パイオニア、NTTドコモと協業しスマートフォンをカーナビ化するクレイドル
ナビアプリ「ドコモ ドライブネット powered by カロッツェリア」も提供

協業を発表したパイオニアの小谷進社長(左)と、NTTドコモの辻村清行副社長(右)

2010年10月5日発表



 パイオニアとエヌ・ティ・ティ・ドコモは10月5日、幕張メッセで開催されているアジア最大級のIT・エレクトロニクス展示会「CEATEC JAPAN 2010」会場において、「ドコモ ドライブネット」サービスの協業を発表した。パイオニアは通信ナビアプリの開発と、スマートフォン専用車載クレイドルの開発と提供を行う。サービスの開始は2011年3月末を予定している。

 ドコモ ドライブネットはNTTドコモのネットワークを通じて、最新の地図情報、観光情報、駐車場の満空情報などのエリア情報を通信で提供するドライバー向けの情報提供サービス。そこに、パイオニアが開発した通信ナビアプリ「ドコモ ドライブネット powered by カロッツェリア」が提供される。

 さらに、パイオニアが開発するスマートフォン専用車載クレイドル「スマートクレイドル」にAndroid端末を取り付けることで、専用のGPS、加速度センサー、ジャイロセンサーを持ったカーナビになる。アプリとカーナビは別々に提供され、クレイドルが持つ機能が不要ならば、スマートフォンにアプリだけをインストールして利用することも可能となっている。

スマートクレイドルに搭載したスマートフォン(Android端末)Android端末の展示として、ソニー・エリクソンのXPERIAを装着していたが機種限定ではない道案内中の画面
クレイドルは汎用となっており、XPERIA以外の機種も装着可能回転部分があり、ヨコ位置、タテ位置ともに設置できる。円形部分にGPSアンテナを内蔵予定と言う回転させたところ
Androidアプリで提供され、起動は画面のアイコンから目的地検索画面

 提供される通信ナビアプリには、パイオニアがカロッツェリアブランドで展開するカーナビエンジンをスマートフォンに最適化して搭載。位置精度は車載カーナビと同等としている。目的地までのナビゲーション機能のほか、VICSやそれにプラスしてスマートループ渋滞情報を提供する。地図は、最新地図をサーバーに収録、必要に応じてダウンロードして利用する方法となる。

 通信料金は現在のスマートフォンの利用に含まれるものとし、情報料金は現在検討中。

 クレイドルにはGPS、加速度センサー、ジャイロセンサーのほか、「エコ運転支援」としてLEDが赤や緑に点灯する機能を持つ。クレイドルとスマートフォンとの接続は、Bluetoothで行われ、対応スマートフォンはAndroid 2.1以上のものになる予定。スマートフォンはタテ位置、ヨコ位置ともに回転させて利用できる。さらにBluetoothハンズフリー機能や、ガイド音声の自動音量調整機能を持っている。

 なお、クレイドルの価格は未定。パイオニアによれば、センサーを搭載した分のコストがかかるため、それに沿った価格になると言う。販売チャンネルも現在検討中とのこと。

 発表会では、パイオニアの小谷進社長がクレイドルと組み合わせたスマートフォンを「本格的なカーナビ」と評価、「市場をリードする、新ビジネスモデルを構築していく」と自信を見せた。

 具体的な取り組みとして、10月1日付けで新組織の「情報サービスプラットフォームセンター」を立ち上げ、個別組織で活動していた研究開発部門や子会社のインクリメントPの技術者を結集させたことを挙げた。

 また、NTTドコモの辻村清行副社長は今回の協業をスマートフォンの展開に関するものとし「通信とナビが融合した新しいカーナビの世界を提案したい」と話した。ドコモ ドライブネットの特徴として、駐車場の満空情報、ガソリンスタンドの価格情報、グループ位置共有などを挙げた。

 特にグループ位置共有機能はカーナビでは初めての機能とし、ドライブネットを利用している人同士なら、メンバーの現在位置をお互いに表示できるというもの。辻村氏は「安心で快適なドライブに役に立つサービスだろう」と評価した。

パイオニアの小谷進社長スマートフォンナビの加入者は増えると予測パイオニアの優位性を活用したスマートフォンへの対応
具体的な取り組み本格的なカーナビを強調している提供される機能
NTTドコモの辻村清行副社長NTTドコモのこれまでの取り組みドコモ ドライブネットの中でも、今回はスマートフォンが対象
ドコモ ドライブネットの特徴ガソリンスタンドの情報が得られるグループ位置共有機能では、メンバーの現在地が地図に表示される

 会場では、クレイドルの位置情報精度をアピールするビデオを上映、2台のスマートフォンを並べ、クレイドルの機能の有無による自車位置のズレの違いを示した。

(正田拓也)
2010年 10月 5日