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尾道自動車道の吉舎IC~三次東JCT・IC間が3月30日開通

松江市~尾道市間の移動時間が15分短縮

三次東JCTから南の吉舎ICまでの区間が開通
2014年3月30日開通

広島県知事、三次市市長、地元選出の国会議員、国土交通省の担当者、地元の小学生など10人によってテープカットと同時に、県議会議長や近隣の各市長、地元の小学生11人などによるくす玉開披が行われた

 広島県の東側を南北に走る尾道自動車道の未開通区間の一部が3月30日15時に開通した。開通区間は広島県三次市四拾貫町の三次東(みよしひがし)JCT(ジャンクション)・IC(インターチェンジ)から、同吉舎町にある吉舎(きさ)ICの10.3km。この開通に先立って開通式典が開催された。

 吉舎ICからほど近い三次市立吉舎中学校の体育館が会場となり、広島県知事 湯崎秀彦氏をはじめ、三次市長 増田和俊氏や地元選出の国会議員、商工会議所の会頭などから祝辞が述べられた。

記念式典は吉舎中学校の体育館で行われた
「三次東JCTを中心としたさらなる発展を祈念します」と述べる広島県知事 湯崎秀彦氏
三次市長の増田和俊氏は「関係者のみなさまがたのご尽力にお礼を申し上げます」とコメント

 開通式典の終了後は、吉舎IC内に設けられた特設会場でテープカットとくす玉の開披、吉舎中学校 吹奏楽部による演奏、地元のトラック協会や消防団による開通記念パレードなどの祝賀行事が行われた。IC内での式典は国土交通省職員が記念ゲートを通過する車両を見送り、三次東ICまでパレード走行を行って終了した。

吉舎中学校の吹奏楽部による力強い演奏で祝賀行事がスタート
地元の小学生から施工業社25社に向けて感謝の言葉が贈られた
式典参加者による開通記念パレードの様子。パトロールカーに先導された58台の車両が参加。また、出発式として周辺地域の流通を担う輸送トラックや緊急用の災害対策車なども新しい道路を通過している
開通を間近に控えた吉舎IC内が祝賀行事の会場となった

山陰・山陽間の移動時間短縮を担う流通道路

 中国自動車道の三次東JCTを挟み、北に向かう松江自動車道はすでに全線開通して山陰自動車道まで通行が可能となっているが、今回の開通区間は反対の南側。山陽自動車道の尾道JCT方面に伸びていく路線だ。現状、県南部では尾道JCTから世羅ICまでが通行可能となっており、この日開通した吉舎ICから世羅ICまでの20.4kmは2014年度中の開通予定となっている。

今回の開通区間を含む周辺図

 この尾道道の全区間が結ばれると、日本海側の島根県松江市から瀬戸内海側の広島県尾道市までの所要時間が大幅に短縮される。この一連の整備による効果として、尾道道沿線に工業・産業団地の分譲が進んで新たな雇用が創出されており、現在でも企業の誘致が決定しているという。また、広島空港へのアクセスが向上することにより、三次エリアの電子機器工場に運搬される精密部品の輸送時間短縮も実現される。

 このほか、一般ユーザーにとっても山陰・山陽間の移動時間の大幅短縮が期待できることは大きな魅力だろう。2013年に全線開通している松江道の影響で、三次エリアの観光農園や近隣ワイナリーでは団体観光客の来園が増加しているとのこと。さらに尾道市を中心として周辺地域の観光アピールにも積極的に取り組んでいる様子が伺えた。松江~尾道から福山市間を繋ぐ高速バス路線も新設され、南北の移動をはじめ、四国・関西圏からの観光客が行き交う経路としてさらなる盛り上がりが期待されている。

吉舎IC入口。松江道の三刀屋木次ICからここまでの区間は無料
今回の開通区間の中継点にある三良坂(みらさか)IC出入口
三次東ICの出入口。東西に走る中国道のジャンクション地点ともなっている。ここを中心に東西南北への移動が便利になると、山陰・山陽の観光や企業誘致・雇用の創出がもっと盛んになるだろう

(赤坂太一)