NEXCO東日本、SA/PAのレストランによる「第4回新メニューコンテスト」開催
地産地消をテーマに。グランプリは那須高原SA(上り)

グランプリは東北道 那須高原SA(上り)。レストランを運営する日の丸サンズの渡辺敬二料理長(右)へ、NEXCO東日本のSA/PAを運営するネクセリア東日本社長 窪寺克次氏より賞状などの授与が行われた

2010年2月25日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は、都内の香川栄養専門学校において「NEXCO東日本 第4回メニューコンテスト」の決勝大会を開催した。このコンテストは、同社が管轄する高速道路のSA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)にあるレストランの新メニューを、見た目、味、商品性などを中心に審査しグランプリを決定するというもので、毎年各地のSA/PAのレストランが参加して行われている。

 4回目となった今回は“~地域の美味(うま)しもの再発掘~心も体も元気なご当地メニュー”というテーマが設定され、地域で生産させた農産物などをふんだんに利用したメニューに、各地のSA/PAのレストランが取り組んだ。

地産地消を実現する地域の食材を利用した料理が今回のコンテストのテーマ
 NEXCO東日本管轄のSA/PAを運営するネクセリア東日本社長 窪寺克次氏は開会の挨拶で「今回のテーマは地域の美味しもの再発掘、心も体も元気なご当地メニューとなる。地産地消が叫ばれる時代でもあり、その地域ごとにおいしいものをお客様に提供し、喜んでいただける体制を作りたい。我々が常々申し上げているとおり、華があるSA/PAにしていきたい」と述べ、本イベントが“地域興し”的な意味を持つイベントであると説明した。

 本イベントは、合計で48店舗のレストランが参加して行われた各地域の予選会を勝ち抜いた11の店舗が参加。それぞれのレストランが考え抜いて作り出された新メニューを審査員に評価してもらう形式でグランプリを決定する。

予選会を勝ち抜いた11店舗のメニュー

東北自動車道 前沢SA(下り)「美味五感!!まえさわ」。1300円東北道 岩手山SA(下り)「菜彩鶏とほうれん草の元気丼」。1100円東北道 長者原SA(上り)「伊達の鼓舞」。1280円
東北道 長者原SA(下り)「伊達なあ・ら・か・る・と」。1200円常磐自動車道 友部SA(上り)「常陸~奥久慈のPOWER(源) 友愛元気膳」。1450円京葉道路 Pasar幕張(上り)「房州の『心と身体にやさしい』御前」。1490円
東北道 蓮田SA(下り)「愛彩膳・美雅」。1380円東北道 那須高原SA(上り)「高原の息吹~那須三銃士 八汐と共に~」。1260円関越自動車道 赤城高原SA(下り)「赤城山・華かご盛」。1480円
北陸自動車道 米山SA(下り)「七色の日、『躍膳』」。1280円上信越自動車道 横川SA(上り)「浅間のいたずら」。1260円

 審査員は、審査委員長として四川飯店 代表の陳健一氏、特別審査員として新宿割烹中嶋 代表の中嶋貞治氏、駅弁愛好家の小林しのぶ氏、さらに審査委員として元第62代横綱大乃国の芝田山康親方のほか、NEXCO東日本の高速道路をよく利用するJTBやはとバスのバスガイドなどから構成されており、彩りや盛りつけの工夫や独創性、価格の妥当性などを審査する「視覚審査」、おいしさや料理のバランス、テーマ性などを審査する「試食審査」、セールスポイントやご当地ポイントなどを評価する「商品紹介審査」の3つの観点から審査が行われた。

 今回は複数の賞が用意されており、最も優秀なメニューにはグランプリが、さらにNEXCO東日本のWebから利用者による投票で選ばれたメニューにはWeb大賞が、また審査委員長と特別審査員がそれぞれ選んだメニュー3つには特別審査委員賞が贈られることになる。

料理過程やプレゼンテーションも評価
 各メニューの料理は、会場となった香川栄養専門学校の調理場を利用して、当日の朝から行われており、その模様は審査員や報道陣にも公開された。各レストランは、それぞれ地元の名産品となる肉や野菜などを持ち込んで調理しており、それらを利用して調理する様子は、審査員も興味津々でチェックしており、調理を担当する調理長などに熱心に質問していた。

 その後、審査会場に移動し、各レストランからの料理の特徴を説明するプレゼンテーションが行われた。このプレゼンテーションが、セールポイントやご当地ポイントなどを評価する商品紹介審査や、彩り盛りつけの工夫、価格の妥当性などを審査する視覚審査に影響することもあり、各レストラン共に真剣に自分たちの料理の特徴をアピールする様子が見られた。その後は実際に料理が審査員に提供され、各審査員が独自の視点で評価しているのが印象的だった。

