メルセデス・ベンツ、大幅な軽量化を実現した新型「SLクラス」発表
同社の量産モデルとして初のフルアルミニウムのボディーシェルを採用

新型SLクラスの前でフォトセッションを行うニコラス・スピークス社長。モデルの女性が身につけているのは、ニューモデルをイメージソースとして製作されたというドレス

2012年3月18日開催



 メルセデス・ベンツ日本は3月18日、11年ぶりにフルモデルチェンジを行い6代目に進化したメルセデス・ベンツの最高級ロードスター「SLクラス」を発売し、同日に東京・六本木にあるメルセデス・ベンツ コネクションで記者発表会を開催した。

SL63 AMG
SL350 ブルーエフィシェンシーSL550 ブルーエフィシェンシー
6代目SLクラスのアンベール

 発表会の冒頭で挨拶した同社のニコラス・スピークス社長は、「SLは60年に渡り、スポーティで革新的なモデルとしての伝統を受け継いできました。SLという車名はスポーツ・アンド・ライトを意味し、その両カテゴリーはもちろん、燃費、走行性能、安全性などといった面で、ニューSLは新しいベンチマークとなるでしょう」と語り、新型SLの魅力をアピールした。

「新しいSLの実車をぜひご覧ください」とコメントするスピークス社長

 車両解説を担当した上野金太郎副社長は、「6代目となる新型SLは、革新的な軽量フルアルミニウムボディーを始め、ブルーダイレクトテクノロジーを用いた最新世代の直噴エンジン、メルセデス・ベンツならではの安全装備など、さまざまな最先端テクノロジーを装備。贅を尽くしたインテリアやダイナミックなエクステリアデザインをまとうことで、時代を代表する新たなスポーツロードスターに生まれ変わりました」とコメント。

 デトロイトショーでのワールドプレミアを紹介した関連記事などでもすでに報じられているが、新しいSLクラスにおける最大のトピックスはアルミ素材で構成されることになったボディーシェル。実際に発表会場には新型SLのホワイトボディーが展示されていたが、ロールオーバー時に乗員を保護する役目を与えられたフロントピラーのみが高張力鋼板チューブを内蔵するスチールシートとなっているほかは、ボディーシェル全体の約90%がアルミニウム製となっている。これにより、SL350では先代比140kg減という大幅な車重軽減を実現し、車名のLに込められた「軽量」という意味合いがさらに強められ、運動性能に磨きをかけることに加え、現代のクルマに求められる環境性能の向上にも寄与している。

「新型SLクラスはメルセデス・ベンツを代表する最高級ロードスターです」と語る上野副社長誇らしげに展示される新型SLのホワイトボディー。単体の重量は254kgで、スチールと比べ110kgも軽くなると言うフルアルミニウムのボディーシェルは同社の量産モデルでは初めて

 今回導入されるモデルは、V型6気筒3.5リッター直噴エンジンと7速AT「7Gトロニック プラス」を組み合わせる「SL350 ブルーエフィシェンシー」、V型8気筒4.7リッター直噴ツインターボエンジンと7Gトロニック プラスを組み合わせる「SL550 ブルーエフィシェンシー」、V型8気筒5.5リッター直噴ツインターボエンジンと7速AT「AMGスピードシフトMCT」を組み合わせる「SL63 AMG」の3グレード。それぞれ左ハンドル車のほか、SL350には右ハンドル車も設定。車両価格はSL350が1190万円、SL550が1560万円、SL63 AMGが1980万円となっている。なお、納車開始はSL350とSL550が6月ごろ、SL63 AMGは8月ごろを予定している。

SL550 ブルーエフィシェンシー今年2月に発表されたばかりのSL63 AMGも同時発表となった

新型SLをイメージソースとした新作ドレスも同時発表
 このほかにも発表会の会場では、デザイナーの中里唯馬氏が新しいSLクラスをイメージソースに製作した新作ドレスのお披露目も実施された。

 これは同社が昨年から冠スポンサーを務めている「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京)」との連動企画の一部として行われたもの。発表会当日は、3月24日まで開催されるメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京2012-13秋冬コレクションの開催初日と重なっており、会場のメルセデス・ベンツ コネクションは東京ミッドタウンとともに公式会場となっている。

