グランプリウィークエンド直前! 緊急企画 F1日本GPが100倍楽しくなるガイド【3】 笠原一輝の「F1観戦の味方、ライブタイミングの楽しみ方」 |
F1の公式サイト、The Official Formula 1 Website。英文サイトだがニュースをはじめ、これまでの成績など実に詳細なデータが掲載されている。今回取り扱うライブタイミングもこのサイトで提供されているサービス |
F1日本GPも、本日から開催。F1日本GPが100倍楽しくなるガイドの第3弾は、PC Watchなどでおなじみの笠原一輝氏による「F1観戦の味方、ライブタイミングの楽しみ方」だ。富士スピードウェイに行けなかった人でも、このサービスは楽しめるので、ぜひ本記事を参考にしてライブタイミングの使い方をマスターしてほしい。
■富士が最終決戦の舞台に
10月10日~12日の3日間にわたり、待ちに待ったF1世界選手権日本グランプリが静岡県の富士スピードウェイ開催される。あいにくの雨となってしまった昨年は、バスでの移動にトラブルが発生するなど観客には大変なグランプリとなってしまったが、勝負のほうはマクラーレンのルイス・ハミルトンとフェルナンド・アロンソの熱いレースが繰り広げられたり、昨年前半戦で苦戦が伝えられたルノーのヘイキ・コバライネンが2位になったりとなかなか見応えのあるレースが展開された。
そうしたF1をさらに楽しむためのツールが、実は無償で公開されている。それがF1の公式サイト(http://www.formula1.com/)で公開されているLive Timing(以下ライブタイミング)だ。ライブタイミングはコンピュータにより管理されている計時を、インターネットを通じてユーザーにもライブで提供しようというシステムで、その時点での順位、ラップタイム、ファステストラップ、トップや前車とのタイム差などが一目でわかるようになっている。
これを利用することで、現在トラック上で何が起きているかなどを瞬時に把握することができ、テレビ中継には映らない順位の変動やお気に入りのドライバーの動向などがライブでチェックできるのだ。本リポートでは、そうしたライブタイミングの使い方などをお届けしたい。
■F1の生中継を観戦するなら必須のライブタイミング、地上波の視聴者は若干注意
いきなりで申し訳ないのだが、本記事はCS放送のフジテレビ721(ないしは今年から始まったフジテレビCSHD)を視聴していないF1観戦者にとっては、あまり関係ない記事となる。というのも、ライブタイミングという言葉が示すとおり、F1公式サイトで提供されているライブタイミングはリアルタイムデータであり、録画中継となっている地上波のフジテレビの中継放送では意味をなさないからだ。それどころか、ヨーロッパで行われるグランプリの場合、通常フジテレビの中継放送は日本時間午前0時前頃から始まるが、F1レースそのものは日本時間の午後11時には終了しているので、地上波の放送が始まる頃にこのF1公式サイトに行くと、レース結果が掲載されているので、絶対に開かないほうがよいだろう。
ただし、今日から始まる富士スピードウェイでの日本GPに関しては、地上波でも生中継となるので、この注意は該当しない。また、数あるグランプリのうち、カナダGPとブラジルGPに関しては時差の関係で地上波でも生中継となることがあるので、その場合にはやはりライブタイミングを楽しむことができる。
やはり毎戦、本格的に楽しみたいというのであれば、フジテレビ721かフジテレビCSHDの視聴がお奨めだろう。有料放送であるため、CMも入らず、グランプリを最初から最後の記者会見までライブで楽しむことができる。フジテレビ721やフジテレビCSHDを見るためには、スカパー!やe2 by スカパー!などのCS放送に加入するか、これらの有料チャネルを選択できるケーブルテレビに加入する必要がある。詳しくはそれらのテレビ局などに問い合わせて欲しい。
■ライブタイミングを楽しむにはブラウザ、Java、メールアドレスの3つが必要
ライブタイミングを楽しむためには以下のような環境が必要になる。
1.Webブラウザ
2.Java 1.3.1以上
3.メールアドレス
4.若干の英語読解力
今この記事を見ているということは、なにがしかのWebブラウザを利用しているだろうから、基本的に1つ目はクリアしていると言える。重要なのは2つめのJavaだ。というのも、ライブタイミングはJavaアプレットで動作しており、Java 1.3.1以上が必要になるからだ。JavaはJavaのWebサイト(http://www.java.com/ja/)からダウンロードすることが可能なので、必要なユーザーはダウンロードしてインストールしておけばよいだろう。なお、アップルのMac OSを利用しているユーザーであれば、Mac OS X以上の利用が奨励されている。
3つ目のメールアドレスは、F1公式サイトにユーザー登録する際に必要になる。ライブタイミングの機能は今のところ無償で公開されているが、ユーザー登録だけは必須になっており、その登録にはメールアドレスが必須になっている。また、用意されている言語は英語のみで、登録の際などにはその意味を理解できる程度の英語読解力が必要になる。ただし、実際には、"E-mail"(メールアドレス)、"LastName"(苗字)、"FirstName"(名前)程度のことが理解できれば、十分だ。
