2009年のF1テレビ観戦をインターネットを使って3倍楽しむ方法


筆者宅でフジテレビNEXTのF1中継を生放送で楽しんでいるところ。別記事でも触れたライブタイミングと一緒に楽しむと、より深くF1を楽しめる

 2009年のF1世界選手権も、開幕からトルコGPぐらいまでは、ブロウンGPのジェンソン・バトン選手の7戦6勝という結果になり、正直言って“今年はバトンで決まりか?”と思わざるを得ない状況だったが、その後のイギリスGPからは状況が一変し、レッドブルの2人が巻き返しに出てきて、イギリスGP/ドイツGPでバトンが下位に沈んだことで、ドライバー/コンストラクターズの両選手権とも行方がまったく読めない状況になってきている。まさにシナリオがないドラマ、一寸先は闇、こうした状況こそがモータースポーツの醍醐味だと筆者は考えている。

 さて、そうしたF1を全戦見たい!と思っても、そのためにはF1サーカスの面々と一緒に世界中のサーキットを転戦する必要が出てくるのでかなり難しい。もし読者がアラブの大富豪なのであれば、この記事を読む必要はないので、旅行代理店に電話して担当者を呼び出して今すぐチケットを予約してほしい。もちろん、そんな人はごく少数だろうから、そういう人は筆者と同じように、毎戦テレビの前で観戦ということになるだろう。

 以前であれば、フジテレビ(および一部系列局)が日曜日の深夜に放送している録画中継を黙って見るしかなかったのだが、今ではCS放送やCATVの有料チャネルであるフジテレビNEXTの視聴契約をすることで、フリー走行、予選、決勝の模様をライブで視聴することができる。しかも、今年からは金曜日に行われているフリー走行も視聴することができるので、テレビを通してではあるが現地で観戦するのと近い感覚でF1を楽しむことが可能になってきている。

 さらに、今ではインターネットという強力な武器まである。このインターネットを上手く活用することで、テレビを見るだけでは分からない情報を得て、F1を3倍楽しむことが可能になるのだ。本記事ではそうした、インターネットを利用したF1の楽しみ方について紹介していきたい。

結果が分かったF1レースは興味半減。フジテレビNEXTの生中継を見たい
 現在、日本でF1のレース中継を見るには2つの選択肢がある。

1.地上波のフジテレビ(および一部系列局)による録画中継
2.CS/CATVのフジテレビNEXTによる生中継

 前者はヨーロッパで開催されるレースであれば23時45分ごろからスタートする番組になる。生中継ではなく、録画中継となり、視聴が無料の地上波番組となるため途中にCMが入るほか、番組の時間の都合上で途中何カ所かカットされている部分もある。後者はヨーロッパのレースであれば20時50分からスタートする番組で、有料放送でもあり番組の冒頭に少しCMは入るものの中継そのものはCMによる中断もなく、レースは完全にカバーされることになる。

 有料放送ではあるものの、やはりお勧めはフジテレビNEXTの生中継放送だ。理由は単純明快で、生中継ではない録画中継の場合、中継番組を見る前に結果を知ってしまう可能性があるからだ。ヨーロッパのレースの場合、現地時間の14時にレースがスタートするのだが、これは日本時間の21時に相当する。F1のレースは最長でも2時間で終わるので、遅くとも23時には結果が出ていることになる。地上波のフジテレビのF1中継は例外はあるものの、ほとんどが23時45分から放送を開始する。つまり、放送の開始時点ではすでにレースの結果が出ているのだ。

 以前であれば、問題は少なかった。というのも、F1の結果情報を得る手段はほとんどがテレビ番組であり、F1関連のニュースを放映するのがフジテレビだけであるという事情を理解していれば、F1放映前のスポーツニュースなどを見ないようにしていれば、結果を知ってしまうことはほとんどなかったからだ。

 しかし、今、我々の生活にはインターネットがある。モータースポーツ専門のWebサイトだけでなく、一般のニュースサイトやYahoo!ニュースのようなニュースを総合的に扱うWebサイトにその結果が掲載されることも多い。さらには、RSSリーダーを使っている人にとっては自分で意図して見に行かなくても、いきなりパソコンの画面に結果が表示されてしまうということもあるだろう。

