フォルクスワーゲン、3年間メンテ&部品代無料のキャンペーン
「エコカー購入支援策は輸入車にアンフェア」

VGJのドリザス社長

2009年7月1日~8月31日



 フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VGJ)は、購入促進プラン「ハートフル キャンペーン」を、7月1日~8月31日の期間限定で開催する。

ハートフル キャンペーンの概要

3年間のメンテナンス費用を無料に
 キャンペーン期間内に新車を成約・登録すると、「ハートフル パッケージ」と呼ばれるメンテナンスパックが無償で付帯するほか、ディーラーごとの独自特典「ディーラー グリーンサポート」が付く。

 ハートフル パッケージの内容は、「ServicePLUS」として有償提供されているもので、登録から3年間(初回車検前まで)のメーカー指定点検、法定点検と工賃、部品代が無料になる。部品代にはワイパーラバー、エンジンオイル、オイルフィルター、エアフィルター、ウオッシャー液、ライトバルブ、ブレーキフルードなどの消耗品が含まれる。

 ServicePLUSはこれまでパサートCC、トゥアレグには標準で付帯されていたが、キャンペーンではフォルクスワーゲンの全車に付帯する。試算では、車種や走行距離によるものの、最大約16万円のメンテナンス費用が無料になるが、同社としては金額よりも、購入後3年間はメンテナンス費用が不要という安心感をアピールする。

 ディーラー グリーンサポートは、正規ディーラーがそれぞれ独自に設定する特典。内容はディーラーごとにことなるが、下取り支援やアクセサリー、有償延長保証の無償提供などが企画されている。

 これに加え、経済産業省の新車購入補助制度(エコカー補助金)の対象となるモデルは、車齢13年超車からの買い換えは25万円、買い換えが伴わない場合は10万円の補助を受けられる。VGJではゴルフ、ジェッタ、シロッコ、イオス、パサートヴァリアント、トゥアレグのうち15モデルが対象となる。

エコカー減税対抗策は値引きではなく、「安心の提供」で
 VGJは6月30日、報道関係者にハートフル キャンペーンについての説明会を開催した。

 同社のジェリー・ドリザス社長によれば、「6月は国産車の販売がやや上向いたが、これは政府の補助によるハイブリッド車人気に支えられたもので、輸入車市場は1988年以来の低水準になる」と、輸入車では経済危機の影響が依然として深刻であることをあげ、「VGJはその中でも健闘してシェアを拡大しているが、さらに施策が必要と判断した」と、キャンペーン導入の理由を述べた。

依然として厳しい輸入車市場で、VWは健闘しているが……エコカー減税は輸入車に不利なので、値引き合戦に

 その背景には「輸入車に不利で、個人的にはアンフェアと感じる」(ドリザス社長)という政府のエコカー購入支援策がある。日本と異なる基準で作られている輸入車は、日本の排出ガス認定「4つ星」(2005年基準75%低減)の条件をクリアできず、結果的に輸入車は1台も該当していない。このためユーザーには「輸入車はクリーンでなく、燃費が悪い」というマイナスイメージを持たれてしまう。フォルクスワーゲンも、TSIエンジン、DSGトランスミッションといった技術で燃費を改善し、ライフサイクルでの環境性能も追求しているが、日本ではエコカー減税の対象とならない。

 各インポーターはこうしたエコカー減税に、値引きで対応しているが、VGJは「値引きはお客様の車の価値(下取り価格)とブランド価値を下げてしまう」と考える。

 「価値を損ねるような企画でなく、VWブランドを大事にしてくれるお客様に何が一番よろこばれるかを考えた」結果が、メンテナンスパッケージだった。これには「輸入車はメンテナンス費用が高い」というイメージを払拭し、ユーザー層を広げる狙いもある。

 同社の神戸誠 営業本部長は「たくさんの方にフォルクスワーゲンを知ってもらい、乗っていただくことがエコへの取り組み」と、エココンシャスな同社の姿勢とキャンペーンを紐づける。キャンペーンを機に、フォルクスワーゲン車の環境性能もアピールするため、「給油口に小さなガソリンノズルを差し込んでいる」という広告イメージで、燃費のよさを訴える。

 なお5月のシロッコの発表会で述べた4つ星取得について、ドリザス社長は「フォルクスワーゲン車は4つ星をクリアできる排ガス性能を持っているが、これを確実にし、低排ガス車の認定を受けるための準備や手続きが必要。年末までには可能になるのではないか。これについてはゴルフ以外の可能なモデルでも検討したい。ハートフル キャンペーンはこれが実現するまでの1つのブリッジとして考えている」とした。

神戸誠 営業本部長値引きに走らず、VWの価値を高める購入支援策を実施するVW車が備える魅力に、メンテナンスの安心を加える
キャンペーンの広告低金利も継続する新車購入補助の対象は15モデル

(編集部:田中真一郎)
2009年 6月 30日