■Javaのインストールとユーザー登録が事前に必要になる
ライブタイミングを利用するには、以下の手順で利用する必要がある。
1.Javaのインストール
2.F1公式サイトでのユーザー登録
まずは、先ほど紹介したJavaのWebサイト(http://www.java.com/ja/)に行って、Javaをインストールしておく必要がある。手順は特に難しくなく、Javaのサイトへ行き、"無料 Javaをインストール"というボタンを押して、説明に従ってJavaをインストールするだけだ。Internet Explorerを利用している場合には、途中でセキュリティの警告などが出るが、説明などを読んで問題ないと理解できるならインストールボタンを押す。Javaのインストール中には使用許諾契約への同意が求められるのでよく読んで問題なければ同意する。また、Googleツールバーをインストールするかも聞かれるので、必要があればチェックを有効にして先へ進む。Googleツールバーをインストールする必要がないユーザーはチェックを外しておこう。
1.JavaのWebサイト(http://www.java.com/ja/)にいき、"無料 Javaをインストール"を押す | 2.インストーラはActiveXのアプレットになっているので、ActiveXコントロールをインストールするを押す |
3.セキュリティの警告が出るので、“インストールする”を選ぶ | 4.使用許諾契約を読んで、同意できれば"同意する"を押してインストールする |
5.Googleツールバーをインストールするかを選択する。Javaの動作自体にGoogleツールバーは必須ではないのでインストールしなくてもよい | 6.インストールが完了したら"完了"を押して終了する |
それが終わったら、F1公式サイト(http://www.formula1.com/)へ行き、ユーザー登録をする。なお、ユーザー登録自体はグランプリが開催される週でなくても行うことができるので、直前になって慌てないように、グランプリが始まる前にすませておこう。まずは、F1公式サイトにいき、右側に表示されるRelated itemsの下にあるLive Timingというリンクを押す。すると、ユーザー登録の画面になるので、FirstNameに下の名前、LastNameに名字、性別に男性ならMale、女性ならFemale、年齢のチェックボックス、CountryにJapanを選ぶ。さらに、E-mailとE-mailのところに自分のメールアドレス、PasswardとComfirm PasswordのところにF1公式サイトのログインに使いたいパスワードを入力し、"I accept the Terms and Conditions of Formula1.com"というチェックボックスにチェックを入れ、右向きの三角のアイコンを押すと、登録は完了だ。
なお、Cookieが有効になっていれば、ブラウザ自体がパスワードを記録してくれるため毎回入力は不要だが、新しいPCを購入した場合やブラウザを乗り換えた場合、Cookieを無効にしている場合などにはメールアドレスとパスワードによる認証が必要になるので注意したい。
7.F1公式サイト(http://www.formula1.com/)へ行き、ユーザー登録を行う。右側にある"Live Timing"を押す | 8.名前やメールアドレスを入れる。FirstNameに下の名前、LastNameに名字、性別に男性ならMale、女性ならFemale、年齢のチェックボックス、CountryにJapanを選び、E-mailとE-mailのところに自分のメールアドレス、PasswardとComfirm PasswordのところにF1公式サイトのログインに使いたいパスワードを入力する |
9."I accept the Terms and Conditions of Formula1.com"のチェックボックスを有効にして、右向きの三角のアイコンを押す | 10.登録が完了すると"Success"と表示される、この画面がでれば登録完了だ。 |
■リアルタイムに情報は更新されていく、詳細な情報を入手可能
登録がすめば、実際にライブタイミングを利用しよう。ライブタイミングを利用するには、もちろんフリー走行、予選、決勝などが行われている時間でないともちろん意味がないのだが、レースなどが行われていない期間でも開くことは可能だ。その場合には、次のセッションはこれですよ、という表示が出るだけなので、あまり意味はない……。
ライブタイミングの接続すると、下のような画面が表示される、この例は先日行われたシンガポールGPの例だ(ちなみに表示にはなぜか予選を意味する"Qualifying"と表示されているが、内容を見ていただければわかるようにこれは"Final"と呼ばれる決勝レースのときの計時だ。
おそらくF1の中継を見慣れている人には説明はないと思うが、念のため説明していくと、一番左の数字は順位を示している。下の方で順位が付いていないドライバーはすでにリタイアしたことを示している。
