スバル、次期インプレッサを国内で初披露
全長全幅は変わらず、ホイールベースを延長

ニューヨークショーで発表され、国内でのお披露目は初の次期インプレッサ

2011年5月16日開催



 スバル(富士重工業)は5月16日、報道関係者を対象とした新型インプレッサの説明会を行った。すでにニューヨークショーで発表されているものであるが、国内でお披露目されるのはこれが初。

富士重工業 スバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの竹内明英氏

 展示された車両は北米仕様の4ドアセダン。そのため細部は国内発売モデルとは異なるとのこと。壇上に立ったスバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーの竹内明英氏は、まずこの展示車が、震災後に生産されたモデルとのことで、「復興に向けての準備は整っている」と切り出した。

 竹内氏は、現在のクルマを取り巻く環境が大きく変わっていると述べた。ユーザーの環境意識だけでなく、法規や税制も変わり、燃料価格がグローバルで上がっている。さらにライフスタイルも変化し、インターネットを使えば、外に出ることなく買い物も済んでしまうと述べ、そうした中でクルマがどう進化すべきかを考えたとき、求められるのはプレミアム感ではなく、クラスを超えたバリュー感が必要だとした。

 そうした中、新型インプレッサが開発コンセプトに掲げたのは「環境性能」と「走る愉しさ」のさらなる追求だと言う。

 環境性能については、すでにフォレスターで採用されているFB型エンジンを搭載。さらに従来北米仕様のインプレッサでは2.5リッターがベースとなっていたが、今回はグローバルで見ても2リッター以下の自然吸気のみの設定だと言う。さらにレガシィではすでに採用されているCVTをインプレッサ向けに最適化して搭載。空力性能や軽量化、フリクションの低減などもあわせ、米国で販売されているAWD(4WD)の中ではトップレベルの燃費性能を実現したとした。

展示されたのは北米仕様の4ドアモデル
全長は従来モデルのまま、ホイールベースを25mm延長ホークアイと呼ばれるスバル車らしいヘッドライトデザインヘキサゴングリルとスプレッドウイングもスバル車らしいアイデンティティ
エンジンはフォレスターから採用されたFB型エンジンの2リッター版を搭載エアインテークは、エンジンルーム内の熱気を吸わないための隔壁が設けられるエアインテーク前側のグリルにはフタがされている。これは走行風により気流が乱れて吸気効率が下がるのを防ぐため
マフラーはシングル出し写真右がフロント、左がリア

 走る愉しさについては、スバルならではのシンメトリカルで低重心なAWDシステムに加え、今回自然吸気のインプレッサとしては初めてパドルシフトを採用している。

 ボディーサイズは全長、全幅ともに従来モデルと同じとしながら、ホイールベースを25mm延長。さらにAピラー下端も前方へ200mm移動させることで、室内空間を拡大している。拡大した室内長はそのすべてを後席のスペース確保に使ったとのこと。さらに、前席の座面の高さを上げ、座席下の空間を広げたことで、後席の足入れ性能も上げられた。このため、足から座面までの距離ではレガシィに匹敵するサイズを確保しているとのこと。また、サイドシルの高さを20mm下げており、乗降性も向上している。

インストルメントパネル全景。随所にソフト素材を使い、質感を大きく向上させているAピラーの位置変更により奥行きの増えたダッシュボード。前後左右に広がり感のあるデザインとしているシートバックを改良し、快適性を向上した前席
ヘッドレストはチルト式を採用するサイドシルの高さを20mm下げることで乗降性を向上している
リアシート中央席にもしっかりとしたヘッドレストが付くアームレストにはドリンクホルダーを装備
室内長が増えたことで、後席のニースペースにゆとりが増えたシート下に足が入れられるので、その分足元のゆとりが増えるメーター。北米仕様のため、スピードメーターは外側がマイル表示となる
CVTはマニュアルモードを持つが、セレクトレバーによるマニュアル変速はできないマニュアル変速は、インプレッサの自然吸気エンジン搭載車として初の装備となるパドルシフトで行う運転席側ドア(北米仕様のため左ドア)のスイッチまわり
VDCのスイッチもあるエアコンダイヤルにはメッキリングが。左右独立エアコンなどは付いていなかった前後にスライドしてアームレストにもなるコンソール
中にはカードやペンを収納できる場所が用意される。また、USB接続端子や映像入力も可能なAUX端子も持つシートヒーターが装備されていたAピラーが前方に200mm移動したため、ドアには三角窓ができた
三角窓はドア側に付くためピラーを細くでき、死角は少ない

 トランクのスペースも大容量が確保されている。4ドアモデルにおいても後席が6:4分割可倒式となっており、長尺ものも収納可能なユーティリティ性能を確保。また、トランク床面も下げられていて、テンパータイヤだけでなく、ノーマルサイズのタイヤも収納できるスペースが確保されていた。

 そのほかにも、現在では一部の高級車にしか採用されていないチルト式のヘッドレストを採用。スライドしてアームレストにもなるセンターコンソール内にはペンホルダーやカードホルダーを用意。サブトランクにアクセスしようとトランク床板を上げる際、床板から手を離しても閉まらないように工夫するなど、まさに価格を超えたバリューが随所にちりばめられたクルマとなっている。

広々とした荷室。後席シートバックを倒すことで、ワゴンと同じように広い床面積を確保できる。シートバックは6:4分割で倒すことが可能だ
トランクヒンジもトリムで覆われる。こうした部分にもクラスを越えた高級感が感じられるこれはトランク内側から開けられるレバートランクの床板を上げるとサブトランクが現れるが、注目なのは床板が折り曲がって自立するようになってること
撮影車はテンパータイヤだったが、国によっては標準タイヤを収納する必要があるため、それだけの深さが確保できていると言う

(瀬戸 学)
2011年 5月 17日