「ブリヂストンTODAY」で航空機用タイヤの特別展示開催中 世界最大の旅客機用タイヤなどを展示 |
ブリヂストンの運営するゴムとタイヤの博物館「ブリヂストンTODAY」は、東京都小平市にあるブリヂストン東京工場/技術センター内に設けられ、常設展示としてブリヂストンの歴史が展示されているほか、ブリヂストンの製造するさまざまなタイヤや、タイヤの構造・製造工程を知ることができるようになっている。
そのブリヂストンTODAYでは、7月下旬まで航空機用タイヤの特別展示を行っており、その模様を取材した。
ブリヂストンTODAYは、西武国分寺線と西武拝島線の乗換駅である小川駅から歩いて5分ほどのところにある。駐車場も用意されており、青梅街道と府中街道の交差点に近いことから車で訪れる際にも便利だ。
館内を案内していただいた副館長伊東功氏。伊東氏の横にあるのがボーイング777用のタイヤ |
展示は、1階、2階、地下1階の3フロアで行われ、航空機用タイヤの特別展示を行っていることから、訪れた際には天井からボーイング777の一部を模したバルーンが吊り下げられていた。館内を案内してくれた副館長の伊東氏によると、ブリヂストンTODAYは、2001年の3月1日にオープンしブリヂストンの70周年記念事業の一環として設立されたのだと言う。地元の小学生の社会科見学に利用されることも多く、ここ数年は、年間1万2000人~1万3000人ほどが訪れるとのこと。
今回航空機用タイヤの特別展示を行ったのは「航空機用タイヤを製造するメーカーは数社存在しますが、大型民間旅客機用タイヤを製造するメーカーは、世界中でブリヂストンとミシュランの2社のみ。普段は近くで目にすることのない航空機用タイヤを知ってもらいたい」ということもあって企画された。
展示されているタイヤは、JALのボーイング777で使われている実物。ボーイング777は、世界中で使われている中型旅客機で、主脚(後方の脚)1脚あたり6輪のタイヤが使われているのが、どれも同じように見える旅客機の中でも分かりやすい識別点となっている。
実際の展示もその主脚を模したもので、主脚の片側3輪が直列に展示されていた。サイズは50×20.0 R22で、タイヤ外径50インチ、タイヤ幅20.0インチ、ホイールサイズが22インチという巨大なもの。そのほか、世界最大の旅客機であるエアバスA380のタイヤも単体展示されており、こちらは52×21.0 R22というさらに巨大なものだった。また、軍用航空機タイヤが展示されており、伊東副館長によると有志の方に協力展示してもらったタイヤだと言う。おそらく第2次世界大戦で使われた零戦のタイヤではないかということだったが、詳しいことは分からないとのこと。
タイヤの構造展示の個所でも航空機用タイヤを展示。航空機用タイヤはすり減ったらトレッド面を張り替えて再使用するリトレッド技術によって再使用されており、およそ350回のフライトでリトレッドされると言う。トラックやバス用タイヤでもリトレッドは行われており、一般的にトラックやバス用タイヤでは1回のリトレッドが行われるのみだが、航空機用タイヤでは内部構造の強化により3回ほどリトレッドされている。このリトレッドを行うことで、すり減ったタイヤをすぐに破棄することなく再使用でき、環境負荷を減らし、コストの低減にもつながっている。
航空機用タイヤ以外の常設展示については、その一部を以下に写真で紹介する。航空機用タイヤを間近に見られる機会はめったにないので、ブリヂストンTODAYに足を運び、その大きさや特殊な構造を実際に確認してみてほしい。なお、営業時間や休館日などについては、ブリヂストンTODAYのWebサイトを参照のこと。
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(編集部:谷川 潔)
2009年 6月 11日