F1チケット発売直前企画「鈴鹿F1チケット完全ガイド」【西コース編】
各シートからの風景をパノラマ写真で紹介


 10月8日~10日に開催される「2010 FIA F1世界選手権シリーズ 日本グランプリレース」の東コースのチケット販売が5月16日から始まった。その1週間後の今週末、5月23日10時から西コースを含む全エリアのチケットが販売開始となる。昨年は西コースチケットはG席、J席、L席、M席、N席が完売となった。低価格の席が多い西コースは、東コース以上に争奪戦が予想される。今回は西コースの各指定席の詳細をパノラマ写真をふんだんに使い紹介していきたい。

座席配置図

 まず最初に、16日から始まった東コースの販売状況を確認しておこう。チケットは朝10時から販売が開始された。数分後に鈴鹿F1チケットサイトにアクセスしてみると、少しつながり難い状況となっていた。わずか数分でV2席の1コーナー側、4、7、10エリアと最上段の中央、11エリアが完売となっていた。その後V2席1エリアも完売した。昨年も人気の高かったQ1席、今年価格を下げたQ2席も即完売。企画シートでは、アウトレットの人気が高く、D席以外のアウトレットは初日で完売となった。

 今年のチケットは鈴鹿F1チケットサイトとローソンのチケット販売サイト「ローチケ.com」、一部の席が「フジテレビF1チケットショッピング」で販売されている。19日正午現在、E席1エリアは鈴鹿F1チケットサイトは完売になっているが、ローチケ.comでは購入可能だ。V2席の完売になったエリアもフジテレビF1チケットショッピングには在庫があったりする。人気の高い席を狙っている方はすぐに諦めず3つのサイトをチェックしよう。

 ここで東コースに関して一部修正をしておきたい。執筆中には気付かなかったのだが、今年の座席配置図と昨年の座席配置図と比較したところ、C2席、R席、S席の仮設スタンドはなくなっていた。R席は大規模な仮設スタンドだったので、席数は大幅に減少する。これにより競争率が高くなりそうだ。

 さて、昨年の西コースのチケットの価格と販売状況、実際に決勝が行われたときの混雑状況をみておこう。チケット状況は○が残数ありで、×が完売、混雑度は★が多いほど混雑しており、★5つが最高となる。

2009年の西コースチケット販売状況

スタンド名価格チケット状況混雑度
G1万1000円×★★★★
H1万1000円×★★★★★
I3万5000円★★★★★
J1万1000円×★★★★★
L1万8000円×★★★★★
M1万8000円×★★★★★
N1万8000円×★★★★★
O3万円★★
P3万2000円★★★★★

 西コースは人気の席が多く、G席、H席(今年は設置されない)、J席、L席、M席、N席が完売となっている。完売とはならなかったが、I席、P席も決勝では多くの観客が入っていた。唯一空席が目立ったのはO席だが、今年は3万円から1万1000円と大幅に値下げされたので、この席も完売になる可能性は高い。

 ちなみに、完売となったG席に空席があったのは、エクストラ・ビューエリアなどに移動して観戦した人が多かったためだと思われる。実際にS字、ダンロップ、デグナー、西ストレートのエクストラ・ビューエリアで決勝を観戦する人が多く見られた。

 ということで、西コースに関しては、O席も含めすべての指定席で争奪戦の可能性がある。その中でもG席2/4エリア、J席、L席、M席は早々に完売になる、と言うのが筆者の予想だ。これらの席を狙う方は販売開始と同時にチケットサイトにアクセスすることをお勧めしたい。

 東コースと同様、なるべく多くの位置からパノラマ撮影を行ったが、実際に座る席は前後左右にズレるので、いざサーキットに行ってみると印象が違うことがある。このあたりはご了承いただきたい。西コースは仮設スタンドが多い。仮設スタンドは現在設置されていないので、本来の位置から撮影することは不可能だ。なるべく近い位置で撮影しているが、実際の仮設スタンドから見るのとは差がある。各スタンドからの写真はそのあたりを考慮して見ていただきたい。

 西コースはデグナーから立体交差をくぐってヘアピン、200Rからスプーン、西ストレート、130Rを抜けシケイン手前までだ。昨年から変更になったのは、G席が4つのエリアに分割されたことと、H席がなくなったことだ。それ以外は昨年から大きな変更はない。ではコースに沿って詳細を解説していきたい。

指定席ロケーション詳細エリアサーキットビジョン大人高校生・大学生子供(3歳~中学生)
G130R・立体交差130R側11万1000円9000円3000円
21万4000円1万1000円
立体交差側31万1000円9000円
41万3000円1万円
Iヘアピン

