日産、“イケてるダンナ”の新型「ラフェスタ ハイウェイスター」発表会
“カッコいいのにデキる”ミニバン

2011年6月15日開催



 日産自動車は6月15日、新型ミニバン「ラフェスタ ハイウェイスター」の発表会を、神奈川県横浜市のグローバル本社で開催した。ここではその模様をリポートする。ラフェスタ ハイウェイスターの詳細は関連記事を参照されたい。

 ラフェスタ ハイウェイスターは既報のとおり、マツダからOEM供給を受けるMクラスミニバン。「ラフェスタ」という車名のミニバンは2004年に発売されており、こちらにも「ハイウェイスター」が用意されていたが、今回モデルチェンジしたのは「ハイウェイスター」のみ。これまでのラフェスタは「ラフェスタ JOY」として「JOY X」グレードのみが継続して販売される。

ラフェスタ ハイウェイスター
両側スライドドアが大きなアピールポイント
現行ラフェスタは「ラフェスタJOY」として継続販売されるちなみにラフェスタ ハイウェイスターのロゴはラフェスタJOYとは異なっている

 

富岡保リージョナルプロダクトマネージャー

ターゲットは「イケダン」、
 日産自動車の日本商品企画室 富岡保リージョナルプロダクトマネージャーはラフェスタ ハイウェイスターのターゲットを「30台前半で1人のお子様を持つ既婚男性。複数のことをバランスよくこなすことを重視し、いつまでもカッコいい男であり続けたいという価値観を持っている」「つまり、父親としても今時の男子としてもハズしたくない、というのが彼らのニーズのキーワード」と説明。

 そんな彼らを一言で言い表したのが「イケダン」。「イケてるダンナ様」の略で「仕事をバリバリこなしながら家族も大切にし、外見やファッションにも手を抜くことがない」旦那様なのだと言う。

ラフェスタ ハイウェイスターのターゲットは「イケダン」イケダンが重視するのはバランス
ラフェスタ ハイウェイスターのTV CMでは、全国のイケダンを井川遥さんが紹介する。写真中央のSUさんは、ラフェスタ ハイウェイスターCMソングを担当したRIP SLYMEのMC

 そこから生まれたラフェスタ ハイウェイスターのコンセプトが「カッコいいのにデキる奴 ウェルバランスド ハイウェイスター」。「ウェルバランスド」は「あらゆるニーズを満たし、どんなシーンにもフィットするスマートさ」を表すと言う。

 直噴エンジンとリアマルチリンクサスペンションによる走行性能やスタイリングは自分のために、アイドリングストップを装備したパワートレーンの経済性と、両側スライドドアや簡単にレイアウトを変更できる「フレキシブルシート」による機能性は家族のために、というのがラフェスタ ハイウェイスターの狙いだ。

 またラフェスタ ハイウェイスターはマツダ プレマシーのOEM車だが、ドアのプレスラインやグリルのデザインを変えることでエルグランド ハイウェイスターなどとのイメージの共通化を計り、日産のハイウェイスターシリーズとしてのプレゼンスを確保したことをアピールした。

両側スライドドア、フレキシブルシート、消臭天井、クリーナブルシート、アイドリングストップなど家族のための装備の一方で、直噴エンジンやマルチリンクサスペンションによる走りのよさも
内外装にはOEM車としては大幅な変更を施し、ハイウェイスターシリーズらしさを表現した
水平基調のフロントグリル、フルカラードリアバンパー、4枚のドアパネルがプレマシーからの変更点このホイールはハイウェイスターG用メーカーオプションの17インチ
助手席側2列目シートの下に格納されているシートをセットすればキャプテンシートがベンチシートに早変わり。キャプテンシートらしく、ドア側にもアームレストがあるのもポイント
運転席側2列目シートの下のトレイをセットすることもできる
電動スライドドアを選ぶと、運転席のスイッチとインテリジェントキーでも開閉できる
2WDには直噴エンジン+アイドリングストップ搭載車を用意し、日産のエンジン進化型エコカー「PURE DRIVE」を名乗る。これにより2WD車は全車エコカー減税対象となる

 

片桐隆夫常務執行役員

Win-WinになるならOEMは否定しない
 日産自動車の片桐隆夫常務執行役員によれば、乗用車タイプのMクラスミニバンの市場は「安定して年間約20万台の販売が維持されている」。そのなかでラフェスタ ハイウェイスターのようにスライドドアを持つクルマの比率が増え続けており、現在は6割がスライドドア車と言う。

 2004年に登場した現行ラフェスタ(ラフェスタJOY)は「両側スライドドアと、小回りのきくコンパクトボディなどで、主に機能を重視するお客様の支持を集めてきた」が、その一方で「エモーショナルな価値を重視されるお客様からは、高い機能性に加えスタイリッシュな外観を求める声も多く寄せられてきた」のがラフェスタ ハイウェイスター登場の経緯だ。

 Mクラスミニバンの市場は安定しているとは言え、世界的に見れば日本とごくわずかの地域にしかない市場になる。OEM供給を受けるという選択は、日本市場の縮小を受けた判断ではないかと聞かれた片桐常務は必ずしもそうではないと答え、「(OEM供給を受けるかどうかは)ケースごとに判断している。例えば、エルグランドは日産の中で開発していて、かつアメリカで出しているミニバンとかなりの部分を共用して使っている。そういうやり方もある。ラフェスタ ハイウェイスターに関しては、あらゆる選択肢の中から、投資効率、市場ニーズ、出すタイミングといったものを考え、このソリューションに至った。我々だけでなく相手方も含めてWin-Winになるケースがあれば、こうした手段も否定しない」と、数あるビジネスの選択肢の1つとした。

 一方で「OEMでも日産のクルマとして売るわけだから、デザイン面、商品面で日産ブランドをきっちりと守れる、アピールできるものにするのが大原則。今回も大幅なデザイン変更をして出させていただいている」と、ラフェスタ ハイウェイスター発売にあたっての注力点を語った。

(編集部:田中真一郎)
2011年 6月 15日