アストンマーティン、4ドアスポーツカー「ラピード」上陸
「ラピードはどのアングルから見てもエレガントでなければならない」

長距離のマラソンランナーと競走馬をイメージしてデザインされたラピード

2010年2月4日開催



発表会会場となった恵比寿ガーデンプレイス内のラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション

 アストン・マーティン・ラゴンダ・リミテッドは2月4日、同社の生産モデルとして初の4ドアスポーツカー「ラピード」の発表会を都内で開催した。

 日本での販売は1月からすでに行っているが、実車が正式に日本でお披露目されるのは今回が初。発表会にはアストン・マーティン・ラゴンダ・リミテッド アジアパシフィック地域統括ディレクターのマシュー・べネット氏と、同アジア地域オペレーションマネージャーの寺嶋正一氏が出席し、ラピードの解説を行った。


アストン・マーティン・ラゴンダ・リミテッド アジアパシフィック 地域統括ディレクターのマシュー・べネット氏アストン・マーティン・ラゴンダ・リミテッド アジアパシフィック アジア地域オペレーションマネージャーの寺嶋正一氏
ラピードのベールを取るベネット氏と寺嶋氏

 ラピードは、2006年のデトロイトモーターショーでコンセプトモデルを登場させ、2009年9月に行われたフランクフルトモーターショーで正式に発表。ラグジュアリーな4ドアスポーツカーとして、「世界でもっともエレガントな4ドアスポーツカー」「4人の大人が優雅にゆったりと座れるコクピット」「ドライバーと車に一体感を持たせること」「十分なスペースがあり機能的で、使い勝手のよいモデルであること」をキーコンセプトに掲げる。

 エクステリアは、長距離のマラソンランナーと競走馬をイメージしてデザイン。これはロングドライブを楽しむこととしなやかな走りを堪能してもらいたいという願いからきているものだと言い、エレガントかつスポーティなものに仕上げられた。

 フロントデザインは低重心で安定感のあるルックスで、センターには合金製のつや出しグリルを2つ配置し、さらに重厚感を演出。ヘッドライトは凹凸のないシングルレンズのバイキセノンヘッドライトを採用した。

 ドアは白鳥が羽を広げたような状態に見える「スワンウイング」を採用し、ボディーに対して12度の角度をつけて開くことで、室内へのアクセスをより容易なものとした。

フロントセンターには合金製のつや出しグリルを2つ配置シングルレンズのバイキセノンヘッドライト
白鳥が羽を広げたような状態に見えるスワンウイングを採用C型テールランプはLEDを採用

 ボディーサイズは5019×1929×1360mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2989mm。車両重量は1950kg。シャシーはDB9と同じ航空工学から生まれたアストンマーティン独自のボンド接着フレームのVH(Vertical/Horizontal)プラットフォームを用い、通常の溶接による組み立てフレームより軽量で高剛性を実現したと言う。また、6速ATをリアデフ側に配置するトランスアクスルレイアウトとすることで、前後重量バランスを51:49の理想的な配置とした。

 搭載する5935cc 48バルブV型12気筒エンジンは、オールアルミ製で手組みによるもの。最高出力350kW(477PS)/6000rpm、最大トルク600Nm/5000rpmを発生する。これにZF製6速AT(タッチトロニックII)を組み合わせ、後輪を駆動する。100km/hに到達するまでの所要時間は5.3秒で、最高速度は303km/h。2000rpmの時点で80%のトルクを出力すると言う。

 サスペンション形状は前後ダブルウィッシュボーンで、路面の状況の変化によってダンパーのセッティングを自動的に変化させる「アダプティブダンピングシステム」を採用。ブレーキシステムはブレンボ製で、フロント6ピストン、リア4ピストンのモノブロック対向キャリパーを採用する。また、ブレーキディスクにアルミとスチールを複合したデュアルキャストブレーキシステムを採用し、スチール材のみを使用したディスクよりも約20%軽量化したと言う。

10スポークデザインのアルミホイールは20インチ。タイヤサイズはフロントが245/40 R20、リアが295/35 R20オールアルミ製の5935cc V型12気筒エンジンは477PSを発揮

 インテリアもエクステリア同様のコンセプトでデザインされ、フロントシートは長距離を運転しても疲れない、専用開発したものだと言う。リアシートはベンチシート形状ではなく、左右それぞれにバケット形状のシートを採用。これはリアシートの乗員にも本格的なドライビングを楽しんでもらいたいとの願いから採用したレイアウトだと言う。

 ラゲッジスペースは、4人分の荷物を十分に搭載できるスペースを確保し、リアシートをダイブダウンさせることで、301Lから750Lの容量まで拡大できる。

4座独立の本革シートは全席シートヒーターを装備。ヘッドレストに「RAPIDE」ロゴが入る後席も適度なホールド感のあるシートだが、窮屈さは感じない
後席の背もたれは倒すことができるホワイトを基調にしたインテリア。ウォールナットダッシュボードトリムが高級感を醸し出すカップホルダーの横にEPB(エレクトリックパーキングブレーキ)のボタン
センターコンソールボックス内にはUSBコネクターと3.5mm外部入力ソケットを設けるステアリングにはシフトパドルを装備。オーディオのボリューム調整ボタンなどもつくエンジンスターターとギアポジションはボタン式
スピードメーターは330km/hまで刻まれる。タコメーターの指針は反時計方向に回る電動シート操作部リアシート中央にもセンターコンソール。エアコンやシートヒーターの調節が可能。カップホルダーは2個
オプションのリアシートエンターテイメントシステムを選択すると、前席ヘッドレスト後部にモニターが装備されるラゲッジスペースにはリアシートと荷室を隔離する可動壁が設けられる

 マシュー・べネット氏によると、ラピードは「2006年にデトロイトでコンセプトモデルを発表しながらも、なぜこれまで実車を公開しなかったかとよく質問を受けるが、ラピードはどのアングルから見てもエレガントでなければならず、デザイン面で一切の妥協をしなかったから」と言い、「しなやかでダイナミックなラピードから真のドライビングエクスペリエンスを得ることができるだろう」と、その完成度に自信を覗かせた。

 なお、ラピードの価格は2268万円。

会場の外に同社のフラッグシップスポーツカー「DBS」のオープンモデル「DBSヴォランテ」も展示

(編集部:小林 隆)
2010年 2月 5日