ルノー、ファッショナブル&ラグジュアリーの「ルーテシア ゴルディーニ R.S.」
ゴルディーニブランド復活、即日完売

左からラニョッティ氏、大極COO、カルカ氏

2010年10月22日発表
334万円



 ルノー・ジャポンは10月22日、「ルーテシア ゴルディーニ ルノー・スポール」の発表会を、都内で開催した。価格は334万円。30台限定だが、すでに完売している。

 同社は都内で発表会を開催。ゲストに元ラリードライバーのジャン・ラニョッティ氏が登場した。

ファッショナブル&ラグジュアリーなR.S.の高級版
 ルーテシア ゴルディーニ ルノー・スポール(R.S.)は、ルーテシア R.S.の上級バージョンに位置づけられ、これまでのR.S.車両と同じ動力性能に、「ファッショナブル」と「ラグジュアリー」の要素を加えたもの。ルーテシア R.S.の豪華バージョンということになる。3月のジュネーブショーで発表され、本国では7月から販売されている。

 メカニズムはルーテシア R.S.と同じで、最高出力148kW(202PS)、最大トルク215Nm(21.9kgm)の直列4気筒2リッターDOHCエンジンをフロントに横置きし、6速MTを介して前輪を駆動。ブレーキはブレンボ製で、前が直径312mmのベンチレーテッドディスクと4ピストンキャリパー、後が直径300mmのソリッドディスクにシングルピストンキャリパーとなる。

F1タイプのエアインテークフィン、リアディフューザー、大型のリアスポイラーなど、基本的にベースのルーテシア R.S.と同じだが、専用のカラーをまとう
専用ホイール。本国での標準はリムが黒いが、日本仕様はブルーにエアインテークフィンはホワイトに大型のリアスポイラー
フロントからルーフ、リアへ続く2本のストライプには、「G」マークがエンボスで入る
ミラーもホワイトになるゴルディーニシリーズのバッヂはリアホイール前にルノー・スポールチューンのエンジン

 なおルーテシア R.S.の「エディション・リミテ・ヴァンタン」ではモータースポーツユースにも耐えるカップ・シャシーとなっていたが、ゴルディーニはラグジュアリーバージョンというクルマの性格から、ややマイルドなスポーツ・シャシーを選んだ。

 ルーテシア R.S.と異なるのは装備。国内に導入されたルーテシアとしては初めて、レザーシートを装備。ツートンで、ゴルディーニロゴが入った専用のもので、シルバーのステッチは往年の名車、ルノー8ゴルディーニのそれを再現したという凝りようだ。

 ボディーは専用カラーの「ブルー マルト メタリック」で、「G」のエンボスロゴが入ったホワイトストライプが入り、フロントエアインテークのF1タイプフィンもホワイトになる。また専用17インチホイールもリムがブルーに塗られる。

 このほか、ホワイトセンターポイント入りのレザーステアリング、ゴルディーニロゴ入りのアルミシフトノブと、ブルーレザーのシフトブーツ、ゴルディーニロゴ入りフロアマット、シリアルナンバー入りゴルディーニステッカーなどを備える。

ブラックを基調にブルーの差し色が入ったインテリア。ステアリングのホワイト・センターポイントが鮮やか2トーンのレザーシートは、8ゴルディーニ時代のステッチを再現したと言う
リアシートもレザーで、デザインを統一専用レザーステアリング
アルミシフトノブとレザーブーツも専用ペダルはアルミゴルディーニのシリアルナンバー入りステッカー

 発表会で同社の大極司COOは、同社の好調を「FTS戦略」が支えたと切り出した。FTSとは「フレンチタッチ」「トレンディ」「スポーツ」の頭文字をつないだもの。この3つの要素を商品や販売、コミュニケーションすべてに盛り込み、ルノーのブランドイメージを構築していく。

 今回発表したゴルディーニは、「まさしくFTSを支える代表的なモデル」「ブランドの要素が凝縮された戦略上重要なモデル」「ブランドイメージの象徴」と言う。

 FTSのスポーツに関してはベース車両のルーテシア R.S.で折り紙付きだが、フレンチタッチとトレンディは、デザインが担うと言う。実例としてGマークがエンボスで入ったストライプや内装をあげ、「フランスのファッションはちょっとしたところにこだわって作り上げていくもの。機能性とファッションをうまく融合させるのがフランス流」と、ルーテシア R.S. ゴルディーニを説明。またアパレルやアクセサリーなどを用意し、ファッション方面でもゴルディーニブランドを展開する。