3万5000円

J200R左側1万1000円9000円3000円
Lスプーン入口1万8000円1万4000円4500円
M中央
N出口
Oバックストレッチ1万1000円9000円3000円
Pシケイン手前

3万2000円

G席
 G席は立体交差を抜けてヘアピンに向かう側の席と、130Rからシケインに向かう側の席に分かれ、それぞれ下段の常設スタンドと上段の仮設スタンドで構成されている。昨年はチケットを入手するまでどの席になるか分からなかったが、今年4つのエリアから選択して購入できる。元々、立体交差側と130R側ではまったく違う観戦ポイントだったので、分割されたことで購入しやすくなったと思われる。

 G席1エリアは130R側の下段、G席2エリアはその上段、G席3エリアは立体交差側の下段、G席4エリアはその上段となっている。下段の1エリアと3エリアは昨年の改修で造られた常設スタンドなので、新しいベンチシートの座席となる。昨年は一律1万1000円だったが、下段の1エリアと3エリアは据え置きの1万1000円、上段の2エリアは1万4000円、4エリアは1万3000円となった。G席には子供席が用意され、価格は3000円なので、家族で見に行かれる方は要チェックの席だ。

 1エリアから見ていこう。1エリアは130Rからシケインに向かう側の下段の席だ。金網があり左右の見通しはあまりよくないため、シケインへの突っ込みを見ることはできない。130R側も進入までは見えないので、ブラインドになったコーナーから突然マシンが現れる感じだ。

 130Rはパッシングポイントだが、競り合い自体はその手前の西ストレートで行われるので、マシンが見えたときには決着が付いていることが多い。競り合った結果コースアウトするマシンも多いが、ブラインドコーナーから突然マシンが現れるので、気を抜いていると見逃す可能性もある。

G席1エリアの右端。130Rのイン側の縁石が目の前に見える。1エリアと3エリアは新しい常設スタンドでベンチシートも新しい
G席1エリアの左端。130R立ち上がりのアウト側の縁石が目の前となる

 2エリアは1エリアの上段の仮設スタンドで、高い位置から観戦できるので、席位置によってはデグナーへ向かうマシンも見えそうだ。さらに2エリアの右端は西ストレートを見ることができる。エリア内の席の位置は選ぶことができないが、もし右端の席が入手できたらラッキーだと思ってよいだろう。

G席2エリアの右端。西ストレートが見えるのは右端だけとなる。仮設スタンド右端は高さがあるので、デグナー付近ももう少し見える可能性がある
G席2エリアの左側。この付近からは西ストレートは見えない

 3エリアは立体交差を抜けてヘアピンに向かう側の下段の席だ。ヘアピンに向かうマシンに加え、左側の席は130Rに進入するマシンがチラッと見えそうだ。右側の席は立体交差下にデグナーの出口が見える。

G席3エリアの左端。立体交差出口に加え、130Rの進入がチラッと見える
G席3エリアの右端。立体交差下からデグナー出口がチラッと見える
昨年のG席の様子。下段が3エリア、上段の小さな仮設スタンドがG4エリア。今年は大きな仮設スタンドに変わる

 4エリアは3エリアの上段の仮設スタンドだが、昨年はわずか4段の小さなスタンドだったが、今年は25段の大型スタンドに変更された。大型化されたスタンドが上に伸びるか下に伸びるかは分からない。もし上に伸びると、パノラマ撮影した高さは仮設スタンドの一番下のあたりなので、上段ではかなり違う印象になる可能性が高い。4エリアは下段でも左端の席なら西ストレートを見ることができる。上段なら多くの席で西ストレートの攻防が見えそうだ。4エリアの1万3000円はかなりお得感のある席になるかもしれない。


G席4エリアの左側。130Rの進入もそこそこ見えそうだ
G席4エリアの右側。ここの仮設スタンドは大型化される。上に伸びれば視界が変わるかも

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/g.pdf

I席
 I席はヘアピンのクリッピングポイントから200R手前まで3つのブロックで構成されている。クリッピングポイントから立ち上がりまでが仮設スタンド。その先が常設スタンド。さらに200R側に仮設スタンドが用意される。

 どのブロックも立体交差からヘアピン立ち上がりまで、比較的長時間マシンを見ることができる。普段の国内レースでも人気の高い場所なので、価格は西コースで一番高い。ただし、昨年200R側の仮設スタンドに入る機会があったが、コースが右側にカーブしているため、それと平行に立つスタンドからは、ややクリッピングポイント付近が見にくかった。