 さらに最近はTwitterのように、人々のつぶやきをメッセージとして表示するサービスもある。フジテレビNEXTで生中継を見ていた友人のつぶやきを思わず読んでしまったという不幸な出来事も十分考えられる。あるいは、skypeやWindows Live MessengerのようなIM(インターネット メッセージ)ツールを使っていれば、友人のモットーに結果が書かれていて、それで知ってしまう危険性だってある。

 やはりスポーツ観戦の醍醐味は、結果が分からないことにあるといっても過言ではない。筋書きのないドラマというのは使い古された言い回しだが、レースを見る前に結果を知ってしまうと、レースを見ている最中でも心の中では“どうせベッテルが勝つんだろ……”と思ってしまい、“誰が勝つんだろう、ドキドキ”というのがなくなってしまい、楽しさも半減するというものだろう。

 以上のような理由から、本当にF1が好きで、ドラマチックな展開こそが醍醐味だと思っているなら、フジテレビNEXTの生中継を見ることをお勧めする。視聴するにはCATV(CATV局によっては、選択肢に入っていない場合もある)ないしはCS放送のスカパー!と契約する必要があるので、そのハードルはやや高い。

 一軒家の方であれば、CS放送の衛星アンテナを設置することで対応できるが、マンションなどの場合には、自分では衛星アンテナを設置できない場合がある(ベランダが南西方向を向いていないと電波を受信できない)からだ。また管理組合の規約で、ベランダの外側にはアンテナなどを設置してはいけないとされている場合もある。その場合は、CATV局にフジテレビNEXTの番組配信があるか問い合わせるとよいだろう。

 料金だが110度CS放送のe2 by スカパー!の場合、フジテレビNEXT単体で1260円/月となる。ただし、フジテレビONE、フジテレビTWOのセット(1050円/月)と組み合わせると525円/月となるので、フジテレビONE+TWO+NEXTで1575円/月となる。フジテレビONE、TWOでは、GP2中継などの他のモータースポーツ番組も放映しているので、特に理由がなければ3番組セットがよいだろう。なお、CATV局の場合には、料金が異なる場合があるので、自分の住んでいる地域のCATV局で直接確認していただきたい。

 これらの料金が高いか、安いかに関してはいろいろ議論があるだろう。無料の地上波と比べると、月々のコストがかかるので大きな差があると言ってよい。正直そこまでF1好きな人でなければ、そのコストは決して安いものではないだろう。だが、三度の飯よりもモータースポーツ好きの筆者にとっては、レースや予選だけでなく、フリー走行までも見ることができ、なおかつ録画中継ではなく生中継を楽しめることを考えると決して高いモノではないと思っている。

F1マシンが走るだけでなく、記者会見なども公式のスケジュール
 さて、以下の内容はフジテレビNEXTの視聴契約をしてもらい、F1中継を生放送で見ていただくことを前提として話を進めていきたい。

 2009年シーズンのフジテレビNEXTの放送は、基本的にF1マシンが走る全セッションが放送されている。昨年までは、金曜日のフリー走行1(午前)、フリー走行2(午後)は放送されていなかったのだが、今年からは全セッションが放送されるようになった。ちなみに、世界各国の放送と比較しても、金曜日のフリー走行を含めて放送されているのはフジテレビNEXTだけらしく、マニアにとっては非常にうれしい状況になっている。

 筆者もせっかくのチャンスなので、金曜日にはテレビの前にかじりついて見ているが、金曜日のフリー走行は意外とおもしろい。というのも、F1ではコストを抑える意味もあり、今年からシーズン中のテストは禁止になってしまったので、金曜日のフリー走行がその代わりとして新しいパーツなどを試す場となっている。画面をよくよく見ていると見たことのないウイングが付いていたり、となかなか興味深い。さらに、金曜日の結果を見ると、その車がどの程度サーキットにあっているのかを確認することができる。

 例えば、今年のレースを見ていると、タイヤの温度をいかに上げるかといったタイヤの温度コントロールがレース結果に反映されることが多い。そうした状況も金曜日のフリー走行を見ていると確認できる。金曜日のフリー走行後は、土曜日の午前中のフリー走行3回目、午後の予選、日曜日の午後の決勝という流れになる。

 F1マシンの走るセッションだけを見ていれば、現地の雰囲気が分かるかと言えば、そうではない。というのも、現地での公式スケジュールは、車が走るだけではないからなのだ。一般的なヨーロッパのグランプリの場合、一部の例外(モナコGPなど)を除き、以下のようなスケジュールになっている。

