フォード、次世代低燃費エンジン「EcoBoost」を搭載したエクスプローラー発表会
旧来のV8 4リッターエンジンからパワーは30PSアップ、燃費は25%改善

エクスプローラー XLT EcoBoostと森田俊生社長

2012年2月25日発売
4,400,000円



 フォード・ジャパン・リミテッドは、昨年発売した同社のSUV「エクスプローラー」に次世代低燃費エンジン「EcoBoost」を搭載して、2月25日に発売する。ターボチャージャー付きの直噴2リッターエンジン搭載の「エクスプローラー XLT EcoBoost」で、価格は4,400,000円。同モデルの発表会を、1月26日に都内で開催した。

 EcoBoostエンジンとは、ディーゼルエンジンの低燃費性やトルクある走りをガソリンエンジンで実現するもの。ガソリンになることで低コストかつ低燃費化を実現できる。具体的には高圧による直噴、Ti-VCT(吸排気独立可変バルブタイミング機構)にターボを組み合わせ、それらを統合的に制御して燃費性能を向上させ、CO2排出量を抑える。

 エクスプローラー XLT EcoBoostでは、直列4気筒2リッターエンジンにインタークーラー付きのターボチャージャーを装着。6速ATを介して前輪を駆動する。最高出力は179kW(243PS)、最大トルクは366Nm(37.3kgm)を実現。10・15モード燃費は8.1km/Lで燃料は無鉛レギュラーガソリンを使用する。

 ボディーサイズは5,020×2,000×1,805mm(全長×全幅×全高)で、重量は2,020kg。乗車定員は7名となる。装備面では上級グレードの「リミテッド」に用意される外装色のホワイトプラチナムを設定し、インテリアでは本革シート、運転席/助手席のシートヒーターとパワーシートを装備する。

 また、エコカー補助金対象車となり、政府のエコカー補助金制度の実施が決定すれば、100,000円の補助を受けることができる。新型エクスプローラーは今回発表されたEcoBoost以外にも2グレードあるが、すべて補助金の対象となる。

直列4気筒2リッターエンジン「EcoBoost」を搭載する
エクスプローラー XLT EcoBoost
リアにEcoBoostのエンブレムを装着する前輪駆動のため後輪には駆動装置はない
本革シートを装着した室内メーターパネル内
7人乗りのため3列シートとなる。シートは折りたたむことができ、フラットにもなる発表会場には4WDモデルも展示されたが、2WD車との外見の違いはほとんどない

マーケティング部ディレクターの木下洋氏

追加機種だが革新的モデル
 EcoBoost搭載モデルの追加について説明を行った、同社のマーケティング部ディレクターの木下洋氏は、「追加機種だが革新的なモデル」と評した。「エクスプローラー史上もっとも小さい排気量、もっとも高い燃費性能、日本では初めての2輪駆動」とし、「エクスプローラを購入検討される方、SUVを検討される方に、今でにない新しい選択肢を提供していきたい」と述べた。

 木下氏は、EcoBoostエンジンを世界で年間1,500,000基生産し、北米で90%のモデル、世界で80%のモデルに搭載するとの2013年モデルイヤー時点の計画値を紹介。北米では2009年から3.5リッターエンジンでEcoBoostエンジンを展開しており、今回搭載した2リッターエンジンが、北米以外にグローバル展開するはじめてのEcoBoostエンジンとなる。また、EcoBoostエンジンには125以上の特許技術が含まれると言う。

 個別の低燃費技術としては、低慣性のターボチャージャーの利用や統合的な制御により、ターボラグを少なくすることに成功。直噴の緻密な制御技術と可変バルブタイミングにより、とくに低回転域で出力が増加し、ターボの弱点を補うことができるとしている。

 木下氏は、旧型エクスプローラーのV型6気筒4リッターエンジン搭載車と比較して、「排気量は半分以下になっているにもかかわらず、パワーは30PSアップし、さらに燃費も25%改善している」とEcoBoostエンジンの優位性を強調するとともに、「EcoBoostの技術や名前を浸透させていきたい」との希望を述べた。

 なお、今回導入されるエクスプローラーは前輪駆動モデルのみ。当面は4輪駆動モデルの投入の予定はないとしている。

EcoBoostエンジンの仕様2013年モデル時の目標EcoBoostエンジンの特徴
ターボ・テクノロジー。3,000rpmで最大トルクを発生する直噴のテクノロジー可変バルブタイミングのテクノロジー
XLT EcoBoostと他モデルとの主要諸元の比較。旧型エクスプローラーのV型6気筒4リッターエンジン搭載車より出力・トルクともに高まりながら、燃費も上回るEcoBoostエンジン搭載による競争力向上エコカー補助金の対象になった

2012年は前年比10~20%増の販売台数を狙う
 昨年10月にフォード・ジャパン・リミテッドの代表取締役社長兼CEOに就任した森田俊生氏は、エクスプローラーを日本のフォードの中核車種とした上で、「さらなるエクスプローラのラインアップを評価し、全体の販売、フォード・ジャパン全体の販売を底上げしていきたい」と述べた。

 森田氏は前年の実績を振り返り、2011年は前年比18%増の販売を記録し、エクスプローラーに関しては新型になったことで、第4 四半期だけ見れば前年比301%となり、「すぐれた商品性を持つ新型エクスプロラーが多くのお客様に受け入れられたと喜んでいる」と述べた。その結果、フォード・ジャパン・リミテッド全体では販売台数が18%増となった。

 そして、2012年の目標として、年間販売台数を前年の販売台数の2,700台に対して10~20%の増加を狙うとした。

 また、森田氏は「日本市場におけるフォード・ジャパンのコミットメントに何ら変わりはない」と繰り返し強調、「この戦略の一部として、フォード・ジャパンはグローバルプロダクトをうまく活用し、日本のお客様に合ったフォードらしい商品を輸入することで、フォードのプレゼンスを高めていきたい」と述べた。

フォード・ジャパンの販売実績2011年の四半期ごとのエクスプローラーの販売実績2012年の目標

(正田拓也)
2012年 1月 27日