アウディ、スポーティ性と実用性を融合した「A7 スポーツバック」発表会
アウディの新技術全てを搭載した、世界で一番美しい5ドアサルーン

A7 スポーツバックとアウディ ジャパン大喜多寛社長

2011年5月17日開催



 アウディ ジャパンは、5月17日に発売を開始した5ドアサルーン「A7 スポーツバック」の発表会を、都内で開催した。

 A7 スポーツバックは、昨年7月に独アウディAGが発表したモデルで、クーペが持つスポーティさとエレガントさ、セダンが持つ快適性、ステーションワゴンの持つ実用性を兼ね備えた、新基軸のラグジュアリーモデル。アウディ100 クーペSをルーツとしており、開発コンセプトは「360° エモーショナル エクスペリエンス」。

 同じ思想を持つ「A5 スポーツバック」と比べ、ボディーサイズは280mm長く、55mm広く、40mm高い4990×1910×1430mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは105mm長い2915mm。

 エクステリアデザインは、長いボンネットや直線的なショルダーライン、鋭くスロープするリアの造形がA7 スポーツバックならではのダイナミックなスタイリングを実現するほか、躍動感を感じさせるルーフラインがスポーティクーペのキャラクターを主張する。

 「A7 スポーツバック 3.0 TFSI クワトロ」の1グレード構成で、エンジンはV型6気筒DOHC 3リッターに最大0.8バールの過給を行うスーパーチャージャーを組み合わせ、最高出力220kW(300PS)/5250-6500rpm、最大トルク440Nm(44.0kgm)/2900-4500rpmを発生。トランスミッションはデュアルクラッチAT「7速 Sトロニック」を組み合わせ、クワトロシステムによって4輪を駆動。

 クワトロシステムは、通常時はフロント4:リア6のトルク配分となり、路面状況にあわせて7:3から15:85の範囲で制御を行う。

 燃費対策にも積極的で、アイドリングストップ機構「スタートストップシステム」や、走行中の余分なエネルギーを蓄え、加速時のエンジン負荷を低減させる「エネルギーリカバリーシステム」などを搭載することにより、10・15モード燃費10.2km/L、CO2排出量228g/kmに抑えた。

アルミ素材を使ったインテリジェントライトウェイトボディー構造を採用するA7 スポーツバック。ボディーサイズは4990×1910×1430mm(全長×全幅×全高)
テールゲートはこのように高く開き、荷物の出し入れを容易に行うことができるLEDヘッドライトは、ポジショニングランプに18個、ウインカーに11個のLEDモジュールが使われる
標準装備の10スポークデザインアルミホイールは255/40 R19インチとの組み合わせ。オプションで20インチアルミホイールも用意される夜間の運転視界をサポートする「ナイトビジョンシステム」(オプション)用のカメラは、グリル部のフォーリングス(向かって一番右側)内に収まるV型6気筒DOHC 3リッター スーパーチャージャーは最高出力220kW(300PS)/5250-6500rpm、最大トルク440Nm(44.0kgm)/2900-4500rpmを発生
テールランプはテールゲート上部にも用意される高速走行時にせり上がってダウンフォースを得られる「電動リトラクタブルリアスポイラー」を標準装備
インテリアでは、ヨットのベルトラインをモチーフにしたと言う、フロントウインドーへ左右ドアからダッシュボード上面を走る曲線「ラップアラウンドベルトライン」が、開放感とラグジュアリー性を高めるトランスミッションはデュアルクラッチAT「7速 Sトロニック」LED照明が備わる
センターコンソールには2つのカップホルダーと2段構えの収納スペースが用意されるミラノ本革仕立てのコンフォートシートは18ウェイ調整機能付き(フロント)
本革巻き3本スポークステアリングはパドルシフト付きフロントウインドーに速度などを表示する「ヘッドアップディスプレイ」はオプション設定。アウディ初採用となる
メーターパネル内のディスプレイにはオートチェックシステムの情報や燃費、平均速度、カーナビ、ハンズフリーフォンのメニューなどを表示できるカーナビはボタン操作で開閉できる
後席用のアームレストには2つのカップホルダーと収納機能を用意
ラゲッジルームは後席を倒すことで1390Lの容量が出現する。工具やパンク修理材はフロア下に備わる
名古屋市立大学 大学院 芸術工学研究科 國本桂史教授

