自工会、2011年の4輪車総需要を425万台に下方修正
東日本大震災の影響などにより、前年比85.8%にとどまる見通し

志賀俊之自工会会長

2011年9月27日開催



 自工会(日本自動車工業会)は9月27日、定例記者会見を行い、「2011年度自動車国内需要見通し」を発表するとともに、「2011暦年自動車国内需要見通し」を見直した。

 自動車国内需要見通しは、本来であれば3月に発表する内容だが、東日本大震災が発生したため策定の前提となる経済環境や消費マインドの変化、生産停止による供給面での問題が生じたことから、発表を見送っていた。

 しかし、各自動車メーカーの生産回復の目途が立つなど、需要見通し策定の条件が整ったことから今回の発表に至っている。

 はじめに2011年度自動車国内需要見通しによると、2011年度の4輪車総需要は445万300台を見込んでおり、前年比で見ると96.7%にとどまる。内訳は登録車が287万300台(前年比96.6%)、軽4輪車が158万台(前年比97.0%)。

 年度前半(4月~8月)で比較すると、2010年度が206万9000台だったのに対し、2011年度は147万8000台と、59万1000台減となった。その要因について、志賀俊之自工会会長は「東日本大震災の影響による供給制約によるもの」と説明する。

 一方、年度後半(9月~3月)では、「2010年度が253万2000台なのに対し、2011年度は供給面での正常化によって9月以降の市場の持ち直しを見込み、対前年比117.4%の297万2000台を見込んでいる」(志賀会長)。

2011年度自動車国内需要見通し(概要)



2009年度実績2010年度実績2011年度(見通し)
4輪車乗用車417万5456台388万266台374万5000台
トラック69万2034台70万9410台69万5000台
バス1万2774台1万1459台1万300台
合計488万264台460万1135台445万300台
登録車318万2073台297万2348台287万300台
軽4輪169万8191台162万8787台158万台
2輪車42万4986台42万1502台44万1000台

 そして、2011暦年自動車国内需要見通しの見直しを行った結果、昨年12月に発表した2011年度の四輪車総需要(見通し)が446万5000台だったのに対し425万200台(対前年比85.8%)と、21万台の下方修正を行っている。この425万台という数値について、志賀会長は「私が日産自動車に入社した1976年の国内需要が410万台、その翌年が420万台だったので35年前のレベル」と述べた。

2011暦年自動車国内需要見通しの見直し(概要)



2010暦年実績2011暦年
(2010年12月発表値)
2011暦年
(見直し後)
4輪車乗用車421万2267台378万2000台358万台
トラック73万1094台67万1300台66万台
バス1万2775台1万1700台1万200台
合計495万6136台446万5000台425万200台
登録車322万9716台280万8000台273万5200台
軽4輪172万6420台165万7000台151万5000台
2輪車42万3368台40万9000台43万5000台

 また、平成24年度税制改正要望についても触れ、重点項目となる「自動車関係諸税の簡素化・負担軽減を実現すべき」「先進環境対応車普及インセンティブの創設」「法人実効税率の引き下げ」について、その要旨を述べた。

 志賀会長は「日本国内におけるものづくりは、健全な国内市場があってこそ維持できるものだが、我が国の国内市場は20年以上縮小傾向から脱却できず、低迷が長期化している」とし、その原因の1つに自動車に対する重い税負担があると言う。

 現在、自動車ユーザーには取得、保有、走行の段階で多くの税が課せられており、「とくに取得と保有にかかる税金は欧米諸国と比べ2~49倍にもなり、国際的に見ても極めて過重」(志賀会長)。さらに、「自動車取得税と自動車重量税は一般財源化された時点で課税根拠を喪失していることや、税体系でも自動車取得税は消費税と、自動車重量税は自動車税と二重課税であり、ただちに廃止されなければならない税項目」とした。

 また、JAF(日本自動車連盟)による「自動車税制に関するアンケート調査」の結果を例に挙げ、「8000人を超えるユーザーが回答し、そのうち97%が自動車に課せられている税金に『負担を感じている』と回答しており、自動車ユーザーにとっての税金の負担感が浮き彫りにされている。こうしたことから、我々の税制改正要望を支援頂きたい」と訴えた。

平成24年度税制改正要望について

 なお、自動車メーカーは今週で夏期ピーク電力を抑制する休日シフトを終える。志賀会長は、「結果論だが休日シフトの判断は正しかったものの、想像以上に関係者に迷惑をかけた。恒久的な対策ではないと感じた」と振り返るとともに、東日本大震災について「3月の時点では相当長期にわたって影響が出ると思った。日を追うごとに被災したサプライヤーの数、被害の大きさが伝わってきて、生産再開は正直難しいと感じていた。しかし1カ月後には生産再開への目処をつけ、5月には再開するところもあり、誇りに感じている。そのような中で円高の影響は悔しいが、増産に向けて現在頑張っている。増産が後押しになって日本経済の活性化、成長につながればよいと思っている」と述べた。

(編集部:小林 隆)
2011年 9月 27日