●2009年 ハンガリーGPのスケジュール

曜日時刻内容付記
木曜日午後公式記者会見1FIA Thursday press conference、主にドライバーが中心
金曜日10時~11時30分フリー走行1Free Practice 1、FP1
14時~15時30分フリー走行2Free Practice 2、FP2
午後公式記者会見2FIA Friday press conference、主にチーム関係者が中心
土曜日11時~12時フリー走行3Free Practice 3、FP3
14時~予選Qualify
予選後予選トップ3記者会見1FIA post-qualifying press conference、テレビ
予選後予選トップ3記者会見2FIA post-qualifying press conference、新聞雑誌
夕方以降予選後車重発表Pre-race weights & provisional grid
日曜日14時~決勝Final
決勝後決勝トップ3記者会見1FIA post-race fia conference、テレビ
決勝後決勝トップ3記者会見2FIA post-race press conference、新聞雑誌

(時刻はいずれも現地時間)

 フリー走行、予選、決勝に関しては、実際に車が走るセッションということで、これらのセッションがフジテレビNEXTで生中継で放送される。色で示したセッションは、実際に車が走るセッションではなく、記者会見などのセッションということになる。予選が終わった後と、決勝が終わった後のトップ3記者会見は、フジテレビNEXTのF1中継でも放送されているため、ご覧になった方もいると思うが、あれはテレビ用の記者会見。あの後に新聞や雑誌などの記者から質問を受ける記者会見のセッションも用意されているのだ。

 また、木曜日と金曜日には、レースごとに選ばれたドライバーとチーム関係者が参加して公式記者会見が行われる。木曜日がThursday press conference、金曜日がFriday press conferenceと呼ばれている。Thursday press conferenceはドライバーの記者会見で、母国GPのドライバー、前レースで活躍したドライバーもしくは終盤戦ならタイトル争いをしているドライバーなどが呼ばれて記者からの質問に答えるものとなる。Friday press conferenceはチーム関係者の記者会見で、チーム代表、テクニカルダイレクターなどが呼ばれて記者の質問に答えることになる。

 これらの記者会見もなかなか面白く、例えば終盤戦ならタイトルを争っているドライバーが呼ばれて、記者から厳しい質問を突きつけられて火花バチバチなんてこともよくある。そのため、こうした記者会見でどのようなコメントを語ったかということも、決勝へ向けての流れとして重要なイベントの1つなのだ。

 そして、公式のイベントという訳ではないが、土曜日の夜には、予選終了後の各車の重量が発表される。今年のルールでは予選のQ3に進んだトップ10の車はQ3が始まる前に燃料の搭載量を決定しておく必要があり、予選で上位になったとしても、重量がほかより軽ければ、他車より早いうちにピットインしなければならなくなる。

 昨年まではこの燃料の搭載量は発表されなかったので、レースが進んでいき実際に車がピットインするまで燃料の搭載量は分からなかったのだが、今年は土曜日の夜(現地時間)に燃料の搭載量が発表されるため、それを見ればある程度レースの展開を予想できるようになっている。このため、これを知っておくことは、翌日のレースの結果を予想して楽しむには非常に重要なデータの1つとなっている。

F1公式サイトには記者会見の記事など多数の情報
 色で示したセッションの中で、フジテレビNEXTでは放送されないものはどのようにして情報を得ればよいのだろうか? それは、The Official Formula 1 Website(F1公式サイト[http://www.formula1.com/])だ。

 このF1の公式サイトは、セッション中(フリー走行もライブタイミングでデータを見ることができる)の順位や区間タイムなどを参照できる「ライブタイミング」などのツールが提供されているサイトで、それだけでなく、F1の最新情報が多数掲載されている。ライブタイミングの使い方は以前の記事(「F1観戦の味方、ライブタイミングの楽しみ方」)を参照してほしいが、前述のThursday press conference、Friday press conference、予選後のPost-qualifying press conference、決勝後のPost-race press conferenceなどの、文字起こし記事(英語ではTranscriptと言われる)が掲載されている。ちなみに、それぞれのニュースのヘッドラインの英語表記に関しては、表1に書いておいたので参考にしてほしい。

