)や、高機能舗装についても説明があった。最後に「『地図に残る仕事』が自分たちの喜びである」と付け加えてもらったことからも、プライドを持って安全作業に励んでいることが垣間見えた。

トンネルを掘り進めていく際の崩落防止の補強だが、シールドマシーンで掘り進めた直後にコンクリートを吹き付ける。さらに「支保工」という強度の高い鉄製の骨組みを通して完成となるが、骨組みの強度が向上したため、1本あたりの工材の薄板化や、強度の向上による使用本数の削減を実現しており、コスト削減にもつながっている。新名神高速道路にも同様の工材が使用されているとのこと
現在の高速道路に使用されているアスファルトの多くが2層になっており、表層は水分を通し、下の層は水分をせき止める構造となり、道路脇の溝に水分を流し出す。降雨時でもウォータースポットの発生を抑え、ハイドロプレーニング現象を抑制する狙いだ

【お詫びと訂正】記事初出時、みやこ豊津ICの開通予定時期に誤りがありました。正しくは2014年度になります。お詫びして訂正させていただきます。

(赤坂太一)