ダンロップ（住友ゴム工業）が2月より発売を開始した「エナセーブ PREMIUM（プレミアム）」は、同社の低燃費タイヤブランド「エナセーブ」シリーズ最高の性能を持つという製品。材料をナノレベルでコントロールする新技術「4D NANO DESIGN」を初めて投入したモデルだ。そのエナセーブ PREMIUMの説明＆試乗会が開催されたので、前編ではエナセーブ PREMIUMの概要を、後編では試乗記をお届けする。

エナセーブ PREMIUM	トレッドパターン

　ダンロップは、低燃費タイヤの種類と幅広いサイズラインアップを展開していることで知られている。スタンダード低燃費タイヤの「エナセーブ EC202」、ミニバン専用の「エナセーブ RV503」、材料からこだわった97％石油外天然資源タイヤ「エナセーブ 97」、そして低燃費タイヤとして世界で初めて吸音スポンジを採用するなど静粛性にこだわった「LE MANS 4（ル・マン フォー）」を乗用車用として用意。エナセーブ PREMIUMは、これらのラインアップの中で、もっとも低燃費性能を追求したモデルになる。

ダンロップは環境対応タイヤを、天然資源タイヤと低燃費タイヤで構成していく	エナセーブシリーズのラインアップ
低燃費タイヤ「エナジーセーブ」シリーズの最高峰となるエナセーブ PREMIUM	新材料開発技術「4D NANO DESIGN」を採用

　低燃費タイヤのラベリング制度によるグレードは、転がり抵抗性能が最高となるAAA（215/45 R17 91Wと155/65 R14 75HはAA）で、ウエットグリップ性能はc。215/45 R17 91W～185/70 R14 88Hの全15サイズを用意する。

　この性能を実現するために投入されたのが、新開発の低燃費ゴムと、新トレッドパターンおよび新プロファイル。低燃費ゴムは、4D NANO DESIGNによりポリマーの両方の末端に変性基を導入することで、ポリマーの不要な動きを抑制。これにより、エネルギーロスを低減している。

　新トレッドパターンでは、センター部からショルダー部に向かって剛性を高めていくようなパターン配置とし、直進時と旋回時の安定性能を両立させ、新たに投入された大きな円を描くプロファイルでは、均一にたわむことで高い操縦安定性を実現したとする。

新開発の低燃費ゴム	両末端マルチ変性ポリマー	新開発のトレッドパターンとプロファイル

　これらにより、転がり抵抗は、EC201に比べて約39％低減。燃費値でも約6％向上するとの結果を得ており、低燃費タイヤのEC202（転がり抵抗性能：A）と比べても改善されている。転がり抵抗低減には、タイヤの発熱コントロールが重要となるが、エナセーブ PREMIUMは不要な発熱を抑えることがAAAの実現につながった。

　また、ウエットブレーキ性能については、EC201と比べ約9％の性能向上を得た。これはシリカの分散性向上によるものとしており、細かな路面の凸凹との接地面積を増加できているからだと言う。

　ドライブレーキ性能はEC201、EC202と同等ながら、ハンドリング、燃費性能では両タイヤを超えており、ウエットブレーキ、ライフはEC201よりも優れたものとなっている。

転がり抵抗は約39％低減	ウエットグリップ性能は約9％向上	EC201、EC202との性能比較レーダーチャート

　転がり抵抗性能では最高性能となるAAA（215/45 R17と155/65 R14はAA）を獲得したエナセーブ PREMIUM。あえて欠点を探すとするならば、当初発売される（2月～3月）タイヤサイズが8サイズのみと少なく、全15サイズが揃うのが9月になることだろう。しかしながら、14インチサイズや15インチサイズが豊富にラインアップされており、燃費を重視する軽・コンパクトカーユーザーにマッチするのは嬉しい点だ。

　後編では、モータージャーナリスト岡本幸一郎氏による、一般道の試乗レビューをお届けする。

サイズラインアップ	袖ヶ浦フォレストレースウェイ付近の一般道を走行した

★：EXTRA LOAD規格（負荷能力強化タイプ）