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【SUPER GT最終戦もてぎ】GT500はMOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が逆転でチャンピオン獲得

GT300はグッドスマイル初音ミクZ4(谷口信輝/片岡龍也)が2011年以来のチャンピオンに

2014年11月16日決勝開催

最終戦もてぎの決勝レースで優勝し、GT500のシリーズチャンピオンを獲得した23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

 日本最高峰のレースシリーズ「SUPER GT」の最終戦が、栃木県茂木町のツインリンクもてぎにおいて11月15日~16日にわたって開催された。最終日となる11月16日には決勝レースが行われ、GT500、GT300とも最終戦までもつれ込んだチャンピオン争いに決着がついた。GT500は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、GT300は4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)がそれぞれチャンピオンを獲得した。

 レースはGT500は23号車 MOTUL AUTECH GT-R、GT300は11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム)がそれぞれポールツーウインを達成した。

予選から激しい争いが展開されたGT500、GT300の両クラス

 今回のレースは、GT500は上位5台(36号車 PETRONAS TOM'S RC F、37号車 KeePer TOM'S RC F、23号車 MOTUL AUTECH GT-R、12号車 カルソニックIMPUL GT-R、18号車 ウィダーモデューロ NSX CONCEPT-GT)に、GT300クラスは上位3台(4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4、11号車 GAINER DIXCEL SLS、7号車 Studie BMW Z4)にチャンピオンの可能性が残されていた。レースの結果如何によっては大逆転もあり得るとあって、レース前から予想は困難という状況になっていた。ただ、いずれのクラスもポイントリーダーが有利であるのはいうまでもなく、GT500のポイントリーダーは2位以上なら、GT300のポイントリーダーは3位以上で他車の結果に関係なく自力でタイトルが決められるという状況だ。

 こうした中で、追い抜き可能な場所があまりなく、“追い抜きが難しいサーキット”という定評があるツインリンクもてぎでの開催だけに、レースの結果は予選の結果がある程度反映されると考えられていた。そのため各チームとも予選で上位を目指すべく激しい予選が展開された。その予選を優位に進めたのが、ニッサン陣営、そしてミシュランタイヤ陣営だ。

 ノックアウト方式で行われる予選では、トラブルが発生した24号車D'station ADVAN GT-R(ミハエル・クルム/佐々木大樹)以外のニッサン GT-R陣営はすべてQ2へ進み、かつミシュラン勢の2台、23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)と46号車 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝)が1-2を独占した。なお、3位にはホンダ勢の18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也)が入り、ミシュランは1-2-3グリッドを独占することとなった。

 ブリヂストン勢の最上位はポイントリーダーの36号車 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)の4位で、ポイントランキング2位の37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)Q1でコースアウトしてタイムを更新することができず、13位に終わる波乱があった。これにより、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fは、決勝で最低でも2台を抜いて2位に入らなければ、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに逆転でチャンピオンを奪われるという状況になった。

 GT300に関しては、レース前の前評判どおり、昨年のこのレースのウィナーでもある11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)が完璧なラップでなかったのにもかかわらずポールポジションを獲得した。11号車は予選終盤には早々とタイムアタックを諦めてピットに入ったが結局最後まで同車を脅かす車両は現れないほど、ダンロップタイヤとSLSの組み合わせの優位性は際立っていた。2位は終盤にタイムアップした31号車 OGT Panasonic PRIUS(新田守男/嵯峨宏紀)、3位はポイントリーダーの4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)で、4号車にとっては決勝レースを3位以上で終えれば自力でタイトルが決定するので、このままの順位でゴールできれば、2011年以来3年ぶりのGT300王者奪還ということになる。

ポールツーウインで大逆転を実現した23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが2008年以来の王者に

 レースは13時に栃木県警のパトカーの先導によるパレードラップから開始された。今回のパレードは、交通安全を観客に対してアピールする目的で行われ、通常はセーフティカーで2周のフォーメーションラップが行われるのだが、このパレードラップ1周、フォーメーションラップ1周というシーケンスで行われた。

