IT・エレクトロニクス関連の総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」が開幕
EV「リーフ」の実車展示や、EV周辺製品の将来展示など

IT・エレクトロニクス関連の総合展示会「CEATEC JAPAN 2010」

2010年10月5日~9日開催
(5日:特別招待日、6日~9日:一般公開日)
入場料:1000円(一般)、500円(学生)
※事前登録で無料、9日は無料



 10月5日、幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)において、IT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN(シーテック ジャパン) 2010」が開幕した。CEATEC JAPAN 2010は、最新の3Dテレビや携帯電話などから、半導体デバイスまでが展示されるアジア最大級のイベントだが、本記事では自動車関連の展示に絞ってお届けする。

 CETEC JAPAN 2010は、エレクトロニクス関連製品の展示会だけあって、日産自動車が電気自動車(EV)「リーフ」と、充電器などEV環境の展示を行ったほか、カーナビや自動車関連の電子パーツの展示が行われていた。

日産はリーフの実車展示や、EV社会の提案
 自動車本体メーカーで展示ブースを設けたのは日産自動車。「スマートグリッドイノベーション2010」の1コーナーとして自社ブースを展開していた。EV「リーフ」の実車展示だけでなく、充電管理や家電の電力利用状況を確認できるスマートハウスとの連携を展示。さらに、EV用バッテリーを再利用した家庭用蓄電システムを展示した。

 また、EVが走行する未来の街の情景をディスプレイし、走行中に充電ができるレーンがある道路や充電スタンドなど、EVを取り巻く社会インフラを再現、EVに見立てたミニチュアが街を移動するというデモが行われていた。

 現実的な展示のほかに、未来展示として葉の部分にソーラーパネル、幹にバッテリーを内蔵した「ソーラーの木」を参考展示した。木の根元には非接触充電ゾーンを設け、ロボットカーのEPORO(エポロ)が走行する。再生可能なエネルギーを動力とするゼロエミッションを表現していると言う。

実車展示された「リーフ」。ほぼ量産型仕様室内メーターパネルまわり
ナビゲーションシステム近くの充電設備を調べることができる充電せずに到達できるエリアの目安も地図で表示できる
シフトスイッチまわり。EVなので小さ目意外に深いリアのラゲッジスペース展示されたリーフの充電設備。200Vコンセントに装着する
リーフのバッテリーを再利用した家庭用蓄電システム「ソーラーの木」のコンセプトイメージ根元が非接触充電エリアとなっており、ロボットの充電ができる
電気自動車が走る街をイメージしたジオラマ走行中に充電ができる道路のイメージ充電スタンドでは、ケーブルを接続するタイプと、非接触充電タイプが用意されている

パイオニアはEVの特性を活用したオーディオコンセプト展示
 パイオニアは、同社のカーオーディオ、カーナビブランドである「カロッツェリア」の市販品のほか、参考出品としてスマートフォンをカーナビ化するクレイドルを出展。音楽を楽しめる空間として「Music EV concept」を参考出展した。

 クレイドルについては、すでに記事として掲載したので、関連記事を参照いただきたい。

 「Music EV concept」は、三菱自動車のEV「i-MiEV」をベースにAV環境を構築したもの。アクセサリー類の電気使用量が走行距離に影響を及ぼすEV向けに、低消費電力化および軽量化を図ったシステムで、低音部にはシートを振動させるシートスピーカーを採用。従来のスピーカーよりも大幅に低消費電力化、軽量化を実現すると言う。

 また、エンジン音のないEVの静粛性を活かし、走行中の音楽再生が充実するほか、アイドリングの必要がないため、バッテリー電力は消費するものの、排気ガスを出さずに音楽が楽しめる。また、その排気ガスが出ないという特性により、部屋の中にEVをまるごと収納すれば、専用のオーディオ環境としても活用できると言う。

 具体的な市販予定は、現在のところ未定だ。

i-MiEVがベースの「Music EV concept」。EVならではの車内環境で音楽を楽しめる音楽を楽しめるクルマであることをパフォーマンスで表現していた軽量・低消費電力でも低音を楽しめるMusicシート

EVの基幹部品や、EV関連の展示も豊富
 CEATECでは、3D対応のテレビなどAV機器の展示が注目されがちだが、エレクトロニクス関連の技術や部品などの展示も豊富。EV用バッテリーや、EVの充電技術などの展示も多く見受けられた。

 パナソニックでは、EV用バッテリーをはじめ、電源システム、熱システム、運転席のインターフェースなどを総合展示。広範囲なエレクトロニクス製品を扱うパナソニックの技術シナジー効果を強調していた。

 KDDIでは、将来、大規模駐車場などでEVの充電が同時に行われるといったことを想定。充電のタイミングや充電量を通信回線を使って調整するシステムを提案した。実際の充電パターンは今後の課題としているが、使用頻度などを自動で判断して充電の優先順位を決めるなどが想定されていると言う。また、公共の場所でにある充電施設から、充電状況を携帯電話で通知するシステムなども展示された。

 アルプス電気では、車内でのスマートフォン利用拡大を想定。ステアリングに付けるパッドを展示した。スマートフォンの画面をさらに大きく表示するディスプレイとセットで、今後スマートフォンとの接続インターフェースの規格策定や、運転中の利用についての法規の整備などを踏まえて実用化を検討している。

 フォルテクスブランドのスピーカーで知られるフォスター電気では、軽量でありながら高音質なスピーカーを展示していた。高音質スピーカーには、その特性から大きいサイズや、重量のあるスピーカーが有利となるが、エコカーのために軽量化しながらも音質の良好なスピーカーが必要との需要に応えたもの。採用の動きも広がっていると言う。

パナソニックでは、EVを関連製品を展示。EVに利用される電装品類と充電器リチウムイオン電池も同社の製品車載用リチウムイオン電池モジュールの展示。サンヨーのブランドロゴも見える
KDDIは将来の充電システムを提案したアルプス電気は、スマートフォン向けのステアリングタッチパッドを提案した。パッドだけでなく大きな操作画面とセットのシステムとなる
アルプス電気は、オーバーヘッドコンソール部からアームレスト部に取り付けるものまで、さまざまな車載用ディスプレイの提案を行ったフォスター電気は薄型軽量のウーハーを展示。実際に重さを確かめられる
樹脂製のフレームを持つスピーカー。軽量タイプナビタイムは通信カーナビ「CAR NAVITIME」を大々的に展示。操作を体験できる携帯電話との情報連携が試せる
EVの普及に備え、アルバックは新型の充電器をi-MiEVとセットで展示したNHKとJEITAが地デジをアピールする「なっとく!デジタル・エコハウス」。家の前にi-MiEVが展示されていた電動アシスト自転車「e-bike i-MiEV version」も置かれている

i-MiEVの試乗コーナーも用意
 今回、三菱自動車工業はブースを構えていないが、i-MiEVの試乗コーナーを設け、一般来場者が試乗できるようにしている。

 幕張メッセのホール3に「EV試乗会」というコーナーが設けられ、受付をすると、指定の時刻にあらかじめ定められたコースを1周できる。ただし、大変な人気となったため特別招待日でもすぐに予約が埋まってしまったと言う。

 一般公開日では、さらなる混雑が予想される。試乗希望者は開場後すぐに予約に向かったほうがよいだろう。

EVの試乗受付はホール3にある試乗にはi-MiEVが使われている充電中のi-MiEV

(正田拓也)
2010年 10月 5日