スイーツ好きとして知られる芝田山康親方だが、スイーツだけでなく料理全般に造詣が深く、鋭い質問を調理担当者にしていた各地のSA/PAの地元食材が持ち込まれており、それを利用して調理が行われていた。中央は特別審査員の駅弁愛好家 小林しのぶ氏盛りつけは丁寧に行われている
各レストランの料理長が自分の料理の特徴を審査員に説明。こうしたプレゼンテーションも評価の対象に写真を利用して分かりやすくプレゼンテーションするレストランも盛りつけや彩りなども評価対象なので、審査員は料理の盛りつけなどもチェック
その後、実際に料理を食して、味を確かめる各店とも審査員が食べやすいように、小さな単位に料理を盛りつけるなどの工夫が見られた。ここは横川の釜飯で有名な上信越道 横川SA(おぎのやドライブイン)のブースだが、マンゴープリンを釜飯の器のミニチュア版に入れて出していた

グランプリに選ばれたのは「高原の息吹~那須三銃士 八汐と共に~」
 試食後は、審査員による審査が行われ、今回のコンテストのグランプリが発表された。グランプリに選ばれたのは宇都宮ブロック代表で「高原の息吹~那須三銃士 八汐と共に~」を出品した東北道 那須高原SA(上り)の日の丸サンズ。高原の息吹~那須三銃士 八汐と共に~は地元那須産の牛・豚・鶏の3種の肉を利用し、それらの使用部位に工夫を凝らしながらバランスよく組み上げたメニューになっており、価格は1260円。

 日の丸サンズは昨年行われた第3回大会でもグランプリを受賞しており、同社料理長の渡辺敬二氏は「昨年に引き続きグランプリをもらえるとは思っていなかったのでびっくりした」と述べた。

 特別審査員賞には3社が選ばれた。1社目は東北道 長者原SA(下り)鳴子観光ホテルの「伊達なあ・ら・か・る・と」。無菌豚の伊達ざくらポークと地元の新鮮野菜のしゃぶしゃぶをベースにした料理で、価格は1200円。

 2社目は京葉道路 Pasar幕張(上り)クリエイト・レストランツの「房州の『心と身体にやさしい』御前」。特徴的なのは千葉県産いももち豚を利用した“千葉県産いももち豚葱ロール”で、価格は1490円。

 3社目は北陸道 米山SA(下り)ニッカイ米山の「七色の日、『躍膳』」。新潟産のコシヒカリを利用したおにぎりと押し寿し、魚沼産の餅米である“黄金米”を利用した飯蒸という米づくしの料理で、1280円。

 NEXCO東日本のWebサイトでの投票で選ばれるWeb大賞には、東北道 岩手山SA(下り)ナックスが出品した「菜彩鶏とほうれん草の元気丼」が選ばれた。岩手産の菜彩鶏と八幡平産のほうれん草をふんだんに利用したどんぶりで、1100円。投票総数は2万票強で、そのうち3704票を獲得したとのことだった。

グランプリに選ばれたのは、東北道 那須高原SA(下り)のレストランを運営する日の丸サンズの渡辺敬二料理長特別審査委員賞を受賞したのは、 東北道 長者原SA(下り)のレストランを運営する鳴子観光ホテルの庄司英孝料理長同じく特別審査委員賞を受賞した、京葉道路 Pasar幕張(上り)クリエイト・レストランツの佐藤道夫料理長
同じく特別審査委員賞を受賞した、北陸道 米山SA(下り)ニッカイ米山の堀内一郎料理長Web大賞を受賞した東北道 岩手山SA(下り)ナックスの小原時夫料理長

「料理をSA/PAに持ち帰り、味だけでなくサービスの向上にもつなげてほしい」
 総評は審査委員長の陳健一氏から行われ「今回で4回目となるが、年々レベルが上がってきている。今年は本当にどれにもグランプリをあげたいぐらいだったが、あえて選べばということで決めさせていただいた。ぜひともこれを持ち帰って、お客様にサービスを提供する方とのコミュニケーションを高めて、お客様にメッセージが伝わるようにがんばってほしい」と、コンテストをきっかけとして、食事の質だけでなく、サービスの向上にもつなげてほしいと、各店を激励した。

 最後に挨拶に立ったネクセリア東日本の窪寺社長は「地産地消の機運が高まる中、今回は地域の発展につながるようなメニューをテーマにしたが、それぞれ特徴のある創意工夫あふれる料理になっていた。ぜひともこれを各店に持ち帰っていただき、評判のメニューになるように育てていただきたい」と述べ、こうしたイベントがSA/PA地域の振興につながってほしいという期待を表明した。

審査員を代表して総評を行った審査委員長の陳健一氏主催者を代表して挨拶に立ったネクセリア東日本社長 窪寺克次氏各賞を受賞した料理長が記念撮影
今回の審査に参加した審査員の面々審査委員長の陳健一氏(左)と、グランプリに選ばれた東北道 那須高原SA(上り)の日の丸サンズ 渡辺敬二料理長(右)
 
【お詫びと訂正】記事初出時、「那須塩原SA」と記載した部分がありましたが、正しくは「那須高原SA」となります。ご迷惑をおかけした皆様にお詫びを申し上げるとともに、訂正させていただきます。

(笠原一輝)
2010年 3月 1日