 スタートではとくに波乱もなく予選順位と同じ順位のまま2コーナーまで進んだが、3コーナーで32号車 Epson NSX CONCEPT-GTがコースアウトして大きく順位を落とした。さらに波乱は続き、チャンピオンを争っている36号車 PETRONAS TOM'S RC Fと12号車 カルソニックIMPUL GT-Rが130Rで接触し、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rがスピンして14位に後退することになった。これに対して36号車 PETRONAS TOM'S RC Fはフロントの空力パーツにダメージを負ったもののそのまま走り続けることができたものの、タイムが上がらず4位以下が36号車 PETRONAS TOM'S RC Fに引っかかってトップからどんどん遅れていくいく展開になった。なお、この接触に対しては12号車に対してドライブスルーペナルティが出され、12号車はチャンピオン争いから脱落することになった。

レースのスタートは割と静かに展開したが、この1、2コーナーのあと130Rでチャンピオン争いを左右するアクシデントが発生した

 序盤の十数周を終わった段階で、36号車 PETRONAS TOM'S RC Fはタイムが上がらずトップからどんどん遅れていくのに対して、トップの23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが4位以下を20秒以上を引き離す展開となった。これに対して、ランキング2位の37号車 KeePer TOM'S RC Fが予選13位から猛然と追い上げ、13周目にタイムの上がらない36号車 PETRONAS TOM'S RC Fを1コーナーでパスして、4位に上がり追い上げを開始した。

 レースが動き出したのはレースの1/3が終了した時点で始まったピットストップ。いち早くピットに入ったのは4位に上がっていた37号車 KeePer TOM'S RC F、続いて5位 36号車 PETRONAS TOM'S RC F、3位 18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTの順にピットインしたが、18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはピットアウト時にエンジンストール。これにより20秒近く余計に時間かかり、順位を下げることになった。さらに、2位を走っていた46号車 S Road MOLA GT-Rが黄旗追い越しのペナルティを取られて、10秒間のペナルティストップを強いられることになり、こちらも大きく順位を下げた。

 その後レースの中盤の30周目に23号車 MOTUL AUTECH GT-R、その後19号車 WedsSport ADVAN RC Fがピットに入ると順位はほぼ確定し、トップは23号車 MOTUL AUTECH GT-R、2位39号車 WedsSport ADVAN RC F、3位37号車 KeePer TOM'S RC F、4位24号車 D'station ADVAN GT-R、5位18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT、6位36号車 PETRONAS TOM'S RC Fの順で落ち着くことになった。19号車 WedsSport ADVAN RC Fはピットイン時のタイヤ無交換作戦で順位を上げることになった。

 37周目に、3位37号車 KeePer TOM'S RC Fが、2位39号車 WedsSport ADVAN RC Fをオーバーテイクし2位に上がる。しかし、それでもチャンピオンの権利は2点差で23号車 MOTUL AUTECH GT-Rにあり、37号車がチャンピオンを手に入れるには23号車をコース上で抜くしかない展開。その後39号車 WedsSport ADVAN RC Fは18号車 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT、D'station ADVAN GT-Rに抜かれずるずると順位を落としていった。

 結局レースはスタートから盤石の体制で23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが走りきり、チームとしては2008年以来、ロニー・クインタレッリにとっては2011年、2012年に次ぐ3度目、松田次生にとっては初めてのSUPER GT GT500のチャンピオンを獲得した。

SUPER GT最終戦もてぎのゴールシーン。ニスモチームとして2008年以来、ロニー・クインタレッリ選手にとっては2012年以来3度目、松田次生選手は初めてのSUPER GR戴冠となった
優勝した23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
決勝レースで2位になり、シリーズでも2位を獲得した37号車 KeePer TOM'S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)。予選13位から追い上げての2位だった

SUPER GT最終戦もてぎ GT500レース順位表

順位カーナンバードライバー車両
1位23松田 次生/ロニー・クインタレッリMOTUL AUTECH GT-R
2位37伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリKeePer TOM'S RC F
3位18山本 尚貴/伊沢 拓也ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT
4位24ミハエル・クルム/佐々木 大樹D'station ADVAN GT-R
5位46本山 哲/柳田 真孝S Road MOLA GT-R