 席を選ぶことはできないが、鈴鹿サーキットのQ&Aには「購入順で上段席より自動割り当てとなります」と書かれている。一般論で上段=よい席と解釈すれば、早く購入すると常設スタンド、クリッピングポイント側の仮設スタンドをゲットできるかもしれない。

 カメラマンシート購入者はI席エリアに入場することができる。I席エリアで空いているのは常設スタンドの左右の土手と最前列の下の金網との隙間だ。このあたりが撮影ポイントとなるらしい。雨が降ると足場がわるくなる場所なので、足まわりの装備に注意が必要だ。

 筆者はカメラマンシートにシークレットポイントとして追加される撮影場所もヘアピンだと予想している。ただしI席ではなく、進入側の土手の部分だ。

I席のクリッピングポイント側。左側の斜面の金網から右側の常設スタンドまで仮設スタンドが用意される。
I席の常設スタンド。国内レースでも多くの観客が入るスタンドだ。正面CASIO看板の上の土手がカメラマンシートのシークレットポイントになると思われる
I席の200R側。昨年は仮設スタンドがコースと平行に建てられ、ヘアピンのクリッピングポイントがやや見にくかった

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/i.pdf

昨年のJ席の様子。今年は左右上下に大型化される

J席
 J席は200Rのアウト側、ヘアピン立ち上がりからスプーン手前までを見ることができる。価格は1万1000円で最安値となっている。昨年は横方向に4ブロック、縦方向に20列だったが、今年は6ブロック、25列に拡大されている。それでも人気の高い席なので、販売開始後に即完売の可能性は高い。パノラマ撮影した写真は大型の脚立に乗って撮っているが、仮設スタンドの最前列くらいの位置なので、上段からはヘアピンなどがもっとよく見えそうな気がする。


J席の最前列付近。仮設スタンド上段からはヘアピンがもっとよく見えそうだ

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/j.pdf

昨年のスプーンの様子。L、M、N席全体がシートで囲われていた

L席
 スプーンカーブは進入側にL席、中間にM席、立ち上がり側にN席の仮設スタンドが用意される。昨年はこの3つの席の外側に幕が張られ、仮設スタンドだけでなく、この地域一帯がチケットがないと入れない指定エリアといった感じになっていた。

 決勝ではスプーン1つ目の進入がパッシングポイントとなる。だが、筆者のスプーン観戦のお勧めは音だ。フリー走行や予選で1台だけ走行するときは、アクセルワークを堪能することができる。スプーン1つ目と2つ目の短いストレートでどれだけ長くアクセルが踏めるか、2つ目の立ち上がりでどれだけ早くアクセルが踏めるか、ドライバー間の差が分かりやすい。

 スプーンカーブは正面ゲートやグランドスタンドから歩くと30分近くかかり最果ての地といった感じだが、昨年新設されたスプーンゲートがすぐそばにあり、その外にはたくさんの駐車場がある。特に関西方面から来る方は、このあたりの駐車場へのアクセスがいいので、ルート、駐車場、指定席を上手く組み合わせるとレース後の渋滞を避けられる可能性も高い。

 3つの指定席を順番に見ていこう。L席はスプーン進入のブレーキングポイントからスプーン1つ目が目の前となる。普段の国内レースでもカメラマンが多く集まる場所で、今年も完売になるだろう。仮設スタンドはブロック数も列数も昨年と同じとなっている。L席は左右席位置が変わっても見え方の差が小さい。その点ではどの席が割り当てられても安心感は高いと思われる。L席はローソンシートとしてローチケ.comでのみ販売される。


L席の左側。曇りならブレーキローターの赤熱が見えるかも
L席の右側。L席は左右に長いが、見える範囲はそれほど変わらない

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/l.pdf

M席
 M席はスプーン1つ目から2つ目までの横に長いエリアに仮設スタンドが設置される。M席の左端はスプーンへの進入を正面から見る位置、右端はスプーン2つ目のあたりで、かなり高台から見下ろす位置となる。座席配置図を見ると昨年と差があるが、実際の視認性は大差がないと思われる。

昨年8月のM席の様子。今年はレイアウトに変更があるが、視認性は変わらないと思われる同じくM席。遠くに見えるスタンドもM席。左右に長いスタンドとなる
M席の左側。左端はスプーン進入が正面に見える
M席の真ん中付近。右側の鉄塔あたりまでM席の仮設スタンドが造られる

