NEXCO東日本、常磐道 いわき四倉IC~広野IC間の通行止めを解除
広野IC~常磐富岡IC間は、「リスク判断をしてから」

NEXCO東日本代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏

2011年4月28日開催



 NEXCO東日本(東日本高速道路)は4月28日、定例記者会見を開催した。この定例記者会見では、3月の同社の営業概要、新規開通区間の交通量について、道路の復旧状況についてなどが、同社代表取締役会長兼社長 佐藤龍雄氏から発表された。

通行止め区間について
 佐藤社長は、常磐自動車道 いわき四倉IC(インターチェンジ)~広野IC間の通行止めを4月28日13時で解除したことを発表。残る通行止め区間は、常磐道 広野IC~常磐富岡ICとなるが、この区間は福島第一原発から半径20km以内になることから、作業に着手していないとする。

 「東京電力から(福島第一原発近くの)常磐道 広野IC~常磐富岡IC間の開通の要望が届いている」「(原発事故の収束作業に)多数の機材の搬入が必要なため、(高速道路が必要という)要望は理解できる」としながらも、「これに関しては、被曝の問題などもあり我々だけで判断できない」と言い、関係省庁と企業の従業員が将来においても安全であるというリスク判断をしてからになるとの見通しを示した。また、そもそもNEXCO東日本は、放射線を計測する線量計はあるものの、防護服は手配中のため、20km圏内の作業に取りかかれる状況にはない。

3月の利用状況について
 同社管内の3月の営業概要については、通行台数は対前年比で83.3%、料金収入は71.6%といずれも減少。理由としては東日本大震災の発生があり、SA(サービスエリア)/PA(パーキングエリア)の売上高も低下している。ただし、ガソリンスタンドについては、売上高が145.3%となり増加。これは、ガソリン価格の高騰と、給油回数の増加があり、とくにディーゼルエンジンが搭載される緊急車両で使う軽油が伸びたと言う。また、一般道ではガソリンの需給が逼迫したため、「高速道路ならガソリンがあるのではないか」と思った人が多く、それが売上げ増につながっていると言う。

 また、3月20日に開通した北関東自動車道(北関) 太田桐生IC~佐野田沼IC間、3月27日に開通した中部横断自動車道 佐久小諸JCT(ジャンクション)~佐久南IC間については、「開通についてのセレモニーは震災発生に伴い見送った。北関については計画交通量を上回る結果、中部横断道については下回る結果となった」と発表した。とくに北関では、東北自動車道と関越自動車道が結ばれたことから、太田薮塚IC~太田桐生IC間は前年比132%、佐野田沼IC~岩舟JCT間は181%と大きな伸びを示している。

ゴールデンウィーク期間の渋滞予測について
 ゴールデンウィーク期間(4月29日~5月9日)の渋滞予測は、すでに4月14日に発表されており、10km以上の渋滞は335回、30km以上は30回となっている。ただし、今年は震災の影響もあることから、東北道、常磐道、磐越自動車道の予測を行っていない。

 東北道、常磐道、磐越道を除いた前年との比較では、10km以上の渋滞が14回減、30km以上の渋滞が7回減と、若干の減少を見込んでいることになる。

 東北地方の旅行に関しては、「報道では(東北の)サービス産業の元気がなくなってしまうという状況が言われている。一番効果的な支援として、東北地方の観光地へ行っていただきたいと思っている」と述べ、渋滞予測を出せなかったものの、その利用を推奨した。

 同社では、SAやPAで地元の特産品などを積極的に販売しており、復興支援策として、ゴールデンウィーク期間に販売拡大も行っていく。

電力使用削減について
 電力使用の削減についても、政府の方針を受けて積極的に取り組んでいく。具体的には、本線の照明の削減、SA/PAの空調設定温度の引き上げ、自動販売機の稼働削減を行うほか、オフィスでの定時退社の強化、空調温度設定の引き上げを行う。これらにより25%の電力使用量の削減を見込んでいる。ただ、道路などの照明については、「最低限、安全・安心を確保することを前提に実施していく」と述べた。

 高速道路の利用に関しては、震災で壊れた道路の応急復旧は終わっているものの、本格復旧はまだ終わっていないため、各所で速度規制が行われている場合がある。今後交通量の増加が見込まれることから、「ラジオやインターネットなどで道路情報を確認し、高速道路を利用してほしい」と語った。

(編集部:谷川 潔)
2011年 4月 28日