レッドブル、F1マシンで横浜元町ショッピングストリートを走行
日本初のF1による公道走行。未発売のルノー「ウインド」も

日本初のF1による公道走行が行われた元町ショッピングストリート

2011年6月5日開催



 2010年F1優勝チームであるレッドブル・レーシングが、6月5日横浜市元町にある元町ショッピングストリートでF1マシンを走行させた。これは東日本大震災復興チャリティイベントを企画していた協同組合元町SS会と、「Red Bull Energy for Japan」をテーマに日本にエナジーを届けたいというレッドブルの意向が合致して実現されたもので、F1が日本の公道を走るのは初めてのこと。

 これまで浅草寺境内や大阪城公園内、明治神宮野球場グラウンドなど、さまざまな場所でショーランを行ってきたレッドブル・レーシングだが、これまで誰も成し得なかった公道での走行を実現させた。実施困難とされていたことが実現可能だと証明することで、人々に希望とエナジーを届けたいとしている。

 元町ショッピングストリートは1車線一方通行の石畳の道。約500mに渡るコースの両脇の歩道は、イベント開催時には端から端まで観客で埋め尽くされた。観客動員数は約1万1000人で、早い人は前日の23時から来ていたと言う。

 マシンをドライブしたのはレッドブル・レーシングのジュニアチームであるスクーデリア・トロ・ロッソの正ドライバー、セバスチャン・ブエミ選手。F1マシンでショッピングストリートを走るのは自身も初めての経験だと言う。

 ショーランの前には、ブエミ選手の他、横浜市の林文子市長、中区の牧野孝一区長、元町SS会の北村宏理事長が乗った4台のクルマがパレードランを実施。途中ブエミ選手がクルマを降りてファンサービスをするというサプライズもあった。また横浜市長が乗ったクルマは、まだ発表発売前のルノーのクーペロードスター「ウインド」だったというのも大きなトピックスだろう。

元町ショッピングストリートとレッドブルの意向がマッチして実現した初の試みドライバーを務めたセバスチャン・ブエミ選手横浜市の林文子市長
F1走行前のパレードランでは途中ブエミ選手がクルマを降りてファンサービスする姿も
林市長が乗ったのは、発表発売前の新型車ルノー「ウインド」だ

 続くオープニングセレモニーでブエミ選手は、「再び日本に来ることができて、非常にうれしい。今回のイベントの実現に大きな力を頂いた元町ショッピングストリートの方々に感謝申し上げたい。こんなに大勢の人に来ていただき、今日ここで走るのがとても楽しみだ」と述べた。

 北村理事長は、難しと言われた公道での走行だが、林市長が「ぜひやりなさい」と言ってくれたおかげで実現したと言い、横浜市長は、震災復興のため、みんなで盛り上げていきましょうと来場者へメッセージを送った。

 ショーランは、当初道も狭く路面も石畳のため30km/h程度で走行するとの話だったが、実際にはもう少し速かったようだ。手を伸ばせば届きそうな距離を時としてタイヤスモークを上げながら猛々しい音で走り抜けるF1マシンの姿は迫力満点で、マシンが近づいてくると観客からは大きな歓声が上がっていた。

 しかし、想定を大きく上回る観客数のため、当初2往復の予定が1往復のみの走行となった。観客からはアンコールの声も上がったが、初の試みで絶対に失敗できないイベントのため苦渋の選択だったようだ。

いよいよ日本初のF1公道走行。およそ500mに渡るコースの両脇には文字どおり黒山の人だかりが。子供連れの家族も多く見受けられた

 走行を終えたブエミ選手は、「今回元町ショッピングストリートで走れてとてもうれしい。イベントのタイトル『Red Bull Energy for Japan』のとおりに、皆さんにエナジーを提供できたらと思い、走りました」と述べた。

 夕方にはカナダに向かうというタイトなスケジュールであったが「日本でショーランをやりたいと思っていたので、来てとてもよかった」と言い、さらに「次回皆様にお会いするのは鈴鹿ですが、私を含めドライバーはみんな鈴鹿が大好きです。また個人的にも友達の小林加夢偉と鈴鹿で戦えるのを楽しみにしています」と締めくくった。

イベント終了後に来場者が熱心に撮影していたのは、F1マシンの残したタイヤマーク。記念すべき第一歩の足跡だ会場ではチャリティーTシャツも販売された。収益はすべて東日本大震災復興のために寄付されると言う

6月4日には幕張でフライトパフォーマンスと競演
 この公道初走行の前日、6月4日にも、クローズドエリアではあるがショーランが開催された。舞台となったのは音楽フェスティバル「Big Beach Festival」(幕張海浜公園)。こちらはフェスティバル来場者2万3000人のほか、近隣住民を中心とした招待客2000人に披露。さらにF1だけでなく、レッドブル・アスリートの室屋義秀選手と、ユルギス・カイリス選手によるフライトパフォーマンスも実施された。

元町の前日には幕張でもショーランを実施したBig Beach Festivalの観客の前を走るブエミ選手
隣接するエリアには近隣住民が集まったが、こちらではタイヤスモークを上げながらのドーナツターンなど、迫力のパフォーマンスも
F1ショーランのほか、アジア人で初めてエアレースのパイロットとなった室屋義秀選手と、ユルギス・カイリス選手によるアクロバット飛行も行われた
会場ではチャリティーTシャツの販売。このTシャツはレッドブル・ジャパンのWebサイトでも購入できる子供向けのカートスクールも開催会場ではレッドブルが無料で配布されていた

(瀬戸 学)
2011年 6月 6日