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独フォルクスワーゲン、ディーゼル不正問題で計162億ユーロの特別損失計上

ミュラーCEO「2016年は我々にとって過渡期の年となり、改革を加速する年となる」

2016年4月28日(現地時間) 発表

 独フォルクスワーゲン グループは4月28日(現地時間)、2015年の年次決算会見を開催。一連のディーゼルエンジンに関わる不正問題により計162億ユーロ(約2兆円)の特別損失を計上することを明らかにした。

 同社が公開した決算報告によると、2015年におけるフォルクスワーゲン グループ全体の販売台数は、前年比2.0%減となる990万台。売上高は2133億ユーロ(前年:2025億ユーロ)で前年度比5.4%増。営業利益は2014年度の数値とほぼ同じレベルの128億ユーロ(同:127億ユーロ)となり、特別損失を除いた営業利益率は6.0%。

 しかし、一連のディーゼル不正問題により計162億ユーロの特別損失を計上。この数字には、関連するディーゼルエンジンに対する技術的対策および買い戻しに関わる78億ユーロの引当金、世界各国での訴訟リスクに備えた70億ユーロの引当金などが含まれる。

 さらに、ディーゼル案件以外として、トラック事業および南米の乗用車事業を再編するための特別損失を2億ユーロずつ計上。米国およびカナダ当局が、欠陥の疑いのあるエアバッグを交換するよう全ての自動車メーカーに命じたことから、その費用として3億ユーロの引当金を計上。これにより、2015年は特別損失として計169億ユーロを計上した。

 結果として営業利益は大きく影響を受けて-41億ユーロ、営業利益率も-1.9%(前年:6.3%)に減少した。

 2016年の見通しについては、売上高は最大で前年比-5%程度、営業利益率は5.0~6.0%の間になると予想した。経済状況(特に南米およびロシア)、為替レートの変動、排出ガス案件を考慮する一方で、全ブランドによって実行されている効率化プログラムやモジューラーツールキットによるプラスの効果も考慮した。

 同社CEOのマティアス・ミュラー氏は、ディーゼルエンジンに不正なソフトウェアを搭載したことに関して「最後の1台に至るまできちんと対応することが、もっとも重要な任務だと考えています」と述べるとともに「本当に申し訳ないと思っています。これまでフォルクスワーゲンに信頼を寄せてきた多くの人々を落胆させてしまったことを、なにより残念に思います。我々は責任から逃れることはありません。また、信頼を回復するために、出来るだけのことを行っていきたいと考えています」と謝罪の言葉を述べた。

 一方で、ミュラー氏は「2016年は我々にとって過渡期の年となり、改革を加速する年となる」と語り、デジタル化やモビリティサービスといった今後重要度が増していく分野では、これまで以上に他の企業との連携や株式投資を視野に入れるとともに、「e モビリティはフォルクスワーゲンの代名詞の1つになる」として、2020年までにグループ全体で計20以上のニューモデルを追加していく考えを示した。

(編集部:椿山和雄)