日産、“長い歴史と伝統を持つ商用車”新型「NV350 キャラバン」発表会
「なんとしてもキャラバンをこのクラスのトップクラスに押し上げたい」と志賀COO

志賀俊之COOと新型「NV350 キャラバン」

2012年6月15日発表



 日産自動車は6月15日、同日発売した新型「NV350 キャラバン」の発表会を、日産グローバル本社ギャラリーで開催した。

 発表会では同社の志賀俊之 最高執行責任者(COO)と、LCV事業本部 商品戦略・企画グループ チーフ・プロダクト・スペシャリストの八木則彦氏が登壇した。

発表会の冒頭、NV350 キャラバンのラゲッジルームから自転車や工具箱、機材などを模した段ボール箱が次々と出され、その収納力の高さをアピール
発表会の後半には八木氏とDJのピストン西沢氏によるトークショーが行われ、NV350 キャラバンの魅力が語られた

志賀俊之 最高執行責任者(COO)

 志賀氏は冒頭、キャラバンについて「日産の中で極めて長い歴史と伝統を持つ商用車」とし、日産を代表する商用車と紹介。しかしここ数年は、ライバル車であるハイエースの後塵を拝してきたことから「その状況に人一倍悔しい思いをしてきたのは私自身」とし、「なんとしてもキャラバンをこのクラスのトップクラスに押し上げる決意をした」と語った。

 そのため、NV350 キャラバンの開発スタート時に同社が目指したのは、「ライバル車を圧倒し、このクラスのトップブランドとしてお客様からもっとも信頼されるクルマを作ること」であり、志賀氏は開発陣に「仕事でクルマを使うお客様が求める、キャラバン本来の価値を大きく進化させること」「商用車としての高い機能や性能を一切犠牲にすることなく、趣味やレジャーなどに多目的に使えるクルマにすること」「性能面においては、クラストップの低燃費を実現し、数々の先進装備を搭載するなど、時代にあった新しい価値を提案すること」を要求したと言う。

 完成したNV350 キャラバンについては、「開発陣はみごとに私の要求に応えてくれた」とし、充実した装備やクラストップの荷室空間、動力性能や燃費性能などあらゆる面で高い価値を提供するクルマに仕上がったと述べた。

 なお、同日発売されたのはガソリン車のロングモデルで、今後の予定として7月13日にディーゼル車、4WD車およびスーパーロングボディー車を発売する。さらに、今冬にワイドバージョン車を展開してラインアップの拡充が図られることが述べられるとともに、「NV350 キャラバンが日産躍進の推進役の1つとなることを期待している」と語った。

直列4気筒DOHC 2.0リッター「QR20DE」を搭載するプレミアムGX(5人乗)。ボディーカラーはタイガーアイ ブラウン
ラゲッジルームの客室最大時の荷室長は1860mm、荷室高は1325mm。荷室最大時の荷室幅は1520mmとなっている
プレミアムGXのインテリア。新型NV350 キャラバンはインテリジェントキー&プッシュエンジンスターターや後席5:5分割可倒式ベンチシートなどを装備。ラゲッジルームの開口部サイズは1370×1275mm(開口幅×開口高)
パーテーションパイプの使用例。後席の5:5分割可倒式シートの片側を倒して荷物を積載し、もう片側に座る場合、走行中に荷物が崩れてこないようにパーテーションパイプで仕切らなければならないオプションの「ルーフインナーバー」(4万4520円~)。さまざまな物を吊すことができる
後席の5:5分割可倒式シート
広々としたラゲッジルーム収納棚や工具などを簡単に固定できるよう、「ラゲッジサイドユーティリティナット」をバンに標準装備。写真は同ナットを固定する個所で、ロングで合計24個、スーパーロングで合計30個用意される
NV350 キャラバンをベースにしたライフケアビークル(LV)のチェアキャブ。最大で車いす4名の乗車が可能で、リモコン操作で昇降する全自動リフターを装備。車両後部から車いすやストレッチャーのまま車内に乗り込むことができる
NV350キャラバン「ライダー」

LCV事業本部 商品戦略・企画グループ チーフ・プロダクト・スペシャリストの八木則彦氏

 NV350 キャラバンの商品説明は八木氏が行った。

 概要は関連記事に譲るが、NV350 キャラバンのアピールポイントは「クラストップレベルの低燃費」「堂々として存在感のあるデザイン」「広くて使い勝手のよい荷室空間」「従来の商用車にはない先進装備」の4点。

 ガソリン車では直列4気筒DOHC 2リッター「QR20DE」と直列4気筒DOHC 2.5リッター「QR25DE」を搭載するほか、新開発のクリーンディーゼルエンジン「YD25DDTi」を新たに採用。JC08モード燃費は従来モデルと比べ、ガソリン車(QR20DE)で9%、ディーゼル車で39%向上しており、「平成27年度燃費基準+10%低減レベル」「平成27年度燃費基準+5%低減レベル」「平成27年度燃費基準」のいずれかを達成。バン全車がエコカー補助金の対象となる。

 またディーゼル車(AT)、QR20DE搭載車は「平成21年基準排出ガス50%低減レベル」認定とあわせてエコカー減税により、自動車取得税および自動車重量税が一部の車型、グレードで減税される。

 エクステリアデザインは、クリーンでモダン、安定感のあるフォルムを目指すとともに、個性的なフロントデザインが与えられた。そのフロントまわりでは、立体的なアングルドストラットグリルやシャープさのあるヘッドランプを採用。また、サイドビューでは、サイドのドリップチャンネル(雨どい)を廃止し、すっきりとしたデザインに仕上げるとともに、動きのあるキャラクターラインを与えた。

 インテリアについては、ラゲッジルームを先代から250mm拡大し、クラストップレベルの3050mm(パーテーションパイプからバックドアまで)となる荷室長を実現。さらに後席5:5分割可倒式ベンチシートや、収納棚、工具などを簡単に固定できる「ラゲッジサイドユーティリティナット」などを装備するなど、「大幅にアレンジ性能を向上させた」(八木氏)。

 先進装備については、メーターパネル内にバックビューモニターとしても利用できる車両情報カラーディスプレイを採用したほか、インテリジェントキー、プッシュエンジンスターターなど、従来の商用車には設定のない装備を採用。また、足踏み式パーキングブレーキ(AT車)やA4サイズのノートPCを収納できる大容量のセンターコンソールボックスを備え、操作性も向上させている。

NV350 キャラバンのアピールポイントJC08モード燃費は従来モデルと比べ、ガソリン車(QR20DE)で9%、ディーゼル車で39%向上5速MT車には低燃費をサポートするGSI(ギアシフトインジケーター)を装備
フロントデザインの特徴サイドビューの特徴リアデザインの特徴
運転席はすっきりと質感のあるパーソナルな空間を目指したボディーカラーに新規開発したタイガーアイ ブラウンを設定
ボディーカラーは全7色を用意荷室長はクラストップレベルの3050mmとした使い勝手を高めるため後席5:5分割可倒式ベンチシートやラゲッジサイドユーティリティナットを装備した
利便性を高めるさまざまな装備大容量のセンターコンソールボックスや足踏み式パーキングブレーキをAT車に採用したキセノンヘッドランプ、LEDポジションランプを全車にオプション設定
グレード構成バリエーションについてバンのガソリン車は189万4200円~、ディーゼル車は248万9550円~。ワゴン車は243万6000円~となっている

(編集部:小林 隆)
2012年 6月 15日