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トヨタとヤンマー、マリン事業で業務提携

共同開発の「トヨタハイブリッドハル」を採用した試験艇「TOYOTA-28 CONCEPT」が完成

2016年3月1日発表

共同開発の「トヨタハイブリッドハル」を採用した試験艇「TOYOTA-28 CONCEPT」

 トヨタ自動車とヤンマーは3月1日、マリン事業分野において技術開発、生産、部品の相互利用などの幅広い分野で協業を進めることに合意したと発表した。

 トヨタは現在、アルミ製の船体(ハル)と自動車エンジンを採用したプレジャーボートを製造・販売。ヤンマーは産業用ディーゼルエンジンを事業の柱とした総合産業機器メーカーとして、そのノウハウを生かした船舶用エンジン、FRP製ハルのフィッシングボートや業務用船舶を製造している。

 トヨタのアルミ製ハルは剛性感に優れる一方、熟練した加工技術が必要で、生産量に限りがあるなどの課題があったという。そのため、2年前からアルミ製ハルと同等以上の剛性を有するとともに、生産性の高いFRP・カーボン・アルミの複合素材による次世代ハルの開発を進めてきた。その過程で、ヤンマーの有する高度なFRP成型技術に着目し、2015年から次世代ハルの生産技術開発を共同で実施。その結果、アルミハルと同等の剛性に加え、軽量かつ複雑な曲面形状にも対応できる「トヨタハイブリッドハル」の量産化技術に目途を付けた。

 同時に、このハルを採用した試験艇「TOYOTA-28 CONCEPT」を完成させ、従来の同型艇を凌ぐ走破性、旋回性能を実現した。トヨタとしては、同試験艇の商品化も並行して進めており、ヤンマーにトヨタハイブリットハルに加えて舟艇の製造も委託する予定で、10月の発売開始に向けて具体的な準備を進めているという。

 トヨタは今後、トヨタハイブリッドハルをベースに、自社のプレジャーボートのラインアップを強化するとともに、舟艇の供給能力増強を目指し、ヤンマーとの協業をさらに進める方針。また、両社は今回の技術開発、生産分野での協業を契機に、エンジンを含めた主要部品の相互供給や、トヨタはプレジャー系、ヤンマーはフィッシング系という互いの得意分野を生かした商品開発、販売、アフターサービス分野における協業も検討するとしている。

 なお、トヨタハイブリッドハルを採用した「TOYOTA-28 CONCEPT」は、3月3日からパシフィコ横浜で開催される「ジャパンインターナショナルボートショー2016」のトヨタブースに出展される予定。

トヨタハイブリッドハルを採用した試験艇「TOYOTA-28 CONCEPT」。トヨタハイブリッドハルでは、ボート船体(ハル)において「素材」「構造」「形状」といった3つの観点で大幅な見直しを実施。FRPとアルミが持つそれぞれの特長を生かすとともに、新素材のカーボンを加えることでFRPハルと比べ約7倍の高剛性を実現。アルミハルとの比較で船体重量も約10%低減した。複雑な曲面形状の成型が可能で、走航性能の向上と生産性向上の両立を実現したという

(編集部:小林 隆)