マツダ、新型「プレマシー」発表会
i-stopなどの環境技術で「家族のためのエコデザイン」

2010年7月1日開催



 マツダは7月1日、同日発売した7人乗りミニバン「プレマシー」の発表会を、都内で開催した。

 発表会ではプレマシーの製品概要が説明されるとともに、同社の山内孝代表取締役会長 社長兼CEOが「今年は反転攻勢の年。トップバッターとなるプレマシーは大変重要なモデル」と、新型プレマシーにかける意気込みを語った。

i-stopをアピールする山内CEO

i-stopを土台に、ハイブリッドへ
 プレマシーは1999年に初代が登場したミニバンで、今回発表された新型で3代目となる。日本だけでなく、北米、欧州、中国といった世界の主要市場に投入されており、累計台数83万台を超える“グローバルカー”である。

 3代目の詳細は関連記事に詳しいが、基本的には2代目からのキープコンセプトであり、両側スライドドアと、2列目が2人がけのキャプテンシートにも、3人掛けのベンチシートにもなる仕組みや、マツダ車らしい軽快なドライビングフィールを継承している。

 開発コンセプトが「コンテンポラリー・スマート・チョイス(時代にあったスマートな選択)」、TV CMなどで使われるキャッチフレーズが「家族のためのエコデザイン」と銘打たれるとおり、「環境への貢献を意識するファミリー」をターゲットに、新型では環境性能の向上が大きなアピールポイントとなっている。

 発表会で山内CEOがもっとも長い時間を割いて紹介したのは、新型プレマシーのアイドリングストップシステム「i-stop」。2009年、国内のアイドリングストップ車は前年比6倍に拡大したが、10台のうち9台をマツダのi-stop搭載車という実績を明らかにした。

 またプレマシーの開発主査である松岡英樹氏によれば、すでにi-stopが設定されている車両のi-stop搭載率は、「アクセラ」で47%、「ビアンテ」で実に77%に及ぶと言う。

 同社は環境技術戦略として「ビルディングブロック戦略」を掲げている。これは「ベースとなる内燃機関の技術を磨き上げ、その上に電気デバイスを段階的に積み上げることで、環境技術を進化させていく」(山内CEO)というもので、電気デバイスとしてはブレーキエネルギー回生システム、ハイブリッドシステム、プラグインハイブリッドが予定されている。山内CEOはその中でも「istopは土台となる重要な技術のひとつ」とし、今後、搭載車を拡大していくことを表明した。

i-stopはビルディングブロック戦略の土台非常に高いアクセラ、ビアンテのi-stop装着率新型プレマシーのラインアップ。FF車はすべてエコカー減税対象に
月販目標は1800台発表会前、山内CEOは同社工場で起きた暴走事件について説明した

 

松岡主査(右)と田畑チーフデザイナー

4つのキーは「デザイン」「環境」「機能性」「走り」
 松岡主査によれば、新型プレマシーのキーは「魅了するデザイン」「環境への優しさ」「考え抜かれた機能性」「上質で気持ちのよい走り」の4つ。

 デザインはやはり、同社量産車初の「NAGARE(流れ)」コンセプトがそのキモ。水の流れをイメージした造形は、ボディー外板だけでなく、インテリアにも適用されており、メーターカウルの頂点から室内全体へ波紋が広がる様を、ダッシュボードの造形やシートの縫製パターンで表現したという。

 チーフデザイナーの田畑孝司氏は「ミニバンのデザインはフラットになりがちだが、革新的で表情豊かなボディ造形を心がけた」と言う。

 環境関連では、先述のi-stopのほか、貴金属の使用量を削減したシングルナノ触媒、FF車全モデルへのエコカー減税適用がある。

 機能性では、「コンパクトなサイズのパッケージングとミニバンの機能性」をアピール。とくに安全性と快適性の改善に重点がおかれ、カラクリ7thシートのシートベルトが3点式になったこと、電動スライドドアにはタッチセンサーによる安全機構が組み込まれていることなどが説明された。

フロントマスクからボディーサイドのプレスラインで水の流れを表現。フロントタイヤを岩、サイドマーカーランプを小石に見立て、波紋が起こる様を表現
ヘッドランプクラスター2リッターの直噴エンジン
2列目シート中央がカラクリ7thシート。「6+1」というコンセプトが表すとおり、緊急用の位置づけだが、クッションが厚みを増し、シートベルトが3点式になった。7thシートのシートバックはアームレストになる
カラクリ7thシートの座面は助手席側の2列目シート下に収納でき、収納するとキャプテンシートになる
運転席側2列目シートの下にはトレーが格納されている3列目シート
3列目シートを立てた状態のラゲッジスペース。床下に工具とスペアタイヤが収納される
3列目シートを倒した状態2列目シートを倒した状態。2列目シートを倒すときは、座面を前に持ち上げておく必要がある両側スライドドアの開口部
3種類のインテリアがあるが、いずれも縫製パターンで流れを表現している
1列目シート助手席の脇に格納されているドリンクホルダー天井のグラスホルダースポーティーな雰囲気のメーターパネル
5速ATはマニュアルモード付きメータークラスター右下の電動スライドドアコントロールi-stopと横滑り防止装置のキャンセラ-はインストルメントパネル右端に

(編集部:田中真一郎)
2010年 7月 1日