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日産、国内量産EVで初めて7人乗りを設定する新型EV「e-NV200」

リーフの“e-パワートレイン”を継承してJC08モード一充電走行距離は最長190km

e-NV200 ワゴン G
2014年10月発売

バン:388万440円~407万8080円

ワゴン:462万4560円~478万6560円

 日産自動車は、量産EV(電気自動車)の第2弾「e-NV200(イー・エヌブイ・ニーマルマル)」を10月に発売する。価格はバンタイプが388万440円~407万8080円、ワゴンタイプが462万4560円~478万6560円。同社としては初の商用EVで、スペインのバルセロナ工場で生産されて日本に輸入される。

モデルグレード乗車定員原動機駆動方式価格
バンVXルートバンEM572WD(FF)3,880,440円
2人3,880,440円
5人3,991,680円
GXルートバン3,978,720円
2人3,978,720円
5人4,078,080円
ワゴンG5人4,624,560円
7人4,786,560円
e-NV200 バン GX

 e-NV200は同社の小型商用車「NV200バネット」をベースに、パワートレーンにリーフで採用している「e-パワートレーン」をキャリーオーバー。「EM57」モーターやリチウムイオン式のバッテリーモジュール、フロントサスペンションなどをリーフから受け継いでEVに生まれ変わっている。

 このため、外観デザインは基本的にNV200バネットを踏襲したものになっているが、フロントマスクでは外気を取り入れるフロントグリルを充電ポートに入れ替え、ヘッドライトにはブルーのL字型シグネチャーポジションランプを採用した切れ長で大型のデザインに変更。バンパー形状も異なっている。このほか、ホイールデザインを一新し、リアコンビランプは高輝度LED化したうえ、インナーレンズをブルー、アウターレンズをクリアにしてクリーンなイメージを強調。全体でリーフとの共通イメージを感じるデザインとしている。

 また、ボディーサイズでは全高はNV200バネットから変わらずバンが1855mm、ワゴンが1850mmだが、バンパー形状の変更などによって全長は160mm伸びて4560mmになっているほか、全幅はフロントサスペンションをe-パワートレーンごとリーフから受け継いでいることに加え、EV化によって重量が増えて車両総重量が約2.2t(車両重量自体は1510kg~1660kg)まで増加したことを受け、リアサスペンションのトレッド幅を20mm延長して耐荷重性能を向上。タイヤもNV200バネットのフロント:165 R14-6PRLT、リア:165 R14-8PRLTから前後185/65 R15 92H XLにサイズアップしており、NV200バネットの4/5ナンバーサイズから3ナンバー枠となる1755mmまで全幅が拡大している。

 このほかに外装関連では、ボディーカラーはバンのVXグレードでは「ホワイト」1種類になるが、バンのGXとワゴンのGでは新色となる「リキッドブルー」を設定。バンのGXではホワイトと「プラチナシルバー」、ワゴンのGではホワイトが「ブリリアントホワイトパール」に変更され、さらに「ブラックM」とプラチナシルバーの4色が設定される。

新色の「リキッドブルー」
「ブリリアントホワイトパール」
「プラチナシルバー」
「ブラックM」
「ホワイト」

JC08モードでの一充電走行距離は185km~190km

 前出のようにリーフからe-パワートレーンを受け継いでおり、ドライビングモードも基本となる「D」と航続距離を重視した「ECO」の2種類と、ブレーキング時の回生発電を変化させる「Normal」「B」を組み合わせる4パターンが用意されている。しかし、車両重量がリーフから100kgほど増えており、さらにe-NV200は荷物を載せて重くなるシチュエーションが増えることも予想されることから、発進加速を維持するため減速比が8.194から9.301に変更され、最高速も144km/hから120km/h以上になっている。

 この変更による電力消費量の増加を補うため、e-NV200では自然な制動フィーリングと高い電力回収量を両立する「新世代 新規回生協調ブレーキ」を採用。これまで以上に高い減速Gまで回生領域として使えるようになり、シミュレーションではJC08モードで3%、実走行パターンで14%の改善効果が出るという。また、走行用のバッテリーで残量警告灯が点灯したあとは最高速を100km/hに制限して電力消費を抑制する「エナジーセーブモード」も備えており、JC08モードでの一充電走行距離は2人乗り車両で190km、5人乗り車両で188km、7人乗り車両で185kmとなっている。

 また、商用車がベースのe-NV200は多彩なビジネスシーンに対応できるよう、車両のパワーON/OFFを問わずに利用できる「パワープラグシステム」を設定。100V(最大1500W)コンセントをインパネ下側と助手席シート背面の2個所に備え、バッテリー残量計の12目盛りのうち、最大で残り2目盛りまで外部出力に使えるほか、自動停止する位置を任意の目盛りに設定可能。さらにニチコンが製造している「EVパワーステーション」にも対応し、リーフと同じように家庭用のバックアップ電源としても利用できる。

 内装は基本的にNV200バネットのデザインコンセプトをベースとして、メーターパネル、シフトセレクター、センターコンソールなどが専用品となっている。ブルー照明のメーターはリーフの表示内容を元に、2段式のツインデジタルメーターから車速などを大きく表示するデジタルシングルメーターに変更。シート表皮はバンがトリコット、ワゴンが新開発のスエード調トリコットを採用している。

e-NV200 ワゴン Gのインパネ。センターコンソールにリーフと同じ「EV専用カーウイングスナビゲーションシステム」を装備
e-NV200 バン GXのインパネ。全車標準装備となる「クイックコンフォートヒーター付きシート」の操作スイッチをシフトセレクター下側に配置する
e-NV200 バン GXのキャビン。車両重量の増加を受けてリア側の足まわりも強化されているが、ラゲッジ容量を減らして使い勝手を下げないよう、トレッドの拡大とブッシュ特性の専用チューニングで対応している
グレードVX ルートバンGX 5人乗りG 7人乗り
定員[名]257
全長×全幅×全高[mm]4560×1755×18554560×1755×1850
ホイールベース[mm]2725
前後トレッド[mm]1530/1530
最低地上高[mm]150
室内長×室内幅×室内高[mm]1900×1500×13201900×1500×1305
駆動用バッテリーリチウムイオン電池
バッテリー総電圧[V]360
バッテリー総電力量[kWh]24.0
原動機型式EM57
最高出力80kW(109PS)/3008-10000rpm
最大トルク254Nm(25.9kgm)/0-3008rpm
最終減速比9.301
交流電力量消費率(JC08モード)[Wh/km]142
一充電走行距離(JC08モード)[km]190188185
ステアリング形式ラック&ピニオン
前/後サスペンション独立懸架ストラット式/リーフリジッド式
主ブレーキ形式ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤ185/65 R15 92H XL

(編集部:佐久間 秀)