メルセデス・ベンツ、大幅な軽量化を実現した新型「SLクラス」発表 同社の量産モデルとして初のフルアルミニウムのボディーシェルを採用 |
メルセデス・ベンツ日本は3月18日、11年ぶりにフルモデルチェンジを行い6代目に進化したメルセデス・ベンツの最高級ロードスター「SLクラス」を発売し、同日に東京・六本木にあるメルセデス・ベンツ コネクションで記者発表会を開催した。
SL63 AMG |
SL350 ブルーエフィシェンシー | SL550 ブルーエフィシェンシー |
6代目SLクラスのアンベール |
発表会の冒頭で挨拶した同社のニコラス・スピークス社長は、「SLは60年に渡り、スポーティで革新的なモデルとしての伝統を受け継いできました。SLという車名はスポーツ・アンド・ライトを意味し、その両カテゴリーはもちろん、燃費、走行性能、安全性などといった面で、ニューSLは新しいベンチマークとなるでしょう」と語り、新型SLの魅力をアピールした。
「新しいSLの実車をぜひご覧ください」とコメントするスピークス社長 |
車両解説を担当した上野金太郎副社長は、「6代目となる新型SLは、革新的な軽量フルアルミニウムボディーを始め、ブルーダイレクトテクノロジーを用いた最新世代の直噴エンジン、メルセデス・ベンツならではの安全装備など、さまざまな最先端テクノロジーを装備。贅を尽くしたインテリアやダイナミックなエクステリアデザインをまとうことで、時代を代表する新たなスポーツロードスターに生まれ変わりました」とコメント。
デトロイトショーでのワールドプレミアを紹介した関連記事などでもすでに報じられているが、新しいSLクラスにおける最大のトピックスはアルミ素材で構成されることになったボディーシェル。実際に発表会場には新型SLのホワイトボディーが展示されていたが、ロールオーバー時に乗員を保護する役目を与えられたフロントピラーのみが高張力鋼板チューブを内蔵するスチールシートとなっているほかは、ボディーシェル全体の約90%がアルミニウム製となっている。これにより、SL350では先代比140kg減という大幅な車重軽減を実現し、車名のLに込められた「軽量」という意味合いがさらに強められ、運動性能に磨きをかけることに加え、現代のクルマに求められる環境性能の向上にも寄与している。
「新型SLクラスはメルセデス・ベンツを代表する最高級ロードスターです」と語る上野副社長 | 誇らしげに展示される新型SLのホワイトボディー。単体の重量は254kgで、スチールと比べ110kgも軽くなると言う | フルアルミニウムのボディーシェルは同社の量産モデルでは初めて |
今回導入されるモデルは、V型6気筒3.5リッター直噴エンジンと7速AT「7Gトロニック プラス」を組み合わせる「SL350 ブルーエフィシェンシー」、V型8気筒4.7リッター直噴ツインターボエンジンと7Gトロニック プラスを組み合わせる「SL550 ブルーエフィシェンシー」、V型8気筒5.5リッター直噴ツインターボエンジンと7速AT「AMGスピードシフトMCT」を組み合わせる「SL63 AMG」の3グレード。それぞれ左ハンドル車のほか、SL350には右ハンドル車も設定。車両価格はSL350が1190万円、SL550が1560万円、SL63 AMGが1980万円となっている。なお、納車開始はSL350とSL550が6月ごろ、SL63 AMGは8月ごろを予定している。
SL550 ブルーエフィシェンシー | 今年2月に発表されたばかりのSL63 AMGも同時発表となった |
■新型SLをイメージソースとした新作ドレスも同時発表
このほかにも発表会の会場では、デザイナーの中里唯馬氏が新しいSLクラスをイメージソースに製作した新作ドレスのお披露目も実施された。
これは同社が昨年から冠スポンサーを務めている「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京)」との連動企画の一部として行われたもの。発表会当日は、3月24日まで開催されるメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京2012-13秋冬コレクションの開催初日と重なっており、会場のメルセデス・ベンツ コネクションは東京ミッドタウンとともに公式会場となっている。
新型SLクラスと並んで公開された新作ドレスは、素材選びや色づかい、スタイリングなどによってSLの独自な世界感が表現されており、会場にも展示されたファイアオパールの新型SLクラスをイメージしたドレスになっていると言う。
新しいSLクラスをイメージソースに中里唯馬氏が製作した新作ドレス |
メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京2012-13秋冬コレクションの開催期間中は、メルセデス・ベンツ コネクションの内外装も連動したデザインとなっている |
ルーフ格納時でもちょっとした荷物なら出し入れ可能なスペースを確保。側面にあるボタンを押すと折りたたまれたルーフが上昇し、荷物を保護するラゲッジカバーが開閉可能になる |
SLKにも採用される「マジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフ」は、SL63 AMGに標準装備。SL350とSL550ではオプション設定となる |
SL350とSL550では18インチのタイヤ&ホイールを採用 | SL63 AMGは19インチのタイヤ&ホイールを採用。さらに4輪にAMG強化ブレーキシステムを備える |
SL550の内装 |
全車にパドルシフトを標準装備 | 7Gトロニック プラス車のシフトノブ |
SL63 AMGのセンターコンソール | AMGスピードシフトMCTのシフトノブには、AMG本社工場がある「Affalterbach」の文字も刻まれている |
SL350の内装 |
本革表皮を使用するSL350のシート | セラミックヒーターで温めた温風を乗員の首元に送る「エアスカーフ」を全車に標準装備 |
ナッパレザー表皮を採用するSL550のシート | 同じくナッパレザー表皮のSL63 AMGのシート。内装色はベンガルレッド |
センターコンソールにあるスイッチで、バリオルーフの開閉やキャビンへの風の巻き込みを抑える「電動ドラフトストップ」などを操作可能 |
センターコンソール内にUSBやiPodなどに対応する「メディアインターフェイス」を設定 | シートバックポケット |
ドライバーズシート後方にリッド付きのコンパートメントボックスを用意 |
ドアトリムのカラーリング |
白く発光するLEDポジショニングライト | ロー&ワイド感を強調するデザインのLEDリアコンビネーションランプ |
初代の300SLをモチーフとしたシングルルーバーをフロントグリルに備える | SL63 AMGは2本のルーバーでAMGモデルであることを主張 |
(佐久間 秀)
2012年 3月 19日