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/m.pdf

昨年のN席の様子。今年は大型化される。右側の土手がカメラマンシートのエリアとなる

N席
 国内レースでは滅多に人が行かない場所にあるのがN席だ。普段はスプーンゲートが利用できないので、鈴鹿サーキットで最も遠い場所となり、まさに最果ての地と言った感じ。昨年は4ブロック10列という小さめのスタンドだったが、今年は8ブロック、最大14列に拡大されている。最終的に完売になると思われるが、スプーンの3つの席では一番人気が低くなると思われる。

 カメラマンシート購入者が入れるエリアは当初L席とN席と発表されたが、最終的にはL席とM席の間、N席の左側の土手部分となりそうだ。

N席からはスプーンを見下ろす感じとなる。西ストレートもそこそこ見える

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/n.pdf

O席
 O席は西ストレートに面した席で、昨年はガラガラだったが、今年は3万円から1万1000円に値下げされたので、完売となる可能性がある。昨年は9ブロック、21列だったが、今年は14ブロック、25列とかなり大型のスタンドとなる。

 鈴鹿サーキットで最高速が出るのはこの西ストレートエンドだ。130Rの進入はパッシングポイントなので、超高速バトルを見られる可能性が高い。O席の左側の席ではスプーン立ち上がりからマシンを見ることができる。右端は130Rの進入に加えデグナーも少しだけ見ることができそうだ。

 O席のスプーン側にエキストラ・ビューエリアが用意される。130R側の視界は少々厳しそうだが、O席とほぼ同じ条件で見ることができる。昨年の決勝ではかなりの観客が集まっていた。

O席の左側。スプーンの立ち上がりは見えるが、デグナーは見えない。エクストラ・ビューエリアはさらにスプーン寄りとなる
O席の右側。右端の席ならデグナーが見える。最高速の計時ポイントもこのあたり。130R進入の攻防はこの席がベストだろう

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/o.pdf

P席
 シケインの手前にあるのがP席だ。130Rから立ち上がったところからシケインまで見え、パッシングの瞬間もギリギリだが見えそうだ。昨年は完売にはならなかったが、決勝ではほぼ満席状態となっていた。昨年は11ブロック、最大20列だったが、今年は13ブロック、最大17列とやや横長になった感じだ。この席は目の前のマシンとダンロップからデグナーに向かうマシンを見ることができる。半周ほど差があるマシンを見ることが可能で、レース展開を楽しむことができる。

P席は金網が少々邪魔だが、130Rの立ち上がりからシケイン進入の攻防が目の前となる。ダンロップからデグナーに向かうマシンも見ることができる

・2010年の座席配置図(PDF)
http://www.suzukacircuit.jp/ticket_s/2010/f1/area/image/seat_pdf/p.pdf

エクストラ・ビューエリア
 指定席ではないが、西コースのエクストラ・ビューエリアを2つ紹介しておこう。まず最初はデグナーカーブのアウト側にあるエリアだ。ここはデグナー1つ目から立体交差下までを見ることができる。観戦エリアとコースの間に道路を挟んでいるため、コースまではやや遠い感じだ。昨年は予選で何度もコースアウトするシーンがあり、結果としてエクストラ・ビューエリアとしては最も価値の高いエリアとなった。

デグナーアウト側のエクストラ・ビューエリア。道路を挟むためやや遠いが、昨年の予選ではコースアウトが連発した

 ヘアピンの立ち上がり、200Rのイン側にもエクストラ・ビューエリアがある。J席とはコースを挟んで反対側の位置となる。ヘアピン側もスプーン側もブラインドになるので、J席と違ってマシンが見えている時間は短い。この場所の金網には3つのカメラホールが用意されている。右端のカメラホールは2輪コースのシケインを撮るために用意されたものだと思われるが、200Rを走る4輪マシンも撮ることはできる。

ヘアピンからスプーンに向かう途中にあるエクストラ・ビューエリア。J席の反対側となる
左側にカメラホールが2つ右側のカメラホールは2輪のシケイン撮影用だが、直進するF1マシンも撮ることができる

 以上で西コースの解説は終わりだ。昨年の人気が反映され、G席、J席、N席、O席の席数が増えている。金曜日が自由席になったこともプラスであろう。価格的に魅力のある席も多いので、パノラマ写真なども参考に検討していただきたい。

 西コースのチケットは5月23日10時から販売が始まる。各販売サイトは事前に登録が必要だ。前日には登録を済ませ、万全の体制でチケット争奪戦を勝ち抜いていただきたい。

(奥川浩彦)
2010年 5月 20日