 発表会では、名古屋市立大学 大学院 芸術工学研究科の國本桂史教授が初めに登壇し、A7 スポーツバックの魅力をデザインの観点から紹介した。

 國本教授は、A7 スポーツバックがクーペらしいデザインと言われる所以について、「Dピラーがリアのデッキと合わさるポイント」だと述べるとともに、「触って見てもらえれば分かるが、ここまで3次元と3次元が融合するポイントが美しく処理されているクルマはない」と言う。

 また、富士山のような山並みや、吊り橋が描くカーブのことをカテナリーカーブと呼ぶそうだが、A7 スポーツバックのルーフラインは「しなやかで強度を持つカテナリーカーブのように美しいもの」と表現するとともに、「すべてのドアを開けても何の違和感も感じず室内へ誘ってくれる麗しい形」「ベルトラインから上と下のバランスが非常にとれたモデル」と、A7 スポーツバックのデザインの魅力を語っていた。

 また、実際にA7 スポーツバックに乗った印象については「2tを切った車体が自分の思ったとおりのラインを走ってくれるのが楽しくて、思わず交通安全週間を忘れて街中でアクセルを踏み込んでしまった」と述べていた。

國本教授はA7 スポーツバックのルーフラインやDピラーなどデザイン上の特徴点を紹介
アウディ ジャパン大喜多寛社長

 一方、同社の大喜多寛社長はA7 スポーツバックについて、「3年前にドイツの本社でA7 スポーツバックを見たときにこんな素晴らしいデザインのクルマがあることにビックリした。デザインはアウディ100 クーペSの流れを汲んでおり、アウディ史上もっとも美しいクルマだ」と言い、その完成度はリフトアップしたときに下側から覗いたときも感じられると言う。

 また、A7 スポーツバックは新たな価値観を提供するために生まれたモデルとし、「クルマには大きく分けて2つの大事な基軸がある。1つは快適に速く移動地点に行くことで、デザインから見るとセダンが当てはまる。もう1つは、居住空間や荷室スペースなど、色々なものを積みたいというニーズ。これをもっとも具現化したのは1ボックスで、デザインを突き詰めていくとステーションワゴンの形になるが、美しさで言えばクーペやセダンには敵わない」と説明する。

 また、大喜多氏は「この2つの観点を兼ね備えるモデルはかつてなく、A7 スポーツバックが初めて具現化できた」と述べるとともに、「A7 スポーツバックはアイドリングストップシステムや回生ブレーキシステムなど、アウディの新技術を全て搭載した」と、完成度の高さをアピールした。

 なお、大喜多氏からは2011年1月~4月の新車登録台数についても紹介された。アウディの全世界での登録台数は、42万2000台を記録。昨年、アウディは全世界での販売台数が過去最高記録の109万台を達成しているが、「そのペースを17%超える、非常にいい伸びを見せている」と説明。

 アウディ ジャパンにおいても同期で6478台の登録台数があったとし、昨年よりも23.1%増加。その要因について、大喜多氏は今年の初めに発売したA1、A8の好調さを理由に挙げており、「今年もアウディは世界においても日本においても新記録を達成するのではないか」と、今年度の展望を述べた。

A7 スポーツバックはアウディ100 クーペSの流れを汲む開発コンセプトは「360° エモーショナル エクスペリエンス」2011年1~4月のアウディの新車登録台数は過去最高を更新中

(編集部:小林 隆)
2011年 5月 18日