 新型SLクラスと並んで公開された新作ドレスは、素材選びや色づかい、スタイリングなどによってSLの独自な世界感が表現されており、会場にも展示されたファイアオパールの新型SLクラスをイメージしたドレスになっていると言う。

新しいSLクラスをイメージソースに中里唯馬氏が製作した新作ドレス
メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京2012-13秋冬コレクションの開催期間中は、メルセデス・ベンツ コネクションの内外装も連動したデザインとなっている
SL350に搭載される276型エンジン。V型6気筒3.5リッター直噴NAで225kW(306PS)/6500rpm、370Nm(37.7kgm)/3500-5250rpmを発生SL550に搭載される278型エンジン。V型8気筒4.7リッター直噴ツインターボは320kW(435PS)/5250rpm、700Nm(71.4kgm)/1800-3500rpmを発生SL63 AMGに搭載される157型エンジン。V型8気筒5.5リッター直噴ツインターボで395kW(537PS)/5500rpm、800Nm(81.6kgm)/2000-4500rpmを発生
トランク容量はクーペ時で504L、オープン時でも364Lを確保し、オープン時でもゴルフバッグ2個を収納可能。トランク容量が大幅に拡大したことに加え、内部にあるラゲッジカバーを閉じた状態でしかルーフ格納ができなくなり、うっかり荷物を挟み込んでしまう心配がなくなったリアフォグランプ下部のセンサーでトランクゲートの開閉が可能な「ハンズフリーアクセス」を全車に標準装備。両手に荷物を抱えているときでも足先をセンサーにかざすだけでトランクを開け閉めできる便利な装備だ
ルーフ格納時でもちょっとした荷物なら出し入れ可能なスペースを確保。側面にあるボタンを押すと折りたたまれたルーフが上昇し、荷物を保護するラゲッジカバーが開閉可能になる
SLKにも採用される「マジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフ」は、SL63 AMGに標準装備。SL350とSL550ではオプション設定となる
SL350とSL550では18インチのタイヤ&ホイールを採用SL63 AMGは19インチのタイヤ&ホイールを採用。さらに4輪にAMG強化ブレーキシステムを備える
SL550の内装
全車にパドルシフトを標準装備7Gトロニック プラス車のシフトノブ
SL63 AMGのセンターコンソールAMGスピードシフトMCTのシフトノブには、AMG本社工場がある「Affalterbach」の文字も刻まれている
SL350の内装
本革表皮を使用するSL350のシートセラミックヒーターで温めた温風を乗員の首元に送る「エアスカーフ」を全車に標準装備
ナッパレザー表皮を採用するSL550のシート同じくナッパレザー表皮のSL63 AMGのシート。内装色はベンガルレッド
センターコンソールにあるスイッチで、バリオルーフの開閉やキャビンへの風の巻き込みを抑える「電動ドラフトストップ」などを操作可能
センターコンソール内にUSBやiPodなどに対応する「メディアインターフェイス」を設定シートバックポケット
ドライバーズシート後方にリッド付きのコンパートメントボックスを用意
ドアトリムのカラーリング
白く発光するLEDポジショニングライトロー&ワイド感を強調するデザインのLEDリアコンビネーションランプ
初代の300SLをモチーフとしたシングルルーバーをフロントグリルに備えるSL63 AMGは2本のルーバーでAMGモデルであることを主張
2本のクロームルーバーを備えるエアアウトレットも300SLをモチーフとしたデザインアイコン
スポーティなテールエンドアロータイプのウインカードアミラーを採用する
ディストロニック・プラス、アクティブレーンキーピングアシスト、アクティブブラインドスポットアシストなどを備える「レーダーセーフティパッケージ」を全車に標準装備路面状態や走行状況に応じて4本のショックアブソーバーの減衰力を個別に制御する「アダプティブダンピングシステム(ADS)」、ADSの思想をさらに発展させ、コイルスプリングに内蔵した油圧ユニットによってバネ特性や車高などを電子制御してフラットライドとスポーティな走りを両立させる「アクティブ・ボディ・コントロール(ABC)」など、先進的なシャシー技術によって高い基本特性をさらに引き上げている

(佐久間 秀)
2012年 3月 19日