2つ目はカーナンバーとドライバーの名前で、カーナンバー+名前のイニシャル+名字という形で表示されている。つまりカーナンバー5のフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)なら5 F.Alonsoだ。
3つ目はトップと前車との差になる。トップの人のところには現在こなしている周回数が表示され、2位以下では左側にトップとのタイム差、右側に前車とのタイム差が表示される。これを見ることで、自分のひいきのドライバーがトップとどれくらいの差があるのか、あるいは追いかけている前車とどれだけの差があるのかを見て取ることができる。例えば、1位ハミルトンと2位マッサの差は2.1秒で、3位のライコネンはハミルトンから5秒差で2位マッサとの差は2.9秒だ、などと瞬時で分かるのだ。これが分かれば、例えばチーム監督になった気分で、"キミあと2秒詰めてマッサに追い付こうよ"とか何様な独り言を言いながら応援できる訳だ。
4つ目は最新のラップタイムだ。1.47.180などのフォーマットで表示されるが、これは1分47秒180であることを示している。これを見ながら、"あちゃーフェルナンド、キミより0.521遅いよ"とかやはり俺様な独り言を繰り出すことが可能だ。なお、タイムが緑で表示されたときには、そのドライバにとっての自己ベストであること意味し、ピンクで表示された場合には全体のベストであることを示している。なお、それまでのファステストラップは下側に"BEST LAP"として表示されている。
セクタータイムの表示とベストラップ。この例では、キミ・ライコネンが前の周回で全体のベストタイムを出し、かつ今セクター2(S2)で全体のベストを出していることを意味している |
さらにオタクなユーザーには、セクター(区間)タイムを示す5つ目の項目はグッと来るものがあるだろう。一般的なサーキットには3つの計測区間があり、それぞれセクター1(S1)、セクター2(S2)、セクター3(S3)と呼ばれている。この3つの区間を足した時間がラップライムとなる。「ルイス、フェリペに比べてコンマ2秒セクター1で失っている」(もちろん英語)などとチームからドライバに無線で言っている様子がテレビ中継で流されることがある。このときのセクター1がS1である。
これを利用すると、例えば、同じような結果でもマクラーレンはS1は速いけどS2はいまいちとか、フェラーリは逆にS1はいまいちだけど、S2はすげー速いとか、そうしたことが分かるようになる。S1は高速コーナーばかりで、S2はテクニカルなセクターばかりだとしたら、それによりマクラーレンは高速コーナーは得意だけどテクニカルな区間はダメな車なんだな、とかも類推することができる。
一番右に表示されるのはピットインした回数だ。これにより、ドライバーが何回ピットストップをしたのかが分かり、1回ストップなのか、2回ストップなのかなどを類推することもやりやすくなる。ただし、このピットの回数には、ピットスルーペナルティを受けたときや緊急ピットインの場合なども1回とカウントされてしまうので、レギュラーストップの回数だけではないことに注意したい。
さらに、右側のペインには現地にいるスタッフからコメントが英語で示されている。現在起きている状況をリアルタイムで表示してくれる。テレビ放送を見ることができないときなどには有効だが、すべて英語のみになるので、英語読解力が必要になるのは言うまでもない。
なお、左端にあるタブを利用すると、現在のサーキットに関するさまざまな情報、例えば気温、路面温度、またストレートでの速度、ラップチャートなども表示される。さらにコアに分析をしたいというユーザーであれば、参照してみるとよいだろう。
■これまでとは違った角度からグランプリを楽しむことが可能になる
もともとこのデータは、サーキットにいる関係者などが閲覧することを目的として構築されたコンピュータの計時システムがあり、それをレースオフィシャルやチーム関係者が見る小型テレビ、報道関係者のいるプレスルーム、テレビ中継のアナウンサーや解説者のいるコメンタリーブース、さらにはサーキットビジョンなどに情報を提供していたものだ。そのデータがインターネットを通じて、世界中のユーザーに提供されるようになったのがライブタイミングだ。サーキットにいる関係者にはもう少し詳細な情報が提供されているようだが、基本的に元データは一緒で、大きな違いはない。
つまり、これをリアルタイムに見れば、サーキットにいる関係者と同じ気分でレースをテレビ観戦することができるのだ。これを利用することで、グランプリをこれまでとは違った角度から楽しむことも可能で、フジテレビ721/CSHDでグランプリを毎戦生で見ている人はぜひとも使ってみて欲しい。また、地上波の視聴者であっても、今週末の日本グランプリは生中継なので、ぜひこれを利用して、いまサーキットでどんなことが起きているのかを実際に把握しながら、楽しんでみてほしい。
■URL
The Official Formula 1 Website(F1公式サイト、英文)
http://www.formula1.com/
F1 2008 JAPANESE GP in FUJI SPEEDWAY
http://www.fujispeedway.jp/
(笠原一輝)
2008年10月10日