GT300は同点のためグッドスマイル 初音ミク Z4が2011年以来2度目の戴冠

GT300のスタートシーン、11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)はポールショットを決め、そのまま逃げ切った

 GT300クラスも特に波乱なくスタートしたが、続く2コーナー、3コーナーで3位からスタートした4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4が31号車 OGT Panasonic PRIUSをオーバテイクして2位に上がった。その後レースは淡々と展開していたが、チャンピオンに向けて盤石だと思われていた4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4が徐々に後退する展開。レースはスタートから最後まで11号車 GAINER DIXCEL SLSがトップを独走。ピットイン時も含めて1度も2位以下に近寄られることなく、まさに独走。結局ポールツーウインでそのまま優勝を遂げた。

GT300のゴールシーン
3位 グッドスマイル 初音ミク Z4を4位 21号車Audi R8 LMS ultraが激しく追い上げて、最後は1秒以内の差でゴール。抜かれていたらチャンピオンを失ってしまうところだった
11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)は決勝レース中1度も1位を譲らないパーフェクトウイン

 今回のレースではダンロップタイヤと11号車 GAINER DIXCEL SLSの組み合わせは最強だと考えられていたので、レースの焦点は2位以下の順位と、それと連動して決まるチャンピオン争いが焦点になった。全車のピットストップが終了すると、トップは変わらず11号車のままだが、2位31号車 OGT Panasonic PRIUS、3位4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4、4位21号車Audi R8 LMS ultra(リチャード・ライアン/藤井誠暢)という順位に。このままの順位であれば、4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4がチャンピオンになるが、残り10周となった段階で、21号車Audi R8 LMS ultraが1秒差で追い上げてきて、毎ラップ順位が入れ替わりそうな緊張の展開に。最終ラップでは0.5秒差まで迫るものの、結局抜かれることはなく、4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4が逃げ切って、3位の座を確実にした。

 4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4は、11号車 GAINER DIXCEL SLSと同点ながら優勝回数の多さでチャンピオンを獲得することになった。チームと谷口信輝にとっては2011年以来2度目の、片岡龍也にとっては2009年以来2度目のGT300王者の獲得となった。

最終戦の決勝レースで3位に入り、シリーズチャンピオンを獲得した4号車 グッドスマイル 初音ミク Z4(谷口信輝/片岡龍也)

SUPER GT最終戦もてぎ GT300レース順位表

順位カーナンバードライバー車両
1位11平中克幸/ビヨン・ビルドハイムGAINER DIXCEL SLS
2位31新田守男/嵯峨宏紀OGT Panasonic PRIUS
3位4谷口信輝/片岡龍也グッドスマイル 初音ミク Z4
4位21リチャード・ライアン/藤井 誠暢Audi R8 LMS ultra
5位10植田正幸/山内英輝GAINER Rn-SPORTS SLS

SUPER GT GT500クラス年間最終順位表

順位カーナンバードライバー車両タイヤポイント
1位23松田 次生/ロニー・クインタレッリMOTUL AUTECH GT-Rミシュラン81
2位37伊藤 大輔/アンドレア・カルダレッリKeePer TOM'S RC Fブリヂストン79
3位36ジェームス・ロシターPETRONAS TOM'S RC Fブリジストン68
4位18山本尚貴ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTミシュラン64
5位36中嶋一貴PETRONAS TOM'S RC Fブリヂストン60

SUPER GT GT300クラス年間最終順位表

順位カーナンバードライバー車両タイヤポイント
1位4谷口 信輝/片岡 龍也グッドスマイル 初音ミク Z4ヨコハマ78
2位11平中 克幸/ビヨン・ビルドハイムGAINER DIXCEL SLSダンロップ78
3位7ヨルグ・ミューラー/荒聖治Studie BMW Z4ヨコハマ62
4位3星野 一樹/ルーカス・オルドネスB-MAX NDDP GT-Rヨコハマ48
5位61佐々木 孝太/井口 卓人SUBARU BRZ R&D SPORTミシュラン44

(笠原一輝/Photo:奥川浩彦)