 ただし、以前の記事でも触れたが、このF1公式サイトは英語表記となっており、日本語表示は用意されていない。従って、記事を読むには英語を読めることが前提となる。英語が理解できる人であれば、細かなニュアンスなども分かるのでぜひ直接読んでみることをお勧めする。とはいえ、英語が苦手という人にとっては、そう言われても厳しいところだろう。

 そのような場合は、自動翻訳を行ってくれるサイトを利用して読むとよいだろう。代表的な自動翻訳サービスであるGoogle翻訳(http://translate.google.co.jp/)では、URLを入れるボックスの中にF1公式サイトのURLである「http://www.formula1.com/」を入力し、言語を英語>日本語を選択した上で「翻訳」ボタンを押す。すると、サイトが自動的に翻訳されて表示される。一度翻訳されるとリンク先も翻訳してくれるので、前述の記者会見のニュースなどを探してリンクをクリックしてみるとよいだろう。正直に言って、翻訳は完璧ではなく、かなり日本語として意味不明な場合も多い。しかし、だいたいの雰囲気は把握できるので、英語が苦手な人は利用してみるとよいだろう。

F1公式サイト(http://www.formula1.com/)のトップページF1公式サイトのニュースページに表示される木曜日記者会見の様子。木曜日はドライバーが出席するF1公式サイトのニュースページに表示される金曜日記者会見の様子。金曜日はチーム関係者が出席する
各グランプリの詳細を示す画面。右上にはスケジュールが表示されているが“Convert to My Local Time”というボタンを押すと、日本時間(より正確に言えば自分のパソコンに設定しているタイムゾーンの時刻)に変換してくれる日本時間で表示されたハンガリーGPの表示F1公式サイトにはさまざまなコンテンツがあり、オンボードラップのビデオなどもある。マニアには割と楽しめる
現地時間の土曜日の夜に公開されるのが“Pre-race weights & provisional grid”。日本語にすると“レース前重量と暫定グリッド”Google翻訳のページ。ボックスの部分にURLを入力して、翻訳ボタンを押すだけ翻訳後のF1公式ページ。機械翻訳であるため、日本語的にはおかしいところが一杯で突っ込みどころ満載だが、現状の機械翻訳ではこの程度が限界。従って、雰囲気などを把握するという使い方が正しいだろう

レースのない週末は英AutosportのWebサイトを見る
 レース週末の情報は、F1公式サイトの更新が早いのでそちらを見るほうがよいが、レースがない週末に起こる新しい動き、例えばドライバーの移籍問題などに関しては、公式サイトよりも英Autosport誌のWebサイト(http://www.autosport.com/)を見ておくとよいだろう。

 Autosportは世界で最も権威があるレース雑誌で、現在F1で活躍するトップジャーナリストを多く輩出した雑誌でもあり、ファンだけでなく関係者も必ず目をとおす、業界スタンダードの雑誌と言ってよい。そのAutosportのWebサイトは、一部のコラムと過去ログの閲覧は有料会員になる必要があるが、ニュースだけであれば無料で見ることができる。そのため、最新ニュースだけを追いかけるのなら、無料でかつ最新情報を入手することができる。

 例えば、今年の中国GPの直前の水曜日に、FIA国際控訴裁判所でブロウンGPなどの2段ディフューザーがレギュレーションに合致しているかどうかの審議が行われたが、FIAの本部はパリにあるため、日本にいると何が起こっているかを把握するのは難しい。しかし、そうした状況も、Autosportのサイトでは逐一ニュースとして報道してくれていたので、把握することができた。なお、こちらも言語は英語のみとなっているので、やはり英語が苦手な場合は前述の自動翻訳サイトを活用するとよいだろう。

 以上、つらつらと説明してきたが、フジテレビNEXTによる全セッション生中継、F1公式サイトのニュースやライブタイミング、英国のニュースサイトなどを上手く活用すれば、現地に行かずとも、その週末に起こっていることをある程度まで楽しむことができるのではないだろうか。ぜひともこれらを利用して、F1中継をこれまでよりもさらに楽しんでいただきたい。

英Autosport誌のWebサイトこの記事はレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が、どちらかのドライバーにタイトルの可能性がなくなるまでレースで競わせると語ったというニュース。最新の動向なども、いち早く掲載されるので、要注目

 

(笠原一輝)
2009年 8月 19日