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オムニビジョン、車載として初の裏面照射CMOS採用イメージセンサを発表

輝度差の激しいシーンでもHDR動画により画像認識力を向上

裏面照射CMOS採用車載イメージセンサシステム「OV10640」と「OV490」によるデモ機(中央)
2014年5月12日発表

 オムニビジョン・テクノロジーズ・ジャパンは5月12日、車載用途として業界初となる裏面照射CMOSを使った車載用イメージセンサを発表した。

 裏面照射CMOSを採用したことによりダイナミックレンジを拡大、独自のHDR技術によって輝度差の激しい太陽の逆光や夜間の対向車のライトなどがあっても自然な画像生成が可能で、周囲の車両の検出や白線検知などがより正確に行える。先進ドライバー・アシスタンス・システム(ADAS)市場向けの製品で、2014年6月にサンプル出荷を開始し、2014年第4四半期には量産を開始する見込み。

テスト車両によるデモの映像。太陽による逆光でも路面がしっかりと確認できる
駐車場に入ったところ。屋外の光りに引っ張られずしっかりと屋内の様子が見える
暗い屋内から屋外を見たケース。通常なら屋外の光で手前の車両などは見えないがしっかりと確認できる
逆光だが歩行者が歩いているのを確認できる
夜間走行の様子。信号の色や路面の白線も確認できるほか、他車のライトも明るすぎず車両をしっかり認識できる
会場で行われたデモの様子。これは表面照射型CMOSを使った従来製品のもの。HDR非対応のため左端のライトの光が完全につぶれている
表面照射型CMOSを使ったHDRカメラ。ライト部分のディティールはかなり健闘はしている
今回の製品による映像。ライトのディティールは一番よく確認できるのが分かる。色彩のコントラストも高い

 製品はセンサ部の「OV10640」と画像処理プロセッサ「OV490」で構成。「OV10640」は出力画素数1.3Mピクセル、フレームレートは60fps、ダイナミックレンジは120dBとなり、表面照射型CMOSを採用した同社従来製品より性能を向上させている。用途としては、リアモニタなどのビューカメラ、衝突防止や追随走行などセンシング用カメラなどをターゲットとしている。また「OV490」はビューカメラ用の出力とセンシング用の出力を同時出力可能で、1台のリアカメラを2つの用途で使うこともできる。「OV490」には2基までの「OV10640」を接続可能で、ステレオカメラ対応や、「OV10640」×4、「OV490」×2などの構成にすることでアラウンドビューモニタなどにも利用できる。

 静止画によるHDR画像の作成では、通常、露出の異なる2枚の写真を撮影し、合成することで白飛びなどの破綻が発生しない画像を作り出すが、同様の方法で動画を撮影しようとすると複数のフレームを撮影した分だけ遅延が発生するため難しい。今回の製品では、撮影時に輝度差の異なるフレームを同時に生成して画像を合成することで時間的なずれを解消しているという。ソニーの積層型裏面センサなどに近いイメージだが、仕組みは異なるとし明言は避けた。

オムニビジョン・テクノロジーズ・ジャパン代表 薄井明英氏

 会場でプレゼンテーションを行ったオムニビジョン・テクノロジーズ・ジャパン代表の薄井明英氏は「車載イメージセンサの市場は世界中でニーズが高く、しかも1台の車両に複数の製品が使われる」とコメント。車載イメージセンサ市場として2014年には5500万台、2020年には約3倍の1億17000万台規模に成長するとし、「ADASにとって重要な要素であり今後より大きな市場になっていく。市場に合わせてさまざまな用途に使えるカメラを意識して製品展開をしていきたい」などと説明した。

同社のイメージセンサ技術
車載イメージセンサ市場
ADASに使用されるイメージセンサ

(清宮信志)