大極COOゴルディーニのアパレルやアクセサリーも用意する

 

カレカ マーケティング・ディレクター

最後のルーテシア R.S.
 続いて、仏ルノー・スポールのジャン・カルカ マーケティング・ディレクターが登場。「ゴルディーニは、ルノー車のエンジンをチューニングし、スポーツカーを作り上げてきた。しかし新しいゴルディーニは、現行ルノーの中でスポーツ性能がもっとも優れた現行車をベースとし、以前より若い層や女性をターゲットとし、ファッションとラグジュアリーの方向で復活した」とゴルディーニブランドを説明。「競合車よりレトロなデザインで昔のブランドを再利用した。アバルト500よりパワーがあり、MINIクーパーSよりコストパフォーマンスが高い」。

 カルカ氏によると、ルノー・スポールの売り上げは9月末で前年比72%増。2009年に1万台だった年間販売台数は、2010年は3万3000台を見込む好調ぶりだ。

 そんな中で日本は、全世界での売り上げの9位に入る健闘を見せた(ちなみに2009年は16位)。カルカ氏が「この日本での成績は、メガーヌ R.S.なしでのもの」と言うとおり、日本での好調をささえるのがルーテシア R.S.。ドイツでの9月末までの台数が260台なのに対し、日本では366台を販売している。

 実はルーテシア R.S.は、8月生産分をもって日本への輸入が終了となっている(ルーテシアは継続)。これは歩行者保護基準が9月からルーテシアクラスの輸入車にも適用されるようになったためで、これをクリアしたルーテシア R.S.は、次期型の登場を待たねばならない。つまりルーテシア ゴルディーニ R.S.は、最後の現行ルーテシア R.S.ということになる。

 通常、本国での生産開始から国内導入は3カ月はかかる。それでは前述の規制にひっかかるため、当初、日本の関係者はゴルディーニの国内導入は間に合わないものと考えていたと言う。しかし、ルノー・スポールが7月に前倒しで日本仕様を生産したため、導入が間に合った。この裏には、日本でのR.S.の売れ行きが無視できない規模になったから、という事情があるようだ。

 ルーテシア ゴルディーニ R.S.は残念ながら発表とともに売り切れているが、ルーテシア R.S.のほうはまだ購入可能だ。

 また、本国ではトゥインゴのゴルディーニ R.S.が登場しているが、これも2011年には国内に導入される予定と言う。

ラニョッティ氏

ラニョッティ氏の思い出
 ゴルディーニはルノーのチューナーとして有名なブランド。1958年にアメデ・ゴルディーニが創設、ドーフィンやオンディーヌ、8、12、17などをチューンして送り出したほか、アルピーヌA110などにゴルディーニ製のエンジンを供給。ル・マン24時間レースやF1参戦車両にもエンジンが搭載されており、数々の優勝を遂げるなど、モータースポーツでも活躍した。

 そのゴルディーニを知る人物が、この発表会のスペシャルゲストである、ジャン・ラニョッティ氏だ。ラニョッティ氏は元WRCドライバーでルノースポール専属ドライバー。23日に開催される「ルノー・スポール・ジャンボリー」のために来日した。

 ラニョッティ氏は「初めて乗ったのは1967年、ルノー8ゴルディーニ」と思い出を語った「ゴルディーニの創設者のアメデ・ゴルディーニとは、1970年代から亡くなるまでよい友達だった。優しく面白い人だった」と思い出を語った。

 8ゴルディーニは3年乗ったが「当時のクルマは運転が難しかった。しかし、8ゴルディーニは多くの有名ドライバーを生み出した。新しいゴルディーニは安心して飛ばせる車になった」と述べた。

 モータースポーツにゆかりの深いゴルディーニブランドだが、ラニョッティ氏は8ゴルディーニの後継車となったルノー5アルピーヌで、1978年のモンテ・カルロ・ラリーに出場したときの思い出を語った。「5アルピーヌはコンパクトで操縦しやすかったし、ミシュランから優れたタイヤを供給されていた。全長25kmのSS(スペシャルステージ)で、当時トップドライバーだったワルター・レアルのアバルト131から1分遅れでスタートしたが、途中でレアルに追いついて挨拶したよ。向こうはカチンときてたね」。

 また、1981年のモンテ・カルロでは、5ターボでSS最後のコーナーで雪の壁にヒット、助手席の窓ガラスを割り、ドリフトしながらゴールして優勝したエピソードも披露した。

(編集部:田中真一郎)
2010年 10月 22日