日産、スマートハウスの第一歩「LEAF to Home」を公開 一般住宅へ電力を供給するシステムを年度内に販売予定 |
日産自動車は8月2日、電気自動車(EV)「リーフ」に搭載する駆動用リチウムイオンバッテリーから、一般住宅へ電力を供給するシステム「LEAF to Home」を公開した。
日産グローバル本社前に建設された実証実験住宅では、分電盤に直接接続された「LEAF to Home」とリーフの急速充電ポートを繋ぎ、住宅に給電する様子が公開された。
日産グローバル本社前に建設されたスマートネットワークプロジェクトの実証実験住宅で「LEAF to Home」を公開 | ||
「LEAF to Home」 |
CHAdeMO協議会の急速充電器プロトコルに対応する | リーフの充電口 |
駐車スペースに設置されたモニターで、現在の電力供給の状態を確認できる | リビングのTVでも現在のエネルギー供給の状況を確認できる |
リーフのバッテリー蓄電能力は24kWhで、これは一般家庭の約2日分の日常使用電力を賄うことができる。「LEAF to Home」を使用することで家庭用の蓄電池として活用し、停電時や電力が不足する時間帯などに備えることが可能になると言う。
ゼロエミッションビジネスユニット担当の渡部英朗執行役員は、「将来的にはEVを組み込んだスマートグリッド社会が理想型としてやってくると思うが、その前に家の中のエネルギーをマネージメントするスマートハウスを実現することが必要で、それがつながってスマートコミュニティに、さらにはスマートグリッド社会が実現する」との考えを示した。
また、「LEAF to Home」について渡部氏は、「スマートな電力利用に貢献する」「非常時/緊急時のバックアップ電源に利用できる」「太陽光発電との連携ができる」とし、いざという時に家の電力を賄うだけでなく、夜間電力や太陽光発電を使ってリーフを充電し、昼間に家庭に電力供給することで、ピークカットやピークシフトに貢献できるとともに、深夜電力と太陽光をうまくマネージメントするためにリーフを活用できることを強調した。
「LEAF to Home」の開発について、ゼロエミッション事業本部 車両開発主管の門田英稔氏は、急速充電インターフェイス「CHAdeMO」プロトコルをベースに改造して、電力供給モードを追加することで双方向の電力交換が可能になったと説明。すでに販売済みのリーフについても、ソフトウェアのリプログラミングにより、双方向の電力交換に対応できるとしている。
日産では、「LEAF to Home」を2011年度内に販売開始する予定としており、価格については、現在100万~200万円で販売されている蓄電システムに対して、競争力を持つ価格を実現するとしている。
日産自動車 ゼロエミッション事業本部 車両開発主管の門田英稔氏 | 「LEAF to Home」ではリーフのバッテリー電圧DC360Vを家庭用AC100V/200Vに変換する | 急速充電インターフェイス「CHAdeMO」プロトコルをベースに改造することで、双方向のやり取りが可能になった |
(椿山和雄)
2011年 8月 3日