「NEXCO中日本第2回メニューコンテスト」、談合坂SAが最優秀賞に 8つのSA/PAが「地産地消」メニューで激戦 |
中日本エクシスは12月18日、「NEXCO中日本第2回メニューコンテスト」を東京 代々木の服部栄養専門学校で開催した。
中日本エクシスは、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の事業を手がける、NEXCO中日本(中日本高速道路)のグループ企業。NEXCO中日本管内のSA/PAのレストランや売店は、中日本エクシスから委託を受けたテナント企業が運営しているが、メニューコンテストはそれらの味と品質の向上を目的としたもの。NEXCO東日本(東日本高速道路)でも同様のイベントを行っている。
今回のコンテストは、「厳選(こだわり)素材を生かしたおすすめの逸品」をテーマに、45のSA/PAのレストランがメニューを開発。10月10日~11月9日の1カ月間を1次予選期間として実際に販売した。
さらに試食審査を東京、静岡、名古屋、八王子、金沢の5つのブロックに分けて行い、売上高トップをマークした多賀SA(下り)と、前回のチャンピオンである有磯海SA(上り)を加え、8つのメニュー(下表参照)が、本戦に進出した。
※キャプションはブロック・道路・SA/PA・テナント・料理長・メニュー・価格
本戦当日は、服部栄養専門学校で8つのレストランのスタッフがメニューを調理。審査員ができたてを試食して、最優秀賞と、審査員特別賞を選出した。審査員は、服部学園の理事長で料理評論家の服部幸應氏、料理記者の岸朝子氏、元・日本テレビ「キューピー3分クッキング」チーフプロデューサーの中村壽美子氏、中日本エクシスの原田裕 代表取締役社長、NEXCO中日本広報部主幹で食生活ジャーナリストの加藤貞仁氏の5名。
8チームとも、与えられた60分間で、審査員と報道陣、関係者が試食できる量のメニューを調理し、その後の40分間の試食審査でメニューをアピールした。
服部栄養専門学校に集結した8つのレストランの料理長と、調理スタッフ | 左から審査員の岸氏、中村氏、服部氏、加藤氏、原田社長 | 調理教室で調理開始。時間は60分 |
慣れない調理器具と衆人環視の中という不利な状況。しかしすべてのチームが60分間でメニューを仕上げた | ||
試食中だけでなく、調理中にも審査員や報道陣の質問を受ける | ||
多数の人に試食してもらうための特別な盛り付けだが、こうしたディスプレイも評価に影響する |
最優秀賞に輝いた談合坂SAのスタッフ。中央が坂本料理長 |
審査員の加藤氏によれば「全体として点差は小さかった」という激戦を制して最優秀賞を手に入れたのは、談合坂SAの「『甲斐の國』美味漫遊」。談合坂SAのある山梨県の郷土料理「大月おつけだんご」に「甲州麦芽ビーフと甲斐舞茸のすき焼き」「富士桜ポークの蒸しゃぶ」と、地場の産品を十分に生かした定食だ。
おつけだんごは「すいとん」の一種だが、やはり山梨県の名物として有名な「ほうとう」風の野菜たっぷりのスープと合わされている。あまり知られていない郷土料理を「発掘」し、よく知られた料理に見事にアレンジした手腕を、審査員の加藤氏は「おつけだんごでやられた。なつかしく温かみのあるメニュー。こういう奇を衒ったところがないもののほうが、長くお客様に支持されるのではないか」と絶賛した。
審査員特別賞は多賀SA「近江牛焼肉重」、有磯海SA「からだにおいしい『魚津美味い膳』」、海老名SA「トロトロ・エコ豚と野菜たち」が受賞。
多賀SAの焼肉重は「醤油を煮切って、食べる人が好みで味を調整できるようにしたところと、さっぱりしたおひたしや酢の物と組み合わせたところ」(中村氏)が評価された。
有磯海(ありそうみ)SAの魚津美味い膳は、この季節の富山県ならではの魚と野菜を多用し、比較的低カロリーに仕上げた定食。旬の寒ブリが人気だった。
海老名SAのエコ豚は、秋田産。神奈川県のSAがなぜ秋田産品を使うかというと、「秋田に廃棄食品で育てた笑子豚(エコブー)がいたから」(大和料理長)。エコカー減税、エコドライブといったトレンドに乗り、「エコ」を取り入れるべく探しまわった結果という。そこで、つけあわせにも秋田のいぶりがっこを選んだ。デザートのミニトマト甘酢漬と、豚をポトフ風に仕上げた季節感も評価された。
このほかのメニューもSA/PA周辺の名産品を活用したもので、「地産地消」が大きな流れとなっていた。審査員の服部氏も「その土地のものが旅館でも出ない、日本全国どこでも金太郎飴のように同じものが出てくることがあるが、地域のものをどう生かしているか、をポイントに審査した」という。
一方で「旬を地場の食材で出して欲しい」(中村氏)、「地産地消を生かしきれていないものもあった。例えば里芋を潰してコロッケにしたメニューが2つあったが、里芋は土地によってホクホク感やネットリ感が違い、味も異なる。コロッケにするとこうした違いが伝わらないのではないか」(加藤氏)といった課題も呈された。
審査員の岸氏は「あそこのあれが食べたいから高速道路を走って行きましょう、と言いたくなるくらいレベルが高いといい」と要望。SA/PAの食事が、高速道路上で仕方なくとるものから、大きく変わろうとしている様子がうかがえたコンテストだった。
【お詫びと訂正】記事初出時、中日本エクシスの会社名表記を誤って表記しておりました。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。
(編集部:田中真一郎)
2009年 12月 18日