国土交通省、首都高の再生に関する有識者会議の第2回目を開催

国交省の有識者会議が首都高を視察

2012年5月9日開催



 国土交通省は5月9日、東京都内で「第2回 首都高速の再生に関する有識者会議」を開催した。

 この有識者会議は、1964年に行われた東京オリンピックに向けて緊急的に整備が行われ、今年の12月で開通から50年が経過する首都高速道路について、高齢化に対する再生の基本方針などを検討することを目的として4月10日に第1回が実施されたもの。

 似たようなタイミングで、首都高の建設・管理などを行っている首都高速道路でも、「首都高速道路構造物の大規模更新のあり方に関する調査研究委員会」を設置して、首都高の今後について検討(下記関連記事で詳しく紹介)を始めている。しかし、これまでの交通データやメンテナンスなどで集めた道路の疲労状況などのデータを解析しながら、構造物としての首都高に焦点を当てている首都高の調査研究委員会に対し、国交省の有識者会議では、政治評論家の三宅久之氏(座長)、東京都副知事の猪瀬直樹氏など12人を委員に迎え、日本の首都である東京の都市機能との関連性や、東京外かく環状道路など周辺道路を含めた交通体系における首都高の位置づけ、周辺住民といった民間との連携など、社会情勢を盛り込んだ幅広い視点で検討するポジションを担っている。また、調査研究委員会はこの有識者会議の内容を参考にすると明言しており、シナジー効果の作用が期待される。

 4月10日に開催された第1回の有識者会議では、首都高が現在抱えている課題について報告され、国際ロータリー第2750地区環境保全委員長の木村眞氏からの首都高再生に向けた提言、参加各委員による意見交換などを実施。これを受けた2回目では、参加できなかった4人を除く8人の委員が集まってバスに乗車し、首都高3号線、4号線、都心環状線などを視察。この視察の一部が報道向けに公開された。

8の字状のルート設定して首都高の現状を視察

 最初に公開された視察場所は、2010年3月に部分供用がスタートして話題となった大橋JCT(JCT)。まず、大橋換気所の屋上に開設された自然再生緑地「おおはし里の杜」で、まちづくりと一体化した大橋JCTの再開発計画について説明が行われ、さらに現在進行中の大橋JCT屋上スペースを使った公園開発について解説された。


自然再生緑地「おおはし里の杜」のほか、再開発事業と一体化した大橋JCTの事業内容について説明を受ける委員
大橋JCTのある目黒付近の昭和初期の風景を再現している「おおはし里の杜」。丸い田んぼでは地元小学生による稲作体験が実施されていると言う
「おおはし里の杜」の外縁から、大橋JCTの屋上に建設中の公園も視察。今年度中に作業を終え、来年3月には一般に開放される予定とのこと。また、ループ状のJCT壁面は、30~50年という期間を掛けて壁面緑化を進める計画となっている
視察で使用された解説パネル

 見晴らしのいい屋上での視察後、まだ工事が続いている地下の中央環状品川線のシールドトンネル工事現場に移動。大橋JCTの完成となる品川線との連結については、関連記事でも紹介しているように、シールドマシンを使ったトンネルの連結については終了しており、あとは車両が走行する路面の設置、渋谷線と新宿線で2本に分かれているトンネルを1つに組み合わせる切り開き工事などが実施予定となっている。

 視察では、これまでに行われてきたシールドトンネル工事についての詳細、使用されている機材についての紹介、中央環状品川線の概略説明などが行われ、新たなる広がりを続けている首都高の現在とこれからについての具体例が示された。

大橋JCTで2カ所目の視察場所となった中央環状品川線のシールドトンネル工事現場
珍しい建設途中のトンネル工事現場だけに、委員もデジカメやスマートフォンなどで撮影を行ったりしながら熱心に視察していた
特殊なシールドマシンを説明するため、動画を交えながら解説
視察で使用された解説パネル

 大橋JCTでの視察を終えた委員は、バスで次の会場となる都心環状線の京橋出入口エリアに移動。この移動中にも、3号線の三軒茶屋付近で行われている損傷補修の進行状況や、トンネル区間の防災設備などについてバス内で解説を受けたとのこと。

 都心環状線の京橋出入口がある一帯は、かつては築地川と呼ばれていた川があった場所で、首都高の築造に際して干拓し、川底だった場所を現在は道路としてクルマが走っている。そんな歴史を交えながら、視察では首都高の3つの用地区分、「所有権を有する土地」、「地上権を有する土地」、「道路・河川・公園等を使用」の違いについて説明を受けたほか、京橋出入口エリアにある建物の築年数の古さ、河川だった場所を道路にしたことの影響によるS字カーブやアップダウンの多さ、同一方向の車線を橋の橋脚が分断している危険性などの問題点などが解説された。

京橋出入口エリアのように河川を干拓して道路にした場所は用地買収に時間がかからないなどのメリットがある半面、車線に点在する橋脚などのデメリットを現在まで残してしまっている
視察後にテレビカメラの取材に応じるコシノジュンコ委員京橋JCTの宝町ランプ方面にも弾正橋の橋脚が車線上に存在している
視察で使用された解説パネル

 視察はこのあと、バスで都心環状線を反時計回りに走って日本橋周辺などを通過しながら、首都高が揺れるメカニズムなどを体感して終了となった。今後も同有識者会議は毎月1回程度の頻度で開催を続け、夏ごろを目途に提言のとりまとめを行う予定となっている。

【お詫びと訂正】記事初出時、「第2回 首都高速の再生に関する有識者会議」への参加メンバーに相違がありました。お詫びして訂正致します。

(佐久間 秀